第7話 遅刻
ケントは一人疑問を抱きながら、校門を抜けて校舎に入っていく。時刻は九時を超えていた。
教室に入ると三分の一の生徒がいないがら空きの状態であった。
赤沢「お!ケントやん、久しぶり~」
金崎「えー!?結構早かったね、おひさ~」
馬鹿二人がなぜかいた。何とも言えない日常がまた続くのかと思うと少し残念で遠いことのようで寂しく感じる。
颯田「おはよう」
赤沢「いやー、びっくりしたよ、まさかケントがゴールデンウィーク終わって数日間欠席するとはなー」
金崎「さっちがいなくて寂しかったけど何か悪いことがあったわけではなさそうでよかった~」
悪いことだらけだよ......とは簡単に口には出せないな。
赤沢「それにしてもなんか焦げた匂いするんだけど、もしかしてお前放火に巻き込まれた?」
颯田「そうだけど......」
金崎「よく生きてたね!あれ結構な人亡くなっちゃったみたいだけど......」
赤沢「寿命がここで終わるわけじゃなくてよかったわ」
寿命......は!そうか、この世界は人の死を運命で片付けるのか。
ケントはこの世界の死に対する考えを思い出す。最近は"他殺"がある前提の世界にいたからだろう。
だとしても辻褄が......
赤沢「今日は先生が話し合った結果学校を休みにしたらしいぜ。せっかく来たのに残念だよ」
金崎「でもトオルン、さっちを見れて嬉しくない?」
赤沢「そうだな!嬉しいぜ。ケントもそう思ってくれるらしいしな!!」
颯田「僕は何も言ってないけどね」
やっぱりコイツら滅茶苦茶だな......
金崎「思ってるね!じゃあ、どっか寄って帰らない?」
シオンが支離滅裂でかつ強引に誘い出す。それにトオルも乗り気なようだ。
赤沢「いいね!どっか行こうぜ、ケントもこれたらきてくれ」
颯田「え~、いいけど......」
時刻は午前十一時頃、校門を抜けた先にリツがいた。
僕は昇降口から遠くにいるリツに向かって信号を送る。あまりコイツらには見られたくない。
赤沢「おい急にどうしたんだよ外の方見て......え?」
金崎「え?もしかしてさっちの彼女さん!?」
二人はリツのいる校門まで全速力で駆け出す。これはまずいとケントも後を追ったが、追い付けるはずもなくなす術なく撃沈した。
金崎「...はぁ...はぁ......あれ?いない」
赤沢「いねえな、余計怪しくなるぜ、ケント?」
二人の目線はケントの方へ向かう。
颯田「いやあ、知らないけどな......」
赤沢「じゃあ、さっきのは何なんだ?」
颯田「えっとぉ......」
金崎「怪しい、でも絶対さっきの子と繋がりがある。トオルンここは......」
赤沢「そうだな......」
金崎&赤沢「経過観察だね(な)!」
また、その生暖かいような目をコイツらは向けてくる。
颯田「だから、そういうのじゃないって!!」
赤沢「安心しろ!俺らはいつまでも待てるぜ」
金崎「だから、今日はあの子といなさい!!友達として命令するわ」
二人して何なんだよ......
ケントは背中を押されリツと集合しようと努める。
下北まできたはいいものの......何処にいるんだ?
ルータ「お!颯田~こっちだぞ」
リツを探していたらなぜかルータさんがいた。
駅前のバスターミナル付近に一台の車に乗っていた。僕は言われるがまま後部座席に乗り込む。
颯田「リツはどこにいるかわかります?」
ウッドストン「あー、アイツは先にGATHERに帰らせた。すこし用事を頼んでな」
ルータはケントを乗せてGATHER本部へと向かう。昼時であるため、お腹が空いて意識が散ってしまいそうだ。
ウッドストン「何か食べるか?......と言いたいんだがな、この周りの料理店がつぶれてあまりレパートリーはないけどな、何か要望はあるか?」
颯田「じゃあ、ーーはどうですか?」
ウッドストン「え?知らないなそれは......ないと思うから、他のでいいか?例えば......」
ケントはよくシオンやトオルに連れられたーー店がないことに気づく。そしてそれが自分でも認識があいまいになってよくわからなくなる。
颯田「じゃあその『ハンバーガー』というものでお願いします」
細い道を辿り、人気の少ないところにその店はあった。どこにもないような異彩を放っていた。
ウッドストン「食べたことはあるか?」
颯田「無いですね......そもそもその名前を知らなかったですし」
ルータが期待の顔をしている。まさにそれはこれから出てくるあらゆる品を向けた眼差しであろう。
ウッドストン「食べたら衝撃を受けるぞ!」
颯田「そんなにすごいのですか?なんか楽しみになってきました」
程なくして品が届く。その見た目は......言わなくても想像できるだろうが、この世界においては奇妙なルックスをしている。
颯田「美味しそう......ですね」
ルータ「なんかさっきよりも目がすっきりして見えるぞ」
ケントは眠気が引いていることに気づく。そして頭の中がそれを食べたいのだと叫んでいる。
口にするとパン、肉、野菜、ソースが鮮明でかつ互いに協調して僕の味覚を覚醒させる。
「ん~~!!」
喰らっていってほぼ半分に差し掛かった辺り、視界が広がっていくように感じる。
颯田「ハンバーガーに目がくらんで見えていなかったけど、この飲み物は?」
ルータ「これはな、コーラというんだ」
焦げ茶色の見た目とシュワシュワと炭酸が奏でられる音がする。得体の知れない飲み物に戸惑いを隠せないがルータさんが「おいしいぞ」とか言ってきたのでコップに手を添える。
結露が掌を覆いつくし、気泡がいくつもあふれ出ていくコーラに口を近づける。
今まで味わったことの無い味が舌と口内に広がっていく。炭酸の空気感が心地いい。
ウッドストン「どうだ?昔のアメリカはこんなのも作っていたんだ。それだけすごい国だったんだろうけどな」
今では国としての機能を持っていない。失われし米国とでも名付けられたりする。
ハンバーガーを平らげ、コーラを飲み干し、さあGATHER本部に帰ろう。
颯田「ここからGATHRに行くんですか?」
ウッドストン「ああ、そうだよ。そういえば本部についてまだわかってないよね?」
颯田「はい、そうですね。入院したぐらいだし......」
ルータはそれを聞いて1つの名案を思い付く。二人の少年少女の親交を深めるための。
ウッドストン「じゃあ、案内する。リツもしたがるだろうし」
颯田「ありがとうございます!」
ルータがアクセルを踏み、ケントが軽やかな表情で颯爽と吉祥寺まで向かっていった。
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