第2話 階層ボス徒歩10分

まず最初に視界に入ったのはでかい噴水だ。その次に腹ばいでリスポーンしてきたプレイヤー、いや、このゲームはNPCもリスポーンするのだった。こいつはどっちなのだろうか?

 勇者の奇跡という物でこのゲームのNPCは不老不死となったらしく。ほとんどがプレイヤーと変わらないシステムを使えるらしい。その人たちの事をプレイヤー含めて、不死人と呼ぶ。


 装備が壊れ、地に伏せている不死人を踏みつけ、正門を目指す。

 攻略Wikiにこの階層ボスまでの道のりは載っている。目指すは階層ボスアダマンタイトゴーレムだ。


  道中は無視して初戦闘をボスにしたい。何かスキルが生えてくるかもしれないから。


 ~少女移動中~


 階層ボスのいる地下遺跡はリスポーン地点、始まりの街から結構近い距離にある。私で10分くらいでついてしまった。

「AGI全振りでこの時間なら他のプレイヤーでも30分位でここまで来れるよね?」


 今私はボス部屋の前に足を広げて座っている。

 少し錆びて、ボロい扉がありその奥に階層ボス、アダマンタイトゴーレムがいる。

 そしてこの部屋の入口に目を向けると色んな形をしたゴーレム達が私のいる所へ来ようとぎゅうぎゅしている。


「思わずトレインしてしまったけど、逃げるは戦闘行為とみなされないかな?戦闘行為になるのだったらもう珍しいスキルは取れないか」


 スキルを得るにはさっきアルデナが言っていたレベルアップと他に、行動経験値と言うものを一定まで貯めるというのもあるみたい。他にもスキル入手にも色々条件があるらしいと攻略記事にもあった。


「まぁいいや、初戦でなにか強いのが生えてくるとは思えないし。さっさと入ろう、私の火力ゴミだし」


 今回レベルも上げずに階層ボスに挑むのは何も投げやりとかじゃあない。

  ちゃんと勝てる見込みがある。


 配布される初期装備には破壊不可と最小保証ダメージ10というのが付いているからだ。

 破壊不可はそのまま耐久値無限。最小保証ダメージ10は攻撃し、当たった場合ダメージ10は必ず与えますよという親切スキル。これがあったから私はAGI全振りの道を進む事が出来る!手数でゴリ押すのだ!


 扉が開くのと同時に自在槍を振るうそして駆ける。


「まぁ手応えはないね」

 返ってくる反動は弾かれたようなビリビリ痺れるようなそんな感じ。長いワイヤーを通してかだいぶ弱い反動だ。


 あっという間にアダマンタイトゴーレムの懐え。そのまま止まらず右足を切り付ける。

 弾かれる剣を無理やり押し出しもう一撃。


「かっってぇ」

 流石アダマンタイトめちゃくちゃに硬い。私のSTRじゃあ傷ひとつついていない。だが武器スキルの最小保証ダメージ10で相手のHPを10減らしているはずだ。

 ただ私のVITが0のためか反動で腕が痺れる。

「こっれ、しんどいぞ?」


 ここまでリアルな痺れは経験したことがない。

 

 私は初めての感覚には物凄く敏感で、システム的な手のしびれはある程度別ゲーで経験しているが、これはまた別物だ。リアル寄りのシステムだからか、過剰に反応してしまう。

「リアルじゃあこの程度何ともないのに。いや、そう言えばここまで硬いの叩いたこと無かったっけ?あれ?初めて?」


 そう言えば鉄とか叩き切る事はしていなかったような。そもそも人間の力では鉄は切れない。


 まぁいいやそのうち慣れる。私は敏感だけど慣れは早いのだ。


 アダマンタイトゴーレムの周りをぐるぐる回りながら、できる限り攻撃を続けていく。


 全長4~6mぐらいあるであろうアダマンタイトゴーレムの足は……というか動き全般が遅い。

 ただ、その分耐える構造なのか全体的に丸い。

 下手に攻撃すると滑って体制を崩してしまう。

 今少しつんのめった私に向かって腕を振り下ろしてきた。

 それを私は無理やり体をひねり、自在槍でパリィ。

 ガキンと重い金属同士のぶつかる音が私の耳に大ダメージを与える、パリィ判定内だったのかアダマンタイトゴーレムが大きく仰け反っている。

 私は動きの遅い攻撃のパリィはものすごく苦手なのだが今回はたまたま弾けた。この隙は逃さない!!


「その足斬り落としてやるぜぇぇぇえ!」

 足の速さを活かした全力の攻撃は与えてもダメージは10なのだろう。下手に力むより力抜いて手数増やした方がいいのだろうが、今の私のテンションは全力で殴れだった。


 全力で剣を叩きつけた私は弾かれた反動で手を離してしまい剣が後方へと飛ばされた。

 その隙をお相手さんは見逃してくれない。だがお相手さんは動きがトロイ。

 蹴り上げようと足を動かすのだが余裕で避けて、歩いて剣を取りに行く。

 AGIが高いからか歩きもそこそこ早いのだ。


 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る