第5話 元リーダーSide

《オクレールSide》


 オレ、オクレール・ウォートル。

 Sランク冒険者パーティ【黄昏の竜】のリーダーをやってる。


 不要となった荷物持ち、ガイアを切り捨てた。

 剣士のオレ、盗賊のメスガッキ、魔法使いのイエスマ。


 一切の無駄がない、完璧なチームの完成だ。

 これでオレたちは、どんどん出世して、周りからちやほやされることになる……。


 ぐふふ……って、思ってたんだが……。


「はあ……はあ……くそっ! くそぉ!」


 ここは、なんてことのないフィールド。

 ダンジョンに向かう道中で、オレたちはオークの群れと遭遇した。


 オーク。豚の頭をした、亜人型のモンスター。

 ランクはB。

 つまり、Sランクのオレたちからすれば、余裕でぶっ倒せる相手……だったはずなんだが。


「くそっ! 死ねぇっ!」


 オレは竜殺しの剣ドラゴン・スレイヤーを振り上げ、勢いよくモンスターへ叩きつける!


 この大剣の一撃は、巨岩すら粉砕する破壊力を持つ。

 敵の頭なんざ、粘土みたいにぺしゃんこになるはずだ……なのに。


 どごぉん!


「くっそぉ! また避けられやがったぁ……!」


 おかしい。今日はやけに命中率が悪い。

 敵の目の前に立ち、一撃で仕留めるのが、いつもの戦い方だ。

 なのに、同じようにやってるはずなのに……当たらねぇ!


「ぎゃっ!」

「メスガッキ!」


 一方で、メスガッキも妙に被弾していた。


「いっつぅ~……!」


 ポーションをがぶ飲みしながら呻く。


「なんか……変だわ……。身体のキレが……くっ……!」


 オークが再びメスガッキを狙う。

 いつもなら、あの大振りの攻撃なんて軽々と躱してたはずなのに……。


「でゅふっ! 石弾ストーン・キャノン!」


 イエスマが、オークの顔面めがけて石弾を発射する。

 いつもなら鋭く飛んで、敵の頭を砕いているのに──


 ひょいっ。


「んなぁ!? また、避けられただとぉ!?」


 ……なんだ。

 今日は全体的に、全ッ然うまくいかねぇ。


「でゅ、でゅふ……どうしましょう……り、リーダー……」

「オクレール様ぁ……あたし、ポーションの在庫が切れましたぁ……。分けてもらえませんかぁ~?」


 オレは舌打ちしながら、魔法袋に手を突っ込む。だが──


「ああくそっ! どこだよ……!」


 取り出せたのは、なんかよくわからん素材アイテム。

 もう一度手を突っ込む。……今度はゴミだ! チクショウ!


 魔法袋。

 たしかに、容量無限で重さも無視できる、破格の魔道具だ。


 だがな……中身を整理できねぇと、ただの混沌だ。

 どんどん入れられるが、必要なもんを探すのが地獄だっての……!


「でゅふ!? リーダー、前ぇ……!」

「え……ぎゃぁあ……!」


 うぐっ……いってぇええええ!!


 オークの拳が、モロにオレの顔面をとらえやがった!


「何ださいことやってるんですかぁ、オクレール様……!」

「うっ……うるせえ……!」


 クソが……! ガイアなら、必要なポーションをすぐに渡してくれた。

 いや、オレが欲しいと思ったタイミングで、何も言わず差し出してくれた……!


 なんでそんなことまで思い出してんだ、バカが……!


「リーダー! しっかりするでございますよぉお!」

「え……? ぶぎゃぁあああああああああああああああああ!」


 オークの鉄槌みてぇな一撃が、今度は胴に……!

 オレの身体が吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられる。


 どさっ!


「きゃーっ! オクレールさまぁああああああああああああああ!」

「撤退でござるぅう! メスガッキどのぉおおおおおおお!」


 ……ああ、クソ。なんだよ……どうして、こんなことになっちまったんだ……。


 Bランクモンスターなんざ、余裕のはずだったのに。


 なんで……オレたちが、後れを取ってんだよ……。

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