第5話
当面の間の自宅になる家に装備や最低限の生活用品を運び込み終わると午後の8時過ぎになっていた。
「そろそろ時間か」
そう言って悠は黒いコートを着て家を出た。家を出て歩いて5分程歩いて曲がった所にある路地裏の中にその店はあった。その店の名前はモリアーティ昔からある感じのBARだ。
「いらっしゃいませ」
マスターが俺に挨拶をする。俺は会釈をしてカウンターの奥の席に座る。それから5分くらいしてルカと友人の男が入ってきた。
「久しぶりだな霧崎」
「よぉ冬樹、お前も相変わらずだな。それと今は天王寺だ」
俺が冬樹傑にそう言って声を掛けると2人とも俺の隣の席に座った。
「そういえば冬樹、警察省での仕事はどうだ」
「お陰様で大変だよ。此間の学校籠城事件ではちゃんと情報収集出来てたかの責任問題の擦り付け合いから始まって警察省と魔導省との対立関係煽るバカどもの沈静化の為に情報統制しないといけないからな」
そんな話をしていたらマスターが俺たちにサービスでドリンクを提供してくれた。
「それじゃあ同期の久々の再会に」
「「「乾杯」」」
ルカの言葉でそれぞれがグラスを手に取りグラスをぶつける。
「それで傑君、大変なのはわかったけどわざわざ悠君の呼び出しに応じたのはどうして」
「俺が今いる部署は警察省の警備企画情報局だろ。でうちの部署のボスが俺の経歴を調べた上に魔導省内部の動きを察知したらしくてお前の任務に協力してあわよくば任務の内容を調べとけってさ。全く無茶言うよ」
傑がめんどくさそうにそう言いながらグラスの酒を呷る。
「はぁうちの情報局は何やってるんだか。簡単に動きを察知されてるんじゃダメじゃねーか、まぁいいや。俺も傑のことを呼んだのは今回の任務に協力して欲しかったからだし。今回の任務は教師として潜入して学園襲撃なんかがあった場合には即座に対応にあたるのが任務内容だよ。一応言っとくけどお前のとこのボス以外には他言無用で頼むわ」
「了解した。じゃあ俺は帰るわ。マスターこれ今日の貸し切りの代金ね」
そう言って傑は店を後にした。続いてルカも席を立ち店を出る。俺は1人残された為もう一杯だけウィスキーのロックを頼みそれを呷る。
そして代金を支払い店を出た。
店を出て暫くすると近くに気配を感じた為立ち止まる。
「誰だ。隠れてないで出てこいよ」
「あーバレてましたか先輩。やっぱり隠業の術は苦手です」
「誠、何の用事だ。連絡なら通信機でいいだろ。それとも急用か」
「先ず先日襲撃があった学校ですがバベルの襲撃に遭う前に結界に細工された形跡が発見されました。そしてそれがバベルがいつも行うタイプの細工では無かったようです」
「じゃあ此間の襲撃は、バベル単体での襲撃じゃなかったってことか」
「そこについては現在情報局と伊黒さんと水戸坂さんが調査中です。つきましては悠先輩の任務に1部隊つく事になりました。人選は悠先輩に任せる事になりました」
「じゃあ、水戸坂と伊黒、それと誠お前を含めたいつもの部隊を選んでもいいんだな」
「外川さんは先輩に人選は一任するそうなので問題ないかと」
「なら明日から学外で張っててくれないか。どうも嫌な予感がするんだよ」
「先輩の嫌な勘はよく当たりますからね。わかりました交代制で張り込みます。それと一応これなんかあった時のために渡しておきますね」
そう言って誠は宝石型の魔導機を悠に渡した。
「転移結晶に回復結晶か助かる」
「それじゃあ僕は外川さんに此処で話した事を伝える為に本部に戻りますね」
そう言うと誠は姿を消した。
時を同じくして襲撃のあった小学校では、瀬奈
伊黒、そして水戸坂が調査をしていた。
「瀬奈さん、付き合ってもらってすいません」
水戸坂が礼を言った。
「いいけど私なんかでいいの。伊黒君と2人でも良かったんじゃ」
「俺が解るのはどういった類いの魔術結界が施されていたかくらいでゴーレムみたいな錬金術は瀬奈さんの方がいいんですよ」
伊黒はそう言って現場となった体育館などを調べるが既に調べられている事以外は分かる事は無かった為3人は早々に引き上げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます