魔王城にやっと辿り着いたら、魔王が死んでいました。
つかとばゐ
第一話 魔王、死す。
勇者一行が迷宮の森で連絡が途絶えて数年......グランドレス王は勇者一行を探すパーティとしてある2人を派遣した。
*********
「ボーン!あともうすぐだよ。」
俺ことアルド・スタイリーは、そこそこ名の売れた一級魔術師だ。そして⋯⋯
「そうだな!!アルド!」
⋯⋯俺の隣で喋っているこいつは、ボーン・アルゴード。俺の幼馴染にして筋肉馬鹿の戦士だ。
よし、着いたな。ここが───
「「───迷宮の森か」」
ここは迷宮の森─────人が入ったが最後らしい。
聞いた話によるとここで彷徨い、半永久的に湧く敵に蹂躙されるのだと。
「おっと、早速敵を感知したよ。」
「了解だぁ!」
10mくらい先に、ここは俺らの縄張りだぞと言いたそうな顔をした巨大な蛇が1、2、3匹立ちはだかっていた。
しかし、瞬時にボーンは高く舞い上がると大剣振りかざし、リズムよく頭を貫き瞬殺した。
「やるねぇ!ボーン」
「当然さぁ!」
そうこう喋っている内に、また蛇がぞろぞろと出てきた。
「さて、次は俺の出番だね!ゼロバーースト!!!」
──────轟音がすると消えた。大量に居たはずの蛇が消えたのだ。
「ないすぅ〜!アルド!」
俺たちはハイタッチをした。
ゼローバースト....この魔法は魔術師アルドが自作した魔法で、風魔法と爆発魔法の絶妙なバランス調整と膨大な魔力によってできる、爆風魔法である。
その威力は言わずもがな、轟音がしたと思ったら、敵が消えている.......そんな魔法である。
この一行が歩いて3日が経つ頃であった。
「おいおい、本当に俺ら抜けれるのかぁ?」
ボーンが呟く。
「まぁ迷宮の森って言うくらいだしね。相当厳しいんじゃない?」
「軽いな。昔からお前。」
「気楽的なのが、一番いいさ。」
⋯⋯そうだ、そうだ、言い忘れてたけど、仲間を入れたいのだが、このパーティは楽観的な俺と脳筋馬鹿なこいつのせいで、入れては脱退され....入れては脱退され....を繰り返し、ついにパーティ募集をやめた。だからこの2人だけなのである。
「っ?!おいっアルド!あれを見ろ!」
「ん……?遺体?しかも長く経っているのか腐敗している。」
見るとなにやら、僕たちが向かっている先にエゲつない匂いがプンプンする遺体があった。
「………これ勇者一行じゃね?」
「勇者一行だね。」
まさかのまさかだ。勇者一行が死んでいるとは驚きだ。
この先に勇者一行をも殺すほどの敵がいるのか?
「っあのさ、勇者一行の行方も分かったことだし、プランBに以降する訳だよな?」
「そうだね。ボーン。」
プランB.......グランドレス王からもしものこと....つまり、勇者一行が死んでいた場合に限り、代わりに魔王を倒してくるという作戦だ。
だが、今まさに迷っているようにここからは出られそうにない。どうしたものか....
「ん!?」
「どうしたんだ?ボーン」
「森ってことは燃やせばいいんじゃねぇかぁ?」
「っ!それはそうだね!」
名案すぎる。本当に名案だ。
───環境破壊という点を除けば。
そこから一行は⋯⋯
「インフェルノ!ファイアートルネード!グランドォーファ''イァ''ァ''ァ''ァ''!!!!!」
「ハァッ!オラァ!ハァ!オラァ''ァ''ァ''!!!!」
⋯⋯
そんなことをしていた時だった。
パリィーンとなにか壊れ砕けた音がした。
「おい!アルド!あれ見ろあれ!」
「どうしたんだボーン……ってえええええええ!!!」
ボーンが指した指の方向には先程には無かった魔王城があった。
「「.......」」
沈黙を破ったのはボーンだった。
「まぁ....とりあえず、入ってみようぜ。」
「それはそうだね。」
キィィィと大きな扉を開けて中に入る一行。
「んーなにも無くないか?っうげぇ……なんだこの埃はぁ」
入るとどうやら魔王城には蜘蛛の巣が至る所に張り巡らされており、なおかつ埃が部屋中に舞っていた。
「ここはボロ屋敷か何かかぁ?!」
⋯⋯⋯俺が愚痴を吐いたとき、ボーンは不自然に壁の色が違う所を発見していた。
「ボーン?どうしたんだ?」
「あのさぁ……ここ怪しくねぇか?!なんか隠し扉みたいな感じがするぜ」
そう言ってボーンが、その壁に手のひらを当てると、ダンッダンッダンッと道が出てきた。
「おい!なんか道が出てきたぞ!!……行ってみよう」
一行はゆっくりと慎重に歩みを進めていく。
「おい!扉があるぞ!……入ろう。」
入った瞬間、俺らは凍り付いた。
近づいて確信した。多分、いや確実にこれは⋯⋯
「「⋯⋯なんか魔王死んでるんだけどぉ?!!!」」
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