第22話 進展地しまぁす
明知平展望広場――所轄署の神田主任と、新米真美と景流涼が鑑識検証中の現場を見ながら話す……。
「主任さん。ゆうべは変な武装集団が目に出来ましたけど。今回は一般の目には写らなかったようですね」
「ああ、そこが相違点だな。真美君」
「……」脇で控えつつ聞く耳はたてている景流涼は舞花同様にポーカーフェイス系だ、が。
「でもぉ主任さん。あの大きな石の砕け方や、あの木の折れ具合っ。それにぃあそこの雑草の焦げ具合は尋常じゃあないですよねぇ」
「そうだな。ゆうべの集団ならあり得そうだ。目撃証言にあるコスプレ女子二人のコスプレショーにしては。些かやり過ぎだ」
「逮捕モノですか?」と重い口を開く景流涼。
「まあ場合によってはだが(いったん頷くも)って、貴方は誰?」
「いやいや俺は単なる通りすがりの観光客で。昔をしのんでナーバスに浸りたくここへ」
「所謂部外者か。余計な詮索は無しに願いますな」
「……ボソボソ……ううん」と景流涼に耳打ちして小首を傾げる真美が、神田主任を見る。
水底のエアーシップの中――ミールルームで別腹デザート堪能のさながにもそれぞれの思いを胸の内で巡らしている……諸星奈菜と満月麻美と、新月舞香。
パクっと残したサクランボの蔕を摘まんで口に入れた麻美が(舞香が無いなら狙っちゃおうかな?)と思いつつ……種を出し、口中でモゴモゴして……ペッと何やら出す。
「ぜったいですよ。あの子。オーバーエナジー人……シストです」と奈菜がペッとだす結ばれたサクランボの蔕。
(博士をしのいで来た観光地で……偶然見かけた博士似のあの人って……)とサクランボを蔕ごとパクっとする舞香。
明知平展望広場――二人の前で見ている神田主任に、鑑識が現状況のパッドを見せる。
「一応真美君も確認して、くれ、たまぇ……」と真美らの表情に口を止める神田主任に。
「私はこれで、本拠地勤務としますね。ワリとイケオジの主任さん」と敬礼する新米真美。
「ああ」と渋りつつも了承する神田主任だが……(たくぅ! 訳の分からんこと続きだというのに。警察的立場は真美君のが上だしな。しょうがない)と鑑識の検証具合を見返す。
「いきましょっ、ダーリン」と景流涼の腕をとり……まるで恋人気取りにケーブルカーへと行く新米真美ら。「ま、君も美形だから悪い気はしないさ」とささやきが断末魔の如しのように……着いていたケーブルカーに乗り、神田らに手を振る景流涼にベッタリの真美。
水底のエアーシップの中――ミールルーム円卓の空になったデザート皿に、ペッ、ペッ……ペッと各々に結ばれたサクランボの蔕を出す諸星奈菜と満月麻美と、新月舞香。
シンクロした行動に……三人が見合い……含み笑顔で……「ムフゥ!」声をたてる。
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