第3話

 辺境伯様に嫁ぐ日の朝、とっても立派な馬車が迎えに来て下さいました。

 我が家にはとても不釣り合いな馬車が。

 それなのに私の荷物は二つだけ。

 それでも伯爵家に嫁いだお姉様がもしもの時にはと素敵なドレスを下さいました。

 多分着る機会はないと思うのですがそれでも私の事を気に掛けてくださるだけでも温かい気持ちになります。

 お父様、お母様、そしてお姉様達までもが今迄忘れられていた私を最後は皆で送り出してくれました。

 これってもう二度と何があっても帰ってこれないってことなのでしょう。

 私も覚悟を決めて嫁ぎます。

皆んなで

「アンジュ、幸せにねー」

 と手を振って下さってますが幸せとはどういうものなのでしょうか?



 辺境伯様のお屋敷に着きました。

 とっても大きなお屋敷です。

馬車を降りると執事のランカスターさんと名乗る方がご挨拶をしてくれました。

私も

「これから お世話になりますアンジュと申します」

 と返したら

「実は、旦那様は今、国境付近で小さな小競り合いがありまして暫くは砦の方に留まる事になりました。なので顔合わせは落ち着いた頃となります」

 そう言われ私は

「そうですか、承知しました」

 と返した。

 そして

「本宅はひとりものの騎士達が沢山住んでおりますので奥様のお住まいはあちらの離れにご用意させて頂きました」

 と言われた。



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