76.雨のメランコリック3



「どの色が好き?」 

うぅーん…⁇

「さぁ、選んで。」

なんで?

「さぁ…。」


−−あぁ''ーまた雨が降ってる…。

最悪…。

何もする気にならない。

…本の続きでも読むか。


『Luzia en chaussu』


『あぁ、わたしを履いて。 

あなたの大好きな“ルジァジュ・シュツゥ”を履いて』

毎日、毎日響いているの。

だから、毎日あの靴に見合うわたしになる為に頑張るの。

ェッチュウドもプラティイティも。

何度も新しい太陽が昇って、わたしは町で1番のシェリィヌと言われるようになったわ。

始めはこうなるなんて思わなかった。


リィゼと暮らしていて、毎日ただ生きるだけで大変だった…。

ある冬の日、広場を歩いていたら…。

「こんなに寒いのに裸足なんて不憫だ!」

と言ってボア・シュツゥをメラァがくれたほどよ。

そうして暮らしていたら、病気でリィゼがいなくなってしまった…。

悲しみにくれていたら…ある人に声を掛けられたわ。

ついて行ったら、ある人はいろんなものを用意してくれた。

味わった事のない料理、触り心地のいいイリット、着た事のない高そうな可愛いシャティナ。

知らない事ばかりの事に、はしゃいでいたら…。

ある人は、少し涙ぐんでる気がした。

そうして、わたしは“リッツ・ノゥジェルのマァテル“と名付けられて。

“メラァのメルダさん”が育ててくれる事になったわ。

ある雨の日、ミカィル様にお祈りを捧げるからシェランドに行くコトになったの。

わたしはシェランドに行くのは初めてで、メルダさんがマロゥネのシャティナとシュツゥを選んでくれたわ。

ふ、と通りかかった時にルジァのリィニンヌが気になって首に巻いて行くことにしたの。

「ねぇ、マァテル…マロゥネは気に入らなかった?」

「んん…嫌いじゃないけど、ルジァの方が好きだわ!」

メルダさんは、行く途中のシュバリァの中でずっと困った顔をしてたわ。

シェランドの扉を開けると驚いている様な顔で、みんなわたしを見たわ。

「あらあら!ココでは、マロゥネが決まりなのに…リッツは何をしてるのかねぇ?」

「ホォンッ…困ったもんだね!

決まりを守れないなんてミカィル様が怒られる!」

「あぁ、やだ。ヤダ。」

帰りのシュバリァでメルダさんは悲しそうに言った。

「マァテル、お祈りする時はマロゥネだけね。」

「わかったわ!」

それからと言うもの、ルジァはわたしのお気に入りのトリコルになったわ。

ルジァのシャティナ、ルジァのホロゥズ、ルジァのサッカリンジャァ…。

そして、ある曇りの日。

町でメルダさんと買い物していたら、“アノ“ルジァのシュツゥに出会ったの。 

“なんてヴェルなシュツゥなの‼︎“

わたしは一目で気に入って、メルダさんにお願いしたわ。

「メルダさん!わたし“アノ”シュツゥがどうしても欲しいわ!」

「でも、マァテル。

“アノ“シュツゥはアナタには、大きいよ?」

「いいのよ!

大きくなったら履くわ。」

「ふふふ。

そう…“アノ“シュツゥが似合うシェリィヌになれるといいわね。」

ある晴れの日。

ホロゥズのお世話をしているとヤンテ越しにフェブンが、

「マァテル俺のシェリィになってよ!」

「いや!僕のシェリィにしてあげる!」

「オレのシェリィになるしかないぜ!」

と言ってきたので、

「わたしはなりたいものがあるの!

…まぁ、町で1番のシェリィヌになったらね!」

と答えたら時を経て…ほんとになってしまった‼︎

ある雨の日。

フェブンがやって来て…。

「7日後、みんなでスワリィに行こう!

そこで、コノ中からマァテルに相応しいムシュルジュを選んで欲しい。」

どうしよう‼︎選べないわ‼︎

みんな、ちょっとしか話した事がないのに‼︎

スヮリィの日、わたしはルジァのカァド、ルジァの“アノ“シュツゥにルビィの首飾りと耳飾り…初めて着飾ったわ。

「マァテル!とても美しいよ!」

「マァテル!誰よりも美しい!」

「マァテル!1番、美しいぜ!」

「うふふっ!ソンナに褒めないで…!」

なんなの⁇心が熱い…。

「さぁ!マァテル!スヮントに着いたぞ!」

「まぁ!なんてヴェルなの!!」

すごく心が熱くなって、はしゃいでいたら…。

すると…“アノ“『ルジァのシュツゥ』は独りでに踊り出す。

マワル、マワレ、マワル

マワル、マワレ、マワル

マワル、マワレ、マワル

『さぁ、回れ

さぁ、回れ

アナタは、誰よりも美しい』

マワル、マワレ、マワル

マワル、マワレ、マワル

マワル、マワレ、マワル

アノ道、アノ角、アノ坂

マワレ、マワル、マワレ

マワレ、マワル、マワレ

マワレ、マワル、マワレ

気が付くと、見覚えのあるヤンテが見えてた。

なんだか人が集まっている⁈

止まられない‼︎止まらない‼︎

もう踊り疲れたわ!苦しいわ‼︎

「メルダさん、急に倒れて…ねぇ。

そのままヒュウリィに連れて行かれてしまったんですって。」

「マァテルが、いないじゃないか! 

メルダさんに育ててもらったのに!

なんて恩知らずなんだろうねっ!」

なんて事っ‼︎メルダさんが‼︎

イヤァアァア‼︎メルダさん‼︎

ヒュリィに選ばれてしまって逃れなかったとしても…。

せめて、そばについててあげたかったのに…。

マワレ、マワル、マワレ

マワレ、マワル、マワレ

マワレ、マワル、マワレ

アノ池、アノ川、アノ橋

あぁ、町を出てしまう…。

マワレ、マワル、マワレ

マワレ、マワル、マワレ

マワレ、マワル、マワレ

アノ道、アノ丘、アノ林

あっ!木を切っている人がいるわ。

もう…コウするしか。

わたしは必死で木にしがみついた。

必死でしがみついているけど、シュツゥは動き続ける。

足が…バタバタ動くたびに、木は…ュッサュサ揺れる。

「アンタ回りながら林さ、来てどうしたってよぉ?」

「お願い!止まらないの!!

足ごと“コノ“シュツゥを切り離して!」

「え?いい?!いい!?

本当に切っちゃうってよぉ!」

「切って!!」

かぁんこぉん

「ぐっ!あぁ''あ''ぁ''ぁぁぁぁ''!!!!!!」

「アンタ、名前は?」

「マ…マァテルよ!」

「マァテルッ!しっかりしな!」


“ルジァ・シュツゥ“を履いた人が踊ってる。

その人は、とてもヴェルなシェリィヌでわたしはあんな人になりたかった。

その人の手を取ろうしたけど、手を払われてしまった。

あ、その手を取って仲良くなりたかったのに…。


「あぁ、マァテル!よかった。起ぎた。」

「ずっとそばにいてくれたの?名前…まだ聞いてないわね?」

「…ッ!ォラはハミェル‼︎」

ハミェルは、毎日せっせっとわたしの世話してくれた。


「マァテル、ゆっくりポタゥジュを飲んで。」

「マァテル、チェルの実がいっぱい採れた!」

「マァテル、カァサが獲れた!!」

わたしはハミェルとコノ林でひっそり暮らしている。


ーーきっとそれには、呪いが掛けられていたんだろう…。

好きな色や思考さえも操ってしまう…。

呪いだとしたら中々、濃い呪いだなぁ。

この話では、血肉は赤い。

導く憑代となった…赤い靴…。

血肉を示す赤いモノには力が宿る。

−−きっと観た時からそれから逃げる事は出来なかっただろう。

物語の登場人物に同情する…。

思考を操られるなんて「絶対」嫌。

−−後は、この女自体が、呪体であり闇の力を持ってた可能性もあるな…。

産んだ奴が掛けたのか?


−−''ッ。

あ''ぁ''あ''ー‼︎

…まだ、雨が降ってる。

1日これで終わった。

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