第18話
車に乗って魔導省に向かいながら悠は今回ユグニエフ兄弟とニコラに来日してもらった経緯を話していた。
「なるほどな。確かにそういうことなら俺たちにも出来る事があるかもしれないが」
「本当に僕達でよかったんですか先生?先生ならもっと頼れる人とかいるんじゃ?」
「そっちに下宿してた時にも言ったと思うはずだけど俺は親友が少ないし未だに俺のことを嫌ってる奴もいるから頼み辛いのさ。それに今回はソーン、君の力が間違いなく必要になる。それにアダムは実戦向けの技を沢山持ってるからな。そしてニコラ、君には君の技術者としての力が必要なんだよ。それとこれをつけて俺を見て欲しい」
そう言って悠は持ってきた鞄から3つの眼鏡をそれぞれに渡して着けるように言った。
「これは!まさかこんな事になるとは」
「先生、因みにこうなるまでに後どれくらいの時間が残っていますか」
「どんなに長くても2年だ。だから後進の育成には手を抜けないしこの事実は親友であるお前達には知っといて欲しくてな。」
「わかった。ユグニエフ家当主として約束しよう。必ず親友であるお前のために行動すると」
「ボクだけでは決められないけど多分当主である姉さんも協力は惜しまないと思うから安心してよ。それとまだこの2つは試作品の段階だけどもう少しで完成しそうなんだ。協力して欲しいんだけどダメかな?」
「ああ、それなら俺より技術方面に詳しい奴がいるからそっちと協力した方がいいよ。話は通しとくしニコラも講師としてさっき教えた4人に色々と教えてやってくれ。それと3人とも天王寺本家を拠点に行動しないか?天王寺の当主、つまり俺の義理の祖父ちゃんがユグニエフとペルリニエに関心を持っていてねいい機会かと思うんだが?」
「いいのか。お前を下宿させた時はクソ親父のせいでユグニエフ家の離れの部屋を押しつけちまったからな。」
「いいんだよ。気にしてないからさ。それにあの時の事があったからソーンやお前、それにニコラとも親友になれたんだしな。それよりユグニエフ家って今はどういう状況なんだ?」
「ソーンを虐めてた使用人どもは全員解雇したし旧体制派だった親父達も僻地送りにして一旦勢力は落ちた様に思えたんだがソーンのお陰で即刻新体制を築いて殆ど元通りにしたよ。お陰でソーンを悪く言う奴はいなくなったし獅子心中の虫の掃除も出来て新しく協力してくれる家とかも出来たから以前にも増してアメリカでは名家の1つとしてやっていけてるよ。」
そんな雑談をしているとニコラの通信石が鳴った。
「やべクララ姉さんだ」
「早く出た方がいいぞペルリニエ家の姉弟で1番怒らせたら怖いだろ」
悠の言葉に従って通信回線を開く。
《ちょっとニコラ、アンタ今どこに居るの?置き手紙でちょっと日本に行ってくるって書いてあるだけで勝手にいなくなって》
《通話代わりました。悠です。ええ当時ユグニエフにお世話になってその時ペルリニエでもお会いした。悠です。すいませんいきなり弟さんを呼び出してしまって。ええ突然呼び出した事、大変申し訳ありません。ですが弟さんの力をお借りしたくてですね。ええ今回のお礼は必ずしますので》
《そこまで悠さんが言うなら仕方ありませんね。それとしっかりニコラの手綱握っておいて下さいねあの子昔から暴走すると何するかわかったものじゃないので。それでは》
「ニコラ、俺が言えた義理じゃないけどさ家族にはちゃんと連絡とかしとけよ」
そう言って悠は苦笑いをしながらニコラに言った。
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