北流亡の1分小説コレクション~私がハーゲンダッツを食べるまで~

北 流亡

俺の未来を守って

 女が、空中に出現した。

 俺はびっくりして、ダンベルを落としてしまう。

 激しい光と共に、ジムの宙空に突然出現した女は、ふわりと地面に舞い降りた。

 言葉を失う。凛と立つその女は、あまりにも美しい。

 流れるような金色の髪、憂いを帯びた大きな瞳、きめ細やかな白い肌。俺は胸が高鳴るのを感じていた。女は、映画で主役を張る女優と遜色ない美貌を持っていた。

 女は銀色のエナメル質の素材のぴっちりとした衣服を着ていた。体の輪郭がはっきりと出ていた。引き締まった腹はくびれがあり、尻はほどよく丸みを帯びていた。そして胸は手のひらに収まらないほど大きく、谷間がしっかりと見えていた。

 扇情的である。


 俺は頭を振った。見とれている場合ではないのである。


 女だから反応が遅れてしまったが、いきなり自宅のジムに入ってくるのは不法侵入でしかない。

 しかし、どうやって。俺の頭に疑問符が浮かぶ。玄関には間違いなく鍵をかけていた。窓も同様である。こじ開けて侵入しようものなら、警報が作動して警備会社が飛んでくるはずだ。

 マジック、テレポート、ワープ。そんな言葉が頭に浮かぶ。非現実的ではあるが、そう考えた方が説明がついてしまう。


 とりあえず話を聞くことにしよう。見たところ、女は丸腰だ。体を鍛えていたり武術に精通している感じにも見えない。仮に強盗だとしてもねじ伏せられるだろう。何しろ俺は週に6日は鍛えているのだから。


「あの」


 先に口を開いたのは女だった。大きな目で俺のことをまっすぐに見据える。俺は危うく恋に落ちそうになる。


 女は小さく深呼吸をした。何か、考えをまとめているように見えた。

 ゆっくりと、口を開く。


「落ち着いて聞いて、私は10年後のあなたなの」

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