Ep.3 はじまりの街に到着!(プレイ開始から約20時間)

 10秒も経たずに、30人ほど居たプレイヤー全員が私に殺された。


 消化不良すぎるね……なんかもっといい感じのサンドバッグねぇかな。また自己強化に戻るか?



「街とかで暴れたら絶対重いペナルティあるしねぇ……そういえばまだ街すら発見してないじゃん!」


 予定変更、最初の街の捜索に移ろう。薄々気づいていたが、多分私は進むべきルートを逆走していた。


 今いる場所は【ジマリハ平原】、つまり最初のエリアだ。多分、この近くに街が……あったわ。私の進んだ方向の真逆に。


 それも結構近い……



「とりあえず、あそこに向かおうかな……」


 私はその街に歩みを進めることにした。





◇上空



 歩みを進めると言っても、別に歩くわけではない。


 私には羽がついているし、創り出した武器を射出してそれに飛び乗るというアレもある。なので基本、私の移動は空中だ。



「今のうちに入手したスキルでも見とこうかな……」


 先ほどの戦いで入手したスキルは2つ。【甲穿】は武器の攻撃に防御無視を付加し、【ブラッド・アーマー】はBloodとHPとを相互変換することができる。


 BloodとMPを相互変換するスキル……【魔瘴の血】は既に持っていることだし、【ブラッド・アーマー】とこれは合体させちゃおう。


 そうして完成したのがこれ。



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【黄金の血】

レアリティ:☆☆☆


▷常時発動能力

・BloodをHP、MP、その他一部特殊ステータスとして扱うことができる。こうして他のステータスとして扱った場合、消費Bloodを5%軽減する。

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 単純に元のスキルの上位互換であり、強化する際に消費するポイントも1だけでいい。


 やっぱ合成はもっと早く手を出すべきだったかな……


 そして、実は獲得したスキルがもう1つある。ユニークスキル……【ヘビーウォッシャー】だ。


 実はまぁまぁ楽しみにしているんだよね。頼むから強いスキルであってくれ……



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【ヘビーウォッシャー】

レアリティ:☆☆☆☆☆☆(ユニーク)

消費MP:100

クールタイム:10m


▷能力

・前方に、水属性の魔力を参照する小ダメージを与える。この攻撃がヒットした対象にはノックバックの効果が発動する。

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 何がユニークなん???







◇5分後




 あのクソみたいなユニークスキルは一度試し撃ちした後に分解した。


 一応、挙動とかダメージの確認はした方がいいと思ったからだ。


 しかし、現実は微妙なもので……スケルトンを一撃死させられない上に、そんなに吹き飛びもしないことが分かった時点で即座にこのスキルは分解された。


 5ポイントになったことだけは褒めてやろう。


 スケルトンのとこまで移動したということは、わざわざモノリスまで移動してワープ機能を使ったということだ。


 そのせいで無駄に時間を食った……許すまじヘビーエレファント。



 さて、そんなことを考えているうちに街の上空だ。え?新しく入手した職業はどうしたのかって?


 もちろん即戦力だ。かわいそうかもしれないが、魔拳士は副職業にベンチ入りしてもらうことにした。


 ベンチすら追い出される未来が今の時点で見えるが、まぁ今は気にしないことにしよう。



 羽を閉じ、地面に着地する。そのまま普通に門を潜り……何事もなく街に到着した。


 特にレッドネームは入れないとか、そういうものはないらしい。



 街を見渡すと、色とりどりの店が見える。ギルドらしきものや、武器屋らしきもの。防具屋らしきもの。


 プレイヤーがやっていそうなフリーマーケットもある。


 とりあえずは……防具屋に行こう。ドクロマークのTシャツ以外の装備はすべて破損状態なので、せめてマトモな服かなにかが欲しい。鎧は動きづらそうなので要相談。





◇はじまりの街オーヴァ:防具屋



「スペックがショボい……」


 なんだ防御力+3って。このドクロTシャツさんは+50だぞ。



「うーん……それなら見た目で選ぼうかな。これと、これと……あと、このコート」



 購入したのは白いズボン(防御力+2)と茶色いブーツ(防御力3)に、一応アクセサリー判定らしい白いコート(速度+1)を購入。


 そしてそのまま装備。頭装備はダサいのしかなかったから……また今度。



「ありやっしたー!」






◇道具屋


 武器は骨で足りている。なので私が行くべきなのは道具屋である。


 幸い、金ならあのゾウをぶちのめしたことでまぁまぁ貰えたから……回復アイテムを99個買ったりもできる。


 私のビルドはHPの上げ下げによって効果を発揮するものになっているので、回復アイテムはあればあるだけいい。



「これ、何個まで買えるの?」

「99999個です」


 思ったよりカンストが多い。流石にそんなには要らないし、どうせ初期回復アイテムなんてすぐ使わなくなるのは目に見えているので……


 とりあえずは回復ポーションとMPポーションを100個づつ購入することにした。







◇ギルド



「おうおうなんだテメェ?ギルドはテメェみたいなガキが来るとこじゃねぇぞ!」



 チュートリアルイベント『お馴染みの展開』は、はじまりの街オーヴァの冒険者ギルドに初めて入った際に開始する。


 ギルド内に入った途端、チンピラとプレイヤー自身のみが存在するチャンネルへと切り替わり、そこでチンピラを撃破するとイベントが進行する。



「ご、ごはぁ……」



 ……殺害してもペナルティはないので、ムカついたら殺してOK!(攻略サイトより)



 ということで、チンピラの頭に剣をぶっ刺してイベントを進行させる。


 ちなみにネット上では「これいる?」派閥と「絶対いる」派閥がだいたい50-50で存在しているらしい。どうでもいいだろ!


 この後はギルド長を自称する人が現れて、「アイツマジで邪魔だったから感謝」みたいなことを言いつつ、特例でDランクからスタートさせてもらうことになった。


 ちなみにプレイヤーは全員Dランクから始まっている。特例とは……つーかいくらなんでも邪魔だからといって殺人はダメじゃないのか……?





◇教会



「アナタからは邪悪な気配を感じます……アナタのような者を教会に入れることはできません。魂を浄化してから、またお越しくださいね」



 どうやら教会はレッドネームお断りらしい。私は「そっすか」とだけ残して次の場所へと移動した。






◇飲食街



「まぁまぁ美味いわ」



 私は『ダーティフロッグの串焼き』を食べながらそう呟いた。


 名前と見た目で恐れてはいけないという教訓である。でも後味は砂利みたいな感じであんまり好みじゃないから☆3ね。


 そんなこんなで、30分ほど食べ歩いた。空腹度って死んだら回復するだけのステータスじゃなかったんだね……!






◇オーヴァ:北門



「おもしろい物はあったけど、別に来なくても良かったかな……」


 1時間近く遊んだ感想はこんな感じだった。まぁ、最初の街だしそりゃそうか?



「やっぱりレベル上げしてた方が性に合ってる気がする。今度はこっち方面に進んでみようかな……」


 しばらくは雑魚敵しかいないだろうが、まぁ開発者の意図に乗った方が大抵のゲームはおもしろい。大抵のゲームは。てな訳で北門からしゅっぱーつ!





◇ルクリスタ大山脈



 ジマリハ平原→はじまりの街オーヴァと来て、次のエリアがこのルクリスタ大山脈だ。


 私の探検していたスケイホアラ森林は別に第二エリアとかではないらしい。


 ゲーム内SNSによると、足場が悪いし敵が強いから4人パーティが推奨されている。


 というか、このゲームは基本的に4人パーティを常に推奨している。敵の体力多いから、そりゃそうではあるね。



 今の段階でここを突破しているのは攻略組くらいらしく、それ以外の有象無象はクマ型のモンスターにワンパンされて死に戻りしているとのこと。


 トップ層もたまにワンパンされるらしい。どんだけ強いんだそのクマ……


 まぁ私には関係ない、なぜなら空を飛べるから。現在は羽を用いた移動と、浮遊する剣に乗っての移動を用いて大山脈の上を移動中である。


 眼下には、青白い水晶と白い雪、でこぼことした岩で構成された山脈が見える。


 たまに見える小さい粒はプレイヤーだろうか、もしかしたらモンスターかもしれない。



「吸血鬼に羽付いてて良かったね、ほんとに」


 羽を大きく広げ、空気を切り裂くように加速する。道中で一際大きな黒い点が見えた、多分これが例の殺人クマだろう。


 私は高度を落とし、エクリプス・フォージを発動。生成した大楯おおだての上に乗り、大量の武器を生成。


 空中からクマに向けて、一方的にそれらを射出し続ける。


 20分ほど経過して、ようやくクマが倒れる。バカみたいに硬かったし、こいつもしかしてユニークモンスターじゃねー?



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『討伐完了』

『ユニークモンスター【“大山脈の主”キラーグリズリー】Lv.40』


《報酬》

・1,300,000 ゴル

・ユニークスキル【キラー・フェイス】

・称号【大山脈の主】

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『レベルアップ!Lv.37→39』

『SP獲得:12』

『スキル獲得:【剣舞王】【魔の心臓】』

『職業レベルアップ!武芸者Lv.1→3』

『ボーナスSP獲得:20』

『スキル獲得:【武芸百般・初】【武芸の心得】』



 とりあえず、クリティカル率が上がりそうな気がするので得たSPをすべて幸運に振る。


 【ダブルフェイス】のジョーカーのせいで、このゲームにおいてクリティカルが強すぎる。


 これを活かすためにもとにかくクリティカル率を上げたいからね……


 あと、入手したスキルの確認もしてみよう。私は大楯の上に座った。敵がいないと自動回復がしょっぱいし、早めに済ませよう。



 【剣舞王】は装備していない武器でのダメージ上昇、【魔の心臓】は魔力ステに応じてMP増加、武芸者系統のは普通にダメージ増加……とりあえず分解対象はいない。


 問題はユニークスキルだ。効果を見ると……プレイヤーに対するダメージの上昇らしい。



「いや、うーん……このゲームのスキル、対モンスター用の出力してるからなぁ。別にプレイヤーに対するダメージ上げても……」


 分解したら5ポイントかぁ……





◇5分後



 結局分解した。キラー・フェイスはスキル強化の糧となったのだ……南無。


 それと、スキルの合成も行った。つい先程入手したものを用いての合成だ。


 そして、それで手に入れたスキルがちょっと……いや、かなり強かった。



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P【無手の極意・完成+++++】

レアリティ:☆☆☆☆☆


▷常時発動能力

・武器を装備していない時、クリティカル率+100%、攻撃+1000、与ダメージ+100%


▷説明

『武器なき身こそ最強の武器』と、至高の魔拳士は言った。これはその魔拳士の生き様を示す孤高の極意、その完成形である。

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 元々は【剣舞王】と【武芸の心得】を合成すると【無手の極意・初】になるということで……これでもクリティカル率が上がるらしかったから、そのまま合成した。


 すると突然『大成功!』という表示が出て、【無手の極意・完成】になった……ならもうポイント全部ぶちこんで強化しちゃおう、という流れだ。


 今時に大成功システム採用してるゲーム珍しくない?


 まぁなんにせよ、このスキルによって私はついに骨から卒業することになる。


 今の私はあんなもん装備してるより素手の方が強い……これは魔拳士復活か?


 いや、まぁ結局生成した武器を発射して戦うのには変わりないから……果たして無手なのかは疑問が残るが。



 そして、このスキルでクリティカル率が100%確保できる訳なので……


 クリティカル率のためだけに装備していたジョーカーの【ゴールデンジョーク】はお役御免だ。


 もっといいのを私は持っている。


 元々はクリティカル率が低すぎて使えなかったが、今なら使うことができる。出番だぞ、【オールイン】!



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ジョーカー:【オールイン】

レアリティ:☆☆☆☆

【能力】

・100%を超過したクリティカル率を、クリティカルダメージに変換する。

【エンチャント】

・防御無視:7%

・クリティカルダメージ:21%

・クリティカルダメージ:27%

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 これで、私の攻撃はそのすべてが確定で2回クリティカルが発動。


 その倍率は合計で8.63倍……おおよそ8.6倍のダメージが入ることになる。


 あとさっきヘルプを読んだ感じだと、被ダメ軽減とかも貫通するらしい。本当にこれ計算合ってる…..?



「ま、それはおいおい試していけばいいや。とりあえずやることは終わったし、先に進……」



 私が大楯に乗って、山脈の先へと進もうとしたその時……下の方に、私のことをじっと観察している複数の人影が見えた。


 山脈を越える前に、ちょっとだけ遊んでいこうかな。


 

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