「キャバクラ」

 ね、この服可愛いでしょ? この前もらったで買ったんだ〜。


 ね〜はキャバクラについてどのくらい知ってる? あーしめちゃ知ってるよ? 話たげよっか?


 お姉さんとお酒を呑んで、お話したり聞いたりしてくれる場所? うーん五十点かなー。ちょっと及第点も挙げられないや。


 キャバクラが日本発祥なのって知ってる?


 ホントホント! 漢字もあるから。『伽伯楽キャハクラク』って書くの。お伽話の"伽"に、名伯楽の"伯楽"で伽伯楽。これが転じてキャバクラになったんだって。


 え? いやいや、嘘じゃないってば〜。これはホントなの。由来もあるもん。


 最初はね、お話講座みたいなカンジだったの。なんかできたのは江戸? くらいなんだって。


──昨今は『パパ活』が問題視されてるじゃん? 江戸時代にもそれに似た社会問題があったんだって。

 江戸とかでをしてお金を貰うって言えば、遊郭なんかが思いつくでしょ? そ、人気だよね〜遊郭編。え〜!? パパ読んでないの? あーしも漫画持ってるから貸すよ? 斧神のとこめっちゃアツかったし! ホンマガチで無理と思ってた推しの供給ありがた〜……。


 えへへ。話ズレちった……。んでね? 遊女は高い教養も求められる"プロフェッショナル"じゃん? 流儀じゃん?

 そうじゃない人たちもいたんよ。それは『夜鷹よたか』。

 乱暴な言い方をすれば、遊女モドキ? みたいな。高い教養とか、お高いカンジがないヤツなのね。

 で、少しのお金でして、貰うんだけど、病気とかめっちゃ流行るし、客に逃げられたりするの。


 で、なんとかしなきゃ〜! ってことで登場したのが妓夫ぎふと、話術の講座!


 妓夫ってゆーのはぁ、黒服さん。客引きしたり踏み倒しとかを防ぐ用心棒。で、何を隠そうこの話術の講座名が『伽伯楽』なの!


 キャとぎ。面白い話し相手って意味で、伯楽は達人って意味。

 単にえっちだけじゃなくて、お話でも満足させようって取り組みだったワケ。すごいよねー。

 時は宝暦をすぎて文政へ向かう、落語の隆盛期! 需要も"確かな"話芸が大事になったって転換期だったんだよね〜。


 あ、時間だ。じゃ今日のお手当を……。

 いやいやこんなには頂けません。真打じゃあないんだから。──えぇ、いつも通り三枚で。はいどうも、ありがとうごぜーやす。


 旦那のお陰であっしの懐も温かく、秋風も怖くないってもんです。乾燥する季節です、旦那も火にゃお気をつけて。火刑は火の車って言うじゃないですか。あ、こりゃ家計かな。違いでしたね。

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