終章 エピローグ


 ──第一幕 意識覚醒 エピローグ──



 東富士演習場地下施設の崩壊からしばらく。とある暗い一室で、黒髪の能力者3人が沈黙の中で報告を行っていた。


「施設爆破完了。帝国人全滅確認。だが、黒髪の日本人能力者と遭遇。殺害せず」

 短髪の黒髪はモニター越しにデータを確認しながら冷静に報告する。疾風の斬撃をかわし、近づこうとしても傷を与えられなかった尊を分析しつつ。


 暗がりの奥に潜む謎の影が椅子に腰かけ、低くつぶやく。

「顔を見られたのに殺さなんだと? なして…」


 長髪の黒髪は壁にもたれ、腕組みをして淡々と付け加える。「あの奴、疾風よけて俺に近寄って一撃入れよったけん、負けるかもな。施設ん爆破もそんわろがやったち思わる。帝国ん人間とは思えんやった。じゃっで追いもはんした」


 暗がりの奥に潜む謎の影が椅子に腰かけ、低くつぶやく。

「日本独立党ん連中か…最近活動が盛んになっとっようじゃな。出方次第では、次ん手を打たんないかん…」



 能力者たちは黙って頷く。静寂の中、次の戦いの序章は、確かに動き始めていた。


 ◇◇◇


 救出された子供たちの世界は、静かな希望に包まれていた。

 昨年拉致され、まだ幼かった3人の子供たちは、日本独立党の情報網と詩織たち巫女の力により銀髪に固定され、無事に親元に返される。親たちは我が子を抱きしめ、ようやく笑顔を取り戻していた。


 一方、煉や葵、霧乃を含むその他の子供たちは、親元に戻ることが難しく、新たに独立党によって設立された社会福祉法人の児童養護施設に集まった。

 施設長に就いた詩織の穏やかな視線のもと、茉奈と尊は施設員として働き、最年長の煉と共に子供たちを見守る。


 朝日が差し込む施設の窓から、子供たちの銀色の髪が淡く輝く。

 運動場では煉と子供たちが追いかけっこをし、笑い声が施設中に響く。

 茉奈は小さな手を握り、尊はそっと背中をさすりながら微笑む。


「この笑顔は二度と失わせない…」

「ええ……」


 二人の声には揺るぎない決意と、子供たちの未来を守る覚悟が込められていた。


 つかの間の平和に、笑い声が重なり合う。

 だが、空の向こう、南の空にはわずかに黒い影が漂っている。

 その存在をまだ誰も知らない――だが、静かに、確実に、次の戦いの序章は動き始めていた。



 ──第一幕 終──













──あとがき──



第一幕「意識覚醒」を最後まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます!


拙い文章ではございますが、尊と茉奈、そして子供たちの小さな一歩が、皆様の心に何かを届けられたなら幸いです。


彼らがこれからどんな運命を辿るのか、私自身も筆を走らせながら見守っていきたいと思っています。次の更新が待ち遠しい、そう思っていただけるよう、精一杯書き進めてまいります。


第二幕では、さらに広がる世界と、新たな謎が彼らを待ち受けます。 どうぞ、今後の展開を楽しみにお待ちください!


特に、あの謎の黒髪の集団のこと気になりますよね?ねっ?気になると言ってください……(泣)




よろしければ、ブックマークや評価、そして感想で、この物語を共に育てていただけると嬉しいです。


第二幕は、週に1~2回、月曜と木曜を中心に更新を予定しております。



今後とも「黒髪巫女と銀髪少年の深淵」をどうぞよろしくお願いいたします。

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