『恋をするのに歳の差なんて関係ありますか?》⑦

「萌さん!?」


 萌さんが僕に突然近づいて来ます。

 近い近い近い近い、近い!?

 そんなに近づかなくても、他の人には聞こえませんから!


「正太くん」(小声)

「な、なんですか?」(震え声)


 カリッ⋯⋯


「ひゃああっ!?」


 僕の耳たぶをかじられました!

 あまりの驚きに大きく後退り、慌てふためく僕。

 悪そうな顔でそんな僕を見て、クスクス嗤っている萌さん。


「何するんですか!?」

「思った通りの反応だった。くくく⋯⋯」


 目を細めて肩を小刻みに揺らしております。それを見てゾクリと背筋が震える僕は、自分の体を抱きしめて萌さんに背中を向けました。


「どうせ僕なんて総受けですから!」

「ええ、私の大好物よ♡」


 僕の頬に手を当てる萌さん。


「ひっ!?」


 次に何をされるのか、期待と不安でビクビクと震えてしまいます。


「怯えた顔がほんと、私好み♡ もっと虐めたくなっちゃう♡」


 顔を紅潮させて、とんでもないことを口走る萌さん。

 そんな萌さんにドキドキと胸を高鳴らせている僕も、どうかしてる!


「萌さん」(小声)

「なあに?」


 グッと萌さんの袖を引っ張って耳に口を近づけます。


「ぼ、僕、萌さんにだったら、いじめられたい、です⋯⋯」(超小声)


 変な事を口にしてしまいました。でもこれは、萌さんのせいですから。

 その萌さんも目をまるくして口をパクパクさせております。

 それ、どんな表情?


「もう! 正太くんてば、ここはカフェなんだからね!? へ、変なこと⋯⋯言っちゃダメだから⋯⋯ね?」


 僕は反省して。


「はい」


 と言うと、萌さんが耳もとで。


「二人きりの時に言ってね?」(コショ)


 なんて言うものですから、僕は。


「二人の時って⋯⋯いつですか?」


 なんて聞くと、萌さんは困った顔をしてしまいました。

 萌さん、ごめんね? 困らせる気なんてないんだけど、僕だって淋しいことには変わりないんだよ。

 でも、僕はそんな萌さんが見たいわけじゃないからね。


「萌さん! 僕、コレ頼んでも良いですか?」


 と、カフェメニューを指さした。

 萌さんがそれを覗き込むと、髪の毛がサラリと垂れて、それを細い指でかき上げて耳にかけた。

 そして、僕の顔を見てニコリと笑う。


「レトロプリン?」

「だめ、ですか?」

「ぜんっぜん、オッケーだよ! 正太くんておこちゃまだぁ! 可愛いなあ!」

「ぼっ、僕はプリンが好きなんです! きっと大人になっても好きですから!」

「うんうん、」


 萌さん。


「大人になっても、好き、ですから⋯⋯」

「⋯⋯うん」





      ─つづく?─





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る