攻撃力0で人畜無害な俺がチートを駆使してハーレムを築く話。~鼻血を出したら、転生して追放した国を乗っ取ります~
夕日ゆうや
第1話 転生!
俺はエロ本の読みすぎで鼻血を噴出しすぎ、やがて死に至った。
遠い異世界に俺は転生した――。
この世界では魔力量の有無、上下で全ての階級が決まる。
俺はその魔力量で最高の権威を誇る王様の家系だ。
長男のマリオは9000もの魔力量を誇っている。平均値が50であるからその差は歴然としている。
俺もこの2月末で、10歳の誕生日だ。
誕生パーティーが開かれる。
そこで俺の魔力量がハッキリと分かる。
肉体の成長が、魔法の適正をハッキリと分かる方法らしい。
正直、理屈は分からん。だってファンタジーだもの。
俺は宝珠の前に立つと、周囲に目をくべらせる。
荘厳とした地下神殿の中、二十名近い関係者が参列し、もちろんマリオや父ワリオもいる。あれは侯爵家令嬢ピーチか。
「ルイージ。あなたはこの宝珠に手をかざすのです」
目の前にいる聖女デイジーが俺に続きを促す。
俺は言われるがまま、宝珠に手を伸ばす。
「解析開始。パラメータ表示」
『
攻撃力:0
防御力:10
敏捷性:12
魔法量:7
魔法攻撃力:0
魔法防御力:30
知能:5
魔法変換率:20
特殊能力:なし
』
なんだ。この能力値の低さは。
ざわつく関係者たち。
「これは何かの間違いです」
俺の専属メイドのリリが声を上げる。
「おお。そうだろう」
それを引き受けたご老人がうなずいてみせる。
「そ、そうですね。パラメータ表示」
だが寸分違わない能力値が露見される。
「ルイージ……」
今度こそ周囲の声がひどくなる。
「これはダメだな」
「ダメね」
「昔あったギリーと同じ歴史だわ」
「ギリーの再来ね」
ギリー。
過去最低の能力値を持ち、王家から追放された者の名だ。
となると……。
「ルイージ=ソフライト。貴様を王家から追放する」
父ワリオがそう告げると、俺は白亜の城から追い出される。
持って行けたのは最低限の衣類だけ。
俺は夜道をふらふらと歩くしかなかった。
この世界はパラメータがすべてだ。
それで優劣が決まる。
能力値の高い者は減税されるし、国から補助金も出る。
能力値の低い者は課税されるし、国の認可を受けることはない。
この世は弱肉強食。
魔法が使える者が上に立つ。
それだけの話。
行き場のない俺が行き着いた先は軍。
食糧も配給されるし、宿舎もある。
ただ死とは隣り合わせだし、非情な戦場へ送り込まれるのは必定だった。
追放されてから四年が経った。
「リリ。今日は何の日か知っているか?」
「ええ。ルイージ様が生まれた日ですわ」
十六になった俺は四年に一度の誕生日を祝う。
「十六になったら学院に通える権利が与えられる」
「そうです。ルイージ様なら実戦形式のこの学院がオススメかと」
メイドのリリは空中に地図や資料を広げて見せる。
この資料をリリはこの四年で集めてくれた。
そして俺の無茶振りにもよくついて来てくれた。
「……リリ。本当に俺なんかのメイドで良かったのか? 王家ならお前の居場所も0あっただろうに」
「いいえ。気にしないでください。わたしはあなた様に仕えると心に誓ったのです」
リリは小さく首を振ると、泣き出しそうな顔で俺を見つめてくる。
「そうか」
「もう俺なんかって言わないでください。ルイージ様は素晴らしいものを持っています」
リリはいつもこうして慰めてくれる。
夜の意味でも。
リリは
俺が前世で付き合っていた彼女だ。エロかった。
いい奴だったよ。
俺がいなくなって寂しがっていないだろうか。
ふと懐かしむ。
「ルイージ様?」
「え。あ、いや……」
感慨にふけっている場合じゃない。
家名を持たぬ俺がどうやって推薦状をとるというのか。
「しかし、あの時のパラメータは本当にどうかしていたのではないでしょうか?」
小さく横に
「いいや。今の俺は努力で補っているだけの話。才能なんてなかったんだ」
「よく言います。努力する天才と」
苦笑を浮かべる俺。
そう言った意味では俺も天才なのかもしれない。
「そうか」
「そうです」
笑い合う俺とリリ。
この関係も悪くないな。
リリは同い年だったが八歳を超えた辺りから俺との間に距離を置くようになった気がする。
それは主従関係だからだろうけど。
でもそれでも傍にいてくれたのは嬉しかった。
どうしようもない俺をいつだって助けてくれたのはリリだ。
こうして調べ物もしてくれる。俺にはない情報網を使って、でだ。
「どこの学院にしますか?」
「ふむ。このオート学院にしようかな」
オート学院は魔法適正が低くても入学試験で入学した実例がある。
他の学院に比べ、比較的安価な入学金も魅力的である。
現状、家名を持たない俺にはとてもいい学院だ。
さすがリリが持ってきた情報だ。
しっかりと要点をまとめられている。
ただ進級率が低く、退学率も高い。
きっと進級試験が難しいのだろう。
だが俺には秘策がある。
きっと行けるだろう。
リリという最高の相棒がいれば、俺は道を間違うはずもない。
「では手続きをしますね。まあ、ルイージ様ならもっと上の学院も行けるでしょうけど」
リリは苦笑しつつ、スカートの端をつまみ礼をする。
この四年、研鑽に研鑽を積んだ俺は誰よりも強い。
その確信が何故かあった。
「そろそろ夕飯時だね。俺が作るよ」
「すみません。わたしの料理はマズくて……」
申し訳なさそうに呟くリリ。
「いいさ。息抜きになるし、俺も料理は好きだ。リリのも独創的なだけで、まずくないよ?」
まあ、確かに未知の料理だけど。
ダークマターとか、ウエポンスライムとか、そんな類いの料理なだけだし。
「俺はリリの料理も大好きだよ」
「まあ、ルイージ様ったら」
照れるようにして書類作成に取りかかるリリ。
俺は台所に立つと、一瞬で料理を終える。
マカロニグラタンに鶏ガラスープ、豆のサラダを用意する。
「さ。できたよ」
「さすがルイージ様」
しかし、この名前も最初は慣れなかったな。
転生者だってことは誰にも話していない。もちろんリリにも。
重要なことではないから話していない。それだけのことだ。
過去がどうであれ、彼ら彼女らが話しているのは今の自分だ。過去の自分じゃない。
だから俺は今を必至に生きている。
転生前なんて、今とは関係ない。
それに悪いことをした訳でもないし。
まあ、前世の名残か、エロいことを考えるとたまに鼻血を吹き出すのが唯一心残りというべきか。
ちなみに鼻血を吹き出したときはいつもリリが回復魔法をかけてくれる。
俺には魔法がほとんど使えないから、それは本当ありがたい。
また転生するところだった。
「いただきます」
嬉しそうに手を合わせるリリ。
俺も手を合わせて箸をのばす。
「わー。おいしい」
サラダにかかっているマヨネーズは異世界転生ものにはありがちな料理だが――。
「マヨネーズって昔からの王道ですよね。でも作り方は聞かないかも……」
「簡単だよ。酢とサラダ油、塩、卵を混ぜるだけだから」
ははは、と苦笑する俺。
この世界にはマヨネーズは昔からあるらしい。
世紀の大発見とはいかなかった。
そのためか、俺が有名になろうとする方法が見当たらない。
けど学院行ったら何か変わるのかもしれない。
未来に夢を馳せて俺は口元を緩ませる。
「んー。このグラタンもおいしい」
「そんなにおいしそうに食べてくれるなんて、本望だよ」
苦笑し、俺もグラタンにスプーンをのばそうとする。
「はい。あーん」
リリは頬を紅潮させつつスプーンにグラタンをのせて、こちらにあーんをしようとしてくる。
これがリリの可愛いところだ。
俺はあーんを受け入れる。
「うん。おいしい」
何度目かのあーんだからか、だいぶ慣れてきた。
最初は緊張して味もわからなかったものだ。
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