これであなたもヨガマスター!(かもしれない)

和泉ユウキ

Track1


//SE チャイムの音

//SE がらがらっと扉が開く音

//SE 学生達の賑やかな声


//SE たたっと軽やかに近付いてくる足音


「あ、いたいた~。待ってたのよ~」//おっとりした感じで


「私の方が講義が一つ無かったから。ふふ、講義を受けている貴方の横顔、とっても真剣なのに眠そうで、かわいかったわ~」//くすくすと笑う声


「え? 恥ずかしい? いやね~。私たち、恋人なんだから~。一緒になったらもーっと恥ずかしいところたくさん見ることになるのよ~」


「……え? ……あ、あら~。そうねえ。し、新婚さん間近みたいな会話になっているわね~」//少し上擦った声で


「でも、……いいじゃない? 今からやることは予行演習っていうことで……、ね?」//最後、囁く様な感じで


「ふふっ。それでね~。今から私の家に行くでしょ? だから、ご褒美を買って行こうかと思って」


「もちろん、あなたの大好きな生チョコレートケーキよ~。……好きでしょ?」


「ふふっ。もう、そんな顔しても駄目よ~。甘いものがとーってもだーいすきなのは、お見通しなんですから。付き合い始めてもう三年も経つのよ~」


//SE こつっと、至近距離で足音が鳴る


「……あなたのそんな困った顔。私だけが見れる特権ね~」//今までより近く、下から囁く様に


「あらあら~。もう、顔が真っ赤よ~。……え? 周り?」


「……そ、そうだったわ~。ここ、まだ大学だったわね」


「……え。いやだわ~。じゃあ、あなたのかわいい困り顔も、みんなが見たってこと?」//少ししょんぼりする様に


「……え?」


「……隠してた? 腕で? ……あら、確かに」//楽し気に


「……ありがとう。いつだってあなたは、最高のパートナーよ~」


「ふふっ。今まではたっくさんさけられていたのに~」


「え? ……あら~、だって事実でしょ~?」//少し悪戯っぽく


「そんなに焦って、……ほんとう、かわいいんだから~」


「今までヨガは絶対やらない! って言ってたのに~。どういう風の吹き回しだろうって、最初はちょっとびっくりしたのよ~?」


「え?」


「……好きな人の趣味だから、一度くらいはやっておこうかと思った?」


//SE しばらく、二人の間に学生達のざわめきだけが聞こえる


「……も、も~う。……そういう不意打ちは、よくありませんっ」//ちょっと「めっ」とする様に怒る感じで


「ちょ、ちょっと。笑わないでよ~」


「……もう。もうっ。……かわいいのに、いきなり無邪気な笑みで……男らしくなるんだから~。……これだから、かなわないのよねー……」//最後、聞こえるか聞こえないかくらいの声量で


「な、なんでもないわ~。さ、行きましょ。私も、あなたのだーいすきな生チョコレートケーキが食べたいわ~」


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