朝のコーヒー
特別優雅な朝を送ろうとは何も思っていなかったけど、自然にそうなったのはきっと、ドラマのおかげ。
朝、推しの声のアラームで起き上がると顔を洗い、水をコップ1杯飲んで、昨日デパ地下で買ってきた美味しそうな野菜パンを冷蔵庫から取り出すと、電子レンジの中に入れた。
10秒ほど温めたところでレンジから取り出し、1週間待ち続けたドラマをスマホで見る。
ドラマを再生しかけたところで、1つ忘れたものに気づいた。
昨日、友人から即席コーヒーをプレゼントしてもらっていた。私は普段、コーヒーは飲まないけれど、パッケージが可愛いもんだから飲まずには居られない。
ポットに水を半分ほど入れて、コンロにかける。その間に、コーヒーの粉末を、耐熱カップにささっと入れる。抜かりなくすべてをコップの中に入れたら、プラごみに捨てる。
引き出しから混ぜるようにスプーンを出して、お湯が沸くのをただ待つ。
私はふと外を見てみると、天気は荒れてはないけど曇り空。優雅な朝を過ごすには少し受け付けない天気かもしれない。でも、優雅な朝をつくりあげるのは私なのであって、天気が味方をしてくれるかどうかはそこまで関係ない。
だって、雨の日でさえ優雅な朝を過ごそうと思えば過ごせる。好きな音楽を家中に響き渡るぐらい(近所迷惑にはならない程度に)かけ流して、雨の降る朝の外を、ソファに座りながらぼんやりするのだって、全然ありだ。
ヒューーーーーー
お湯が沸いた。スイッチを切って、粉末の入った耐熱カップに半分よりちょっと多いぐらいお湯を入れる。
マキアートだから、上部にクリームが乗っかる。最初はこのクリームのせいで飲み物にたどり着けないのが面白いところだ。
これで、すべて揃った。
私は、既に画面の暗くなったスマホにもう一度命を灯して、ドラマを再生する。
と同時に、パンにかぶりついたり、コーヒーを飲んだりして、ドラマを楽しむ。
このドラマは深夜帯のものだから、時間としては30分にも満たない。だから、すぐに終わってしまう。
いいところまでいったと思ったらもう、本編の半分を過ぎていたり、もっと悲しいのは、画面の真ん中の下にキャストさんの名前が出ることだ。
そう。そのドラマの本編が終わりに近いということ。だが私はここでは終われない。もう1周する。どうせ、30分にも満たないのだから何回見たって精々2時間ぐらいしか時は進まない。
ドラマの内容にとても感動したり、胸が締め付けられて苦しくて泣いたりしながら、私の朝ごはんは終わりを迎えてきていた。
コーヒーも、残り僅かとなっており、私は全て飲み干すと、スマホの電源を落とし、洗い物に取り掛かる。
その
でも、それを乗り越えた先に、幸せが待っていると思うと、また今週も頑張るか、と少しやる気が出るような気もする。
一人暮らしの家というのは、本当に静かで、自分の心臓の音がうるさく感じるときも多々ある。
だからそんなときは、テレビでYuuTubeを開いて、音楽を流す。その時の音楽というのは、比較的落ち着いてるのが好ましい。こんなテンションがだだ下がりになった時に、お祭り騒ぎみたいな音楽がかかると、精神的な負担がすごい。
だからそれこそ、バラードとかそういう系が私の心を落ち着かせてくれる。
今日は休日だから何もない。また、ドラマを見返してみるとするか。
そうして、私の優雅な朝は、1日の始まりを示していた。
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