第34話
♡
とても良い夢を見ていた気がする。
新君に告白されて、そのままベッドに入って。
そして夢のようなひと時を過ごしてから。
一つに溶け合って……。
「柊さん、おはよう」
「……あれ? お、おはよう」
目が覚めた時、私はなぜか新君のベッドにいた。
そして寝起きの私を新君が優しく見ていたのだけど。
なんだろう、いつもより雰囲気が大人っぽい。
かっこいい……。
「昨日あのまま寝ちゃったからさ。よほど疲れてたんだね」
「そ、そうなんだ。あ、あれ、最後何してたっけ」
「え、いや、まあ。ゲーム終わってそのまま寝てたから」
「……そっか」
何かとても大事な場面だった気がするけど、寝ぼけた頭ではそれは思い出せず。
私は一度部屋に戻ってから、着替えている時に眠る前のシーンを思い出した。
「あ、罰ゲーム……」
新君に言って欲しかった言葉。
好き、とか。
可愛い、とか。
私とずっといたい、とか。
でも、新君は何か答えてくれたのだろうか。
それとも、何か言う前に寝ちゃったのかな。
……せっかくチャンスだったのに。
私って、いつも肝心な時にダメなんだよなあ。
こんなんで、ちゃんと新君のお嫁さんになれるのかなあ……。
◇
「柊さん、今日はお店休みだからどっかいかない?」
登校中、新君に急に誘われて私は驚いた。
「い、いいけど、ええと、おやすみの日は家族でご飯食べるんじゃ」
「そうなんだけどさ。今日父さんが友達と飲み会入ったらしくて。だからついでに母さんも一人で温泉行ってくるって。気ままだよなあの二人」
「そ、そうなんだ。じゃあ、どこいく?」
「この前さ、柊さんが熱出した時のお小遣いが残ってるから。それで美味しいものでも食べようよ」
「うん。何にしよっか」
「ちょっと贅沢に焼肉とか」
「わー、いいね。うん、じゃあそうする」
焼肉って、結構親しい人とじゃないと行けないイメージだから素直に嬉しい。
でも、やっぱりなんか変。
新君、すごくキラキラしてる。
積極的だし、迷いがないというか。
な、なんで?
もちろんそれはそれでかっこいいからいいんだけど。
……まさか。
私が話の途中で寝ちゃったせいで、飽きられたとか?
私のこととかどうでもよくなったから、サバサバしてるんじゃ……や、やだ。
ど、どうしよう。
このままだと私、捨てられる。
焼肉食べたあと、そのまま置いて帰られちゃう。
……挽回しないと。
今日は絶対、途中で寝たりしないようにして。
ちゃんと昨日の話の続き、してもらうんだ。
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