[MEMO]case:「弟よ、すまなかった」
[MEMO]
使用者氏名:榊原■
年齢:82歳
職業:無職
■/■ 江波・連絡「さんげの箱発見」
■/■ 聞き取り/メモ開始
■/■ 江波・連絡→榊原氏へのインタビュー希望(日時:■/■、■/■、■/■、■/■、■/■)
■/■ 江波・連絡「インタビュー拒否」→報告形式の協力要請
■/■ 榊原氏について(弟について)■■や■■■■などを参照し調査/江波・報告
■/■ 江波・報告「変化について」
■/■ 江波・連絡→再度インタビュー要請(拒否)※以降インタビューは無しとする
■/■ 江波・報告「家族関係/身辺情報について(可能な限り)」※公開なし
■/■ ■■■■について、特定できず。→留意
■/■ 榊原氏急逝
■/■ 調査継続/使用済みさんげの箱、引き取りの交渉(■/■)
■/■ 調査結果→[MEMO]記載用に整え
■/■ 使用済みさんげの箱、受取日確定→■/■
■/■ 追跡終了
榊原氏の死は
医師の診断では「老衰」。
呼吸不全によってゆっくりと息を引き取ったようだった。
現場(ベッド)に多少の乱れがあった事から、
苦痛を伴ったことが想像できるものの、
その表情から、生理的には静かな最期だったそうだ。
これまでの調査から得た一つの仮説として、
さんげの箱にはやはり効能がある。
その為に日常が変化したようにすら感じるほど、
殆ど強制といえるほどの、「過去の清算」を必ずやり遂げなければいけないという強力な自己暗示。
これは、確証バイアスの延長線上に説明できる、現状で最も有力な仮説であると考える事が出来るだろう。
しかし、なんの事前知識もない者が、
正当な手順を踏んで「さんげの箱」をただ行ったというだけで、
どうしてそれほどまでの自己暗示に踏みこむのか。
何かがあると考えていいものか――
僕は、そのように考えていた。
今回の件について調べていくうちに、件の火傷痕に関しても分かったことがあった。これについては別途、皆様にもご覧いただければと思う。
それを踏まえて、現在、さんげの箱には自己暗示“だけではない”効力について考察する余地が出来てしまっている。
今回の件を、前記仮説にあえて当てはめて考えるのなら、
榊原氏の行動は、まだ当時の僕も、彼女も知らぬ榊原氏の過去の清算に向かっていったはずである。(時間切れ的に逝去された可能性もある)
そうであるならば、本人が望んでいなくとも過去の精算が実行させられてしまったという可能性が“考えられてしまう”。
ハッキリと言及しきれない為にこのような結論になってしまうが、
榊原という一人の人物は、さんげの箱との関与によって現実に、『過去へ行っていた可能性がある』
結びに、
当エピソードについては、僕自身の心内描写もなるべく確実に、そして赤裸々に描くよう意識した。
綺麗ごとにはしない事で、忘れてはならない咎として作品を描ききることで、亡くなった榊原氏への僕からの追悼に代えることができたならばと考えた為だ。
江波には十分な事情説明のうえ、動機も含めて許可と了承をもらっている。
榊原氏のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。
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