第24話 クリスマスプレゼント



 12月24日。街はイルミネーションで輝き、冷たい空気もどこか甘く感じる。


「寒いね!」

 待ち合わせ場所に駆けつけた真奈の吐く息は白い。

「でも、君が来たら一気にあったかい気分になるよ」

 遼の言葉に、真奈は思わずマフラーに顔を埋めた。


 ――付き合って初めてのクリスマス。


 二人は並んで歩きながら、ケーキ屋に立ち寄ったり、ちょっと高めのレストランに入ったり。遼が頑張って予約した窓際の席からは夜景が見える。


「これ、食べさせて」

 ふざけ半分にフォークを差し出す遼。

「え、恥ずかしいよ!」

「クリスマスだし特別に!」

 結局、真奈は小さなケーキをすくい、そっと彼の口に運ぶ。

「……おいしい」

 目を輝かせる彼を見て、真奈の胸がじんわり温かくなった。


 食事のあと、街のツリーを見に行くと、カップルだらけの中で自然と手をつなぐ。真奈の手袋越しにも、遼の手の熱が伝わってくる。


「プレゼント交換しよっか」

 遼が差し出したのは、小さな赤い箱。中には、シンプルな銀のブレスレット。

「似合うと思って」

 真奈は思わず涙が出そうになった。

「私の方、地味かも……」

 照れながら差し出したのは、遼に似合いそうな紺色のマフラー。

「え、これ……編んだの?」

「う、うん」

「世界一嬉しい!」

 遼は即座に首に巻き、笑顔で彼女を抱きしめた。


 その瞬間、頭上で雪がちらちら舞い始めた。

「ホワイトクリスマスだね」

「うん……最高のプレゼント」


 二人の距離は、雪の降る夜にさらに縮まった。



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