記録 No.28:チャットログ

資料種別: スマートフォンアプリのチャット記録

日付: 2025年3月23日


【筆者による注記】

報告書を書き上げたのは、深夜2時40分を過ぎた頃だった。

一種のランナーズハイのような高揚感と、全てを終えてしまったことへの深い絶望感が入り混じり、思考が麻痺していた。

私は、この呪いの始まりである青年、サクライ・ユウタ君のことが気になり、ほとんど無意識にチャットアプリを開いていた。

彼もまた、この呪われたネットワークに接続された、孤独なノードなのだから。


【チャットアプリ『Signal』のログ】


私 [AM 02:41]

サクライ君、夜分にすまない。<私の氏名>です。起きていますか?


サクライ ユウタ [AM 02:41]

先生! はい、起きてます。

怖くて、最近ほとんど眠れてないので。


私 [AM 02:42]

そうか……。すまない、不安にさせて。

実は、君から依頼された件の調査報告書が、たった今、完成したんだ。


サクライ ユウタ [AM 02:42]

本当ですか!

それで、原因は?


サクライ ユウタ [AM 02:42]

先生、やばい、今、玄関のロックが


私 [AM 02:42]

どうしたんだ?


サクライ ユウタ [AM 02:43]

赤いランプが点滅して、エラーみたいに

アプリから通知がきた!前と全く同じだ

誰かがそとから何度も…


私 [AM 02:43]

落ち着いてくれ。警察には?


サクライ ユウタ [AM 02:43]

待って


サクライ ユウタ [AM 02:43]

音がやんだ


私 [AM 02:44]

サクライ君?


サクライ ユウタ [AM 02:44]

まって

うちがわから


私 [AM 02:44]

どういうことだ! サクライ君!


私 [AM 02:44]

返事をしてくれ!


【これ以降、サクライ・ユウタからの返信はない】

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