オリジナル小説集

@Sakuranoomoti

「今日も君の横顔に惚れる」


 授業が始まって先生の言葉が綴られる中

 僕はふと、横の席にいる君を見る


 君は真剣な顔で黒板を見つめ

 先生が話す言葉から重要そうな部分を

 ノートに書いていく

 カリカリと書く音と

 君が邪魔そうに耳にかきあげる髪


 それを僕はただただ見つめる


 君のその顔が好きだから

 なにかに真剣になっている君の顔は

とても綺麗で、とてもかっこいいと

思っている

 僕が惚れるひとつの横顔だ


 君は委員長で

 僕はなんにもないただのクラスメイト


 たまたまお隣さんになれただけの知人A


 席替えをして初めての授業 

 委員長が隣に来て緊張してしまったあの日

 ノートにかじりつくふりをして

 ちらりと盗み見たその横顔


 その瞬間

 君の横顔に惚れてしまった


 真剣に見つめる目

 考えるような顔

 ノートに書き写していくその姿


 全てに惚れてしまった


 それからというもの

 君の見せる一顰一笑

《いっぴんいっしょう》の表情は

 僕を何回も惚れさせるには充分すぎて


 同じ顔でも惚れてしまうように

なってしまって

 その同じ顔に何回でも惚れる僕は


君「おはよう」


僕「お、おはよう…」


 そう言って、スッと前を見た

その君の横顔に


 今日も惚れてしまうんだ

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