第27話 薬草園とポーション作り
薬草農園
「ユリウス様。私、ポーションを、もっとたくさん作りたいんだけど、薬草が足りなくて……それでね、薬草を作れる場所があればと・・・おもったんだけど」
ここは、森と違って薬草が自生していなんだ。もちろん、王都の外の森行けばとれるかもだけど・・・なんだか最近、魔獣が出るらしくて、簡単には外に出られないんだ。だから、そう、農園を作って薬草を作ればと思ったんだ。
私はユリウス殿下に相談したんだ。でも、いくら王子でもいきなり農園をくれとかい言われても、むずかしいよね。
「ん。お安い御用だよ、父上に言って、手頃な土地を貸してもらえるように手配してもらおう。」
「ありがとう、ユリウス様」
「どう致しましてだ、リリのポーションには助けられたからね」
さすが、決断がはやいです。
その行動力には驚き桃の木です。
数日後、ユリウスとガブリエルさんに連れられて、御用農園にやってきました。王族や城で使用する野菜を専門に育てているところみたい。目の前に広がる景色に、私は思わず目を丸くしました。
「わぁ!こんなに広いの!?」
「はい、リリ様。ここの一角を、ご自由にお使いください。必要なものは、全てこちらで用意させていただきます。それに、人がいる時はお声がけください。おてつだいします」
ガブリエルさんが丁寧に頭を下げてくれて、私は感激で胸がいっぱいになりました。
「ありがとう、ガブリエルさん! そしてユリウス様も!よし、頑張って、いっぱい薬草を育てるぞ!」
私はすぐさまアイテムボックスから薬草の種を取り出し、地面に植え始めました。そして、おなじみの生活魔法の出番です!
「アース・フォーム!」で土をフカフカに耕して、「ウォーター・クリエイト!」で冷たいお水をあげて、「サンライト・クリエイト!」でポカポカの光を注ぎます。
「大きくなあれ!元気な薬草になあれ!」
私が呪文を唱えるや否や、種はみるみるうちに芽を出し、ぐんぐんと背を伸ばしていきます!
その様子を見たユリウス王子が、なんだか呆れたような顔で呟きました。
「リリ、君の生活魔法は、もはや農業魔法だな……」
「えへへ、そうかな?でも、みんなが元気になるって考えると、楽しくて止まらないんだもん!」
「ほう?彼女が例の?」
「おお、ホーキンズ殿、どうです、彼女面白い魔法使うでしょう?」
私は笑って、たくさんたくさん育てたよ。私の魔法で育った薬草は、いつも以上にキラキラと輝いて見える!
数日後、私は王宮の薬師さんたちから、ポーション作りを教えて欲しいと言われたので、講習会をひらいたんだ。みんな真剣に私の話を聞いてくれているよ。
「この薬草と、この薬草を混ぜる時は、火加減がとっても大事なんだよ!あとは、愛情を込めて、優しく混ぜてあげてね!」
愛情は大事だよ、みんなが良くなるようにお祈りしながら、混ぜてね。
私が楽しそうに説明すると、薬師さんの一人が困った顔で尋ねました。
「でも、リリ様……これほど強力なポーションは、我々には作れません。これだけの魔力を込められるのは、リリ様だけです……」
「そんなことないよ、ホーキンズさん、相手を思って怪我や病気が治るように一生懸命に混ぜるんだよ。みんなを元気にする為に、みんなの『気持ち』が込められていれば、きっと、美味しいポーションになるよ!」
私はそう言うと、薬師さんたち一人一人の手を取りました。そして、彼らがポーションに込めている「早く病気が治りますように」という優しい気持ちを、私の魔法でそっと増幅させてあげるよ。
すると、どうでしょう!不思議なことに、薬師さんたちが作ったポーションも、私が作ったものと同じように、淡い光を放ち始めたのです!
「これは……! まさか、私たちの魔力が、こんなに高まるとは……!」
薬師さんたちは、驚きに目を見開き、ポーションを何度も見つめています。
「ほらね! みんなの『気持ち』が、ポーションに現れてんだよ!」
ポーションは飲んだ人が元気になるためのもの。薬草も魔法も大事だけど、作る人の優しい心が、ポーションをよくするんだよ!
この日から、王宮の薬師さんたちにも受け継がれていきました。リリの作ったポーションは高価になったが、薬師達のポーションは、安価だけど、効果が高いと、評判になっていきます。リリの人々の心を大切にする姿勢は、ロゼリア王国に、きっとたくさんの幸せな可能性をもたらすのでした!私ももっと頑張るぞ!
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