真実を喰らうもの
瀬古悠太
第1話 プロローグ
――ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。
静寂の中、息遣いだけがこだまする。それが俺自身の口から発せられているものだと今更気が付いた。
「くそっ……。なんで、なんでこんなことに」
焦って息をするせいか上手く空気を吸い込めない。乾き、喉の奥が張り付いているせいか言葉が途切れ途切れになっていた。
今、自分のいる場所はクルー用に設けられた個室だろう。簡素なベッドと一人用の小さなテーブルと椅子のセットがあるだけ。俺は壁を背にしてうずくまるように身を小さくし、入り口のドアを睨みつけていた。
落ち着きを取り戻し、息を整える。呼吸音の他には空調の音が響いているだけだった。その静寂が更なる恐怖心を煽り、胃の底から湧き上がる不安を駆り立てる。
なんでこんなことになってしまったのか。
恐怖でどうにかなってしまいそうな中、俺はそもそもの事の発端を思い出していた。
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