いかにしてネカマ吸血鬼はVRMMOで全プレイヤーを殺戮するに至ったのか? 〜気ままに悪役プレイしてたらいつの間にか『魔王』と呼ばれていた件〜

ゆきゆき

Season 1:レイドナイト

Ep.1 私たちの黎明




「アイラーティ君、ちょっとお願いがあるんだけど……このダウナーお姉さんの頼みを聞いてくれない?」

「またですか、アステリアさん。面倒事は嫌ですよ? というか、あなたは少なくともダウナーではないです」

「大丈夫大丈夫、ちょっとアウロレクスの冠を20個ぐらい取ってきてもらうだけだから……」

「いや、クソ面倒じゃないですかそれ」

「頼むよ、キミにしか頼めないんだ。これはね、私がキミを信頼してるって証なんだよ。私は信頼しない人物にこんなこと頼まない……それはキミが一番よく知ってるでしょ?」


 一旦は渋るアイラーティを私は軽く押し切った。

 毎回こうして一度断られてからやる気になるのがめんどくさいけど、最終的には言うこと聞くんだよね。


 あと何かやることあったっけ……そう私が考えていると、部屋の扉を開いて緑髪の人物が入ってくる。

 彼女はこのクランの副リーダーだ。冷静沈着、言うべきことは言う……そういう人物。



「アステリア、話がある。部屋を変えようか」

「それ今じゃなきゃダメ?」

「ダメだ」

「そっかぁ……」



 しぶしぶ、私は彼女について行くことにした。面倒事の気配がするが、致し方なし……






◇会議室





「結論から言おう。アステリア、お前を追放する。理由は分かっているな?」

「うーん、全然分かんないなぁ」

「お前がメンバーを誑かし、そして自分の目的のために利用し続け……そのせいでクランの秩序が乱れているからだ。お前を追放することは既に決定している、とっとと荷物をまとめてどこかへ行け」


 副リーダーは私にそう宣言した。



「は? いくらなんでもそりゃないでしょ。私があいつらを操ってるとして、それで何か問題ある?」

「あぁ、お前が仲間を“道具”として扱っているのは問題に決まっているだろう。現に何人かはお前のせいでこのゲームを引退した……自覚はあるはずだ、アステリア」

「“信頼”ってやつだよ、右腕ちゃん」

「お前のは“支配”でしかないだろう。理解したらさっさと出ていけ、そっちの方がお前にとっても良い結果になるはずだ」


 あぁはい、そうですか……とはならないよね。



「分かった、クランは抜けよう」

「そうか、なら良かった」


 彼女は心底ホッとしたような顔を見せる。

 同時に、私はにっこりと笑顔を浮かべて———



「でもムカつくから全員殺すね」

「なっ……お前何を!?」


 私は密かに習得していた自爆魔法の発動準備に入る。手元に魔法陣が現れ、そしてそれが一瞬で完成し———




「クソ共が……全員死にやがれーっ!!!」


 間近に落雷でもしたかのような轟音と共に、クランメンバー全員が死亡する。


 少し経った後に、クランリーダーからメールが送られてきたが……そんなもの無視して私はログアウトした。もうこんなゲームやらないもんねーっ!






◇現実———雪宮家



「オリジンズ・ウォー……βテストの評判はいいし、動画を見た感じグラフィックもすごいのは確かだ」



 私———雪宮ユキは今現在、ストレスが溜まっている。理由はクランを理不尽な理由で追放されたためである。


 なんで姫プしてただけで追放されなきゃいけないんだ……理由がこれっぽっちも分からないなぁ!!!



 ちなみに、今は次にやるゲームを探している状態だ。あのゲームはしばらくお休みする、精神に悪いからね。


 そして、その移住先の第一候補……それが『オリジンズ・ウォー』だ。


 開発元が同時に発売している新世代VR機器(約50万円)を購入しなければならず、ソフトも高く(約10万円)月額料金もかかる(月1万円)が、それ以外のすべての要素は魅力的。


 

 運営はさっきまでやっていたゲームと同じ。

 この会社は本当にクオリティの高いゲームを作ることで有名で、私は過去作もすべてプレイ済み。


 ちょっと……いや、かなりクソ運営ではあるのだが、ゲームのクオリティ自体は本当に高い。


 今、私の手元には新世代VR機器がある。つい昨日ネット通販で購入したそれは、チップのような形をしていた。



「えーっと、これをこめかみの辺りに押し付けて……うわ、すごい気持ち悪い感触……」


 もぞもぞと私の肌の中へと侵入していくチップ型のVR機器。害がないとはされているが、それでもこれは言葉にしがたい気持ち悪さがある。


 これ、本当にどういう仕組みなのか分からない。どう見ても生きてるだろこの動き……



「これで私も新人類だぜ……!」


 頭の中でいくつかの画面が浮かぶ。初期設定を行い、ゲームをダウンロードするためのショップを開いた。


 トップ画面にはデカデカと『オリジンズ・ウォー』の宣伝がされている。

 そのまま購入、そしてダウンロード。


 ダウンロードは1秒で終わった。これについては深く考えないこととする。



「さて、じゃあ……始めようかな」


 私の意識が、電脳世界へと飛ばされる。






◇起源空間


『キャラクタークリエイトを開始します』

『プレイヤーの記憶及び思考傾向からアバターを自動作成中……完了』

『プレイヤーの思考傾向から細部を最適化中……完了』

『このアバターを使用しますか?』



 ゲーム開始直後、目の前に現れたのは白髪ロングで青目の美女だった。


 これは私が前のゲームで使っていたアバターとも似た見た目で、それをより私の理想に近づけた……といった感想が浮かんでくる。



「このまま使うよ」

『アバター作成完了。ステータス設定中にも再度調整は可能ですので、その場合はそれを念じてください』

『これよりステータス設定を開始します』

『プレイヤーネーム、種族、主職業が選択可能です。その他はランダムで決定されます』


 目の前に入力画面が現れる。名前はいつも使っている“アステリア”を入力。


 種族は……吸血鬼を選択する。


 理由は私が吸血鬼大好き人間だからである、それ以外に理由なぞいらない。


 ちなみに吸血鬼は「Blood」という特殊なステータスを用いて戦う種族らしい。なんか楽しそうっすね。



「で、次は職業ね……」

『“魔剣士”を提案します』

「うーん……もっと何かいいやつあったりしない?出来れば武器を消耗しないタイプの職業にしたいんだけど……」

『“魔拳士”を提案します』


 まけんし……聞こえてくる音は同じだが、頭の中に入り込む情報は先程と違うものだった。いいね、これにしよう。



『以上で確定しますか?』

「いいよ〜」

『プレイヤーネーム、種族、主職業が確定されました。変更する場合はゲーム内で特定の行動が必要です。続いて、ステータスのロールを行います。攻撃、防御、魔力、速度、器用、幸運のそれぞれでランダムに1〜10のいずれかの値が設定されます』



 目の前で、6つのサイコロが振られる。なんか事前情報によると振り直しはできないらしいから……頼むよ、本当に。




—————————————————————

《基礎情報》

PN:アステリア

Lv:1

種族:【吸血鬼Lv.1】

主職業:【魔拳士Lv.1】

副職業:なし

武器①:【はじまりのグローブ】

武器②:なし

頭装備:なし

胴装備:【はじまりの服・上】

腰装備:【はじまりの服・下】

足装備:【はじまりの靴】

アクセサリー①:なし

アクセサリー②:なし


《ステータス》

HP:10/10

MP:10/10

攻撃:9(+1)

防御:4(+3)

魔力:6

速度:7

器用:10

幸運:9


《特殊》

Blood:100/100

—————————————————————



『ステータス設定が完了しました。これより、ゲーム本編を開始します』



 ステータスを眺めていたその時、頭の中に無機質な声が響く。そのまま視界は暗転し……








◇オリジンズ・ウォー:ジマリハ平原



「……?」


 目が覚めると、私は空にいた。どこまでも広い空、下には広大な平野や火山に氷雪地帯、砂漠など、様々なエリアが見渡せる。



「こうやって……手と足を広げると……完全にこれはオープンワールドゲームのオープニングですわ」


 果てなき冒険が大空にまで広がりそうな感じになったところで、再度周囲を見渡す。


 どうやら本当に空島もあるらしい。一際大きな空島からは滝が下に向かって流れている。


 さらに別の場所へと視線を移すと、なにやら真っ黒な大穴が見える。


 ラスダンか高難易度ダンジョン、もしくは無限に続くタイプのダンジョンっぽい。



 さらに目を移そうとしたところで、“落ちている感覚”が途切れていないのに、高度がまったく変わっていないことに気づく。


 なるほど、オープニング中はとりあえずこの世界を見てね、ということらしい。


 こんなにもユーザビリティを重視してくれている運営はきっと、理不尽要素なんてゲームに実装しないだろう。

 多分、きっと、おそらく……(過去作のことを思い出して疑心が芽生える音)



「あ、意識逸れたらまた落下し始めた。これ着地どうするの?」


 まさか水とか言わないよね?と私が思ったその時、私の真下の平野に光り輝く湖が見えた。水じゃねーか!



「えっちょっまっ普通に怖いからやめェェェェェァアアアアアアア!?!?!?!?!?」


 突然の急加速。ジェットコースターじゃねぇんだぞ!!


 風が全身を包み、体勢が強制的に変わっていく。あ、頭が下に……



「アァァァァァァァァァアアアアアアアッッッッッ!!!!!!!!」


 爆弾が爆発したかのような音と共に、私は頭から着水する。



「もがごぼっごぽぽぽぽ……」


 早く水面まで上がらなければ……と思っていると、自然と体が上へと浮かんでいく。



「はぁ、はぁ……死ぬかと思った……」


 私は顔を歪ませながら、そう独り言を呟く。


 湖から出ると、周囲は広大な平原だった。

 まぁやっぱり、ゲームの始まりはこういう場所じゃないとね。



『エリア到達:【ジマリハ平原】』



 視界のど真ん中にエリア名が表示される。デカすぎて邪魔だ。そう思った瞬間、エリア名の表示が小さくなる。本当にユーザビリティだけは一級だねぇ!?



「さて、とりあえずは戦い方の確認とかを……」


 私は周囲をキョロキョロと見渡す。こうして見ると、グラフィックのレベルは本当に高い。


 というか、電脳世界で五感が再現される時代がこんなに早く来るとは思っていなかった……とかなんとか、思考が逸れている私に向けて灰色のオオカミが突進してきた。


 認識自体はしていたので、そのまま体を少し傾けて突進を避ける。



 目を凝らしてオオカミを見つめると、その情報が頭の中に流れ込んできた。

 名前は【ジマリハウルフ】でレベルは1だ。



『わうっわうっ!』


 

 鳴き声かわいい。


 気を取り直して、私はとりあえず身構える。魔拳士の身構え方はよく知らないが、とりあえず格闘家っぽい感じで構えてみればいいだろう。



 「あ、そういえばスキルとかもあったね」


 脳内で2つのスキルの名前を唱える。



【ブラッド・ファング】

【ブラッド・ボイル】


 一定時間、攻撃で与えたダメージに応じて「Blood」ステータスを回復するスキル。


 そして、一定時間、「Blood」ステータスを消費し続け、その間「攻撃」「魔力」ステータスを上昇させるスキルを発動する。


 初期スキルがこの2つってことは、多分こうやって同時使用するのを想定してるんだろう。



「そんでもって……【魔滅拳】!」

『わうっ!』



 かわいい鳴き声がそこらに響く。そのまま続けて攻撃。5分ほど殴り続け……オオカミちゃんはようやく倒れた。長くね?



『レベルアップ!Lv.1→2』

『レベルアップ時、1〜10のランダムなスキルポイントが与えられます』

『SP獲得:10』

『スキル獲得:【魔力循環】』



「どう振り分けようかな……どう考えても火力上げないとヤバいんだよねこれ……」


 Lv.1の雑魚敵ですら5分かかったからね。持ってるスキルは全部使ったし、別になにか見落としがあるわけでもないはずだ。



「とりま攻撃に全振りしよう。単純にこれで火力は2倍だ」


 初手から敵がまぁまぁ強くて不安にはなるが、まぁとりあえずやれるとこまでソロでやっていこう。今は人と関わりたくない気分だ。



「さて……とりあえずレベル上げしよ!」


 まず安心するラインまでレベルを上げてから攻略する、これぞゲームだ。










◇3時間後


『レベルアップ!Lv.14→15』

『SP獲得:2』

『スキル獲得:【ブラッド・エナジー】』



「3連続でカスみたいな出目……確率が収束してきた感があるね。収束しないでいいのに」


 さて、不運を嘆いたところで……ひとつ報告しよう。私は戦い方を変えた。


 これまではひたすらにボコボコ殴るだけのチンピラだったが……今はたまにナイフをぶん投げるチンピラだ。



 レベル10で獲得したスキル【ブラッド・フォージ】は「Blood」を消費して武器を作成するスキルである。


 一見、私の選んだ職業である【魔拳士】には向いていない……そのように思えるスキルなのだが、ここにはひとつ落とし穴がある。


 それは、【魔拳士】のスキルは別に拳による攻撃を強化しているわけではない、ということだ。


 現在私が所持しているスキルを見てみると、「拳での攻撃によるダメージが上昇」とか、そういったスキルは獲得しておらず……大体のスキルが、私の攻撃すべてに補正をかけるものとなっている。



 つまり、別に拳にこだわる必要はない。それに気づいた私は不要な攻撃スキル……魔衝拳とか魔衝拳とか魔衝拳とか、そういったものをすべて分解した。


 魔衝拳は説明によると、衝撃を放ち敵を吹き飛ばすスキルだ。でも、あんなカスみたいな衝撃波はない方がむしろマシだからね。


 そういうスキルを分解し、得たポイントで【ブラッド・フォージ】を強化。

 私は血で剣を創り出し、それをぶん投げるタイプの魔拳士となったのだ……



「やっぱり遠距離攻撃の手段は欲しいよね。なんか敵もやたらと強くなってきてるし……これ本当に進む方向合ってるのか……?」


 やたらと急激に敵が強くなっていくのを感じながら、私は森の奥へと進んでいった。もしかして進むべき方向、逆じゃないか?







◇1時間後





 森の奥には、真っ黒な骨のみで構成されたモンスター……見た目通りの名前を持つ“ブラックスケルトン”が徘徊していた。


 このモンスターは非常に硬いが、経験値はおいしい。ドロップアイテムもおいしい。



—————————————————————

武器:【尖ったブラックスケルトンの骨】

攻撃力:120


《能力》

・低耐久


《説明》

剣のような形をしたブラックスケルトンの骨。尖っていて攻撃力が高いが、非常にもろく、すぐに壊れてしまう。

—————————————————————



 現在の私の「攻撃」ステータスは70……つまり、この武器は私の攻撃力を上回るスペックを持っている。


 で、ここからが話したいことなのだけれど……



「手に武器を持っているだけで、すべての攻撃にその補正が入る……壊れやすいとかのデメリットを完全に無視できるのはどうなんだろうかとは思うけど、ありがたく利用させてもらうね!」


 私は空中に生成した血の剣をスケルトンに放ち、そして生成の合間には拳でスケルトンを殴り、これを繰り返しながらそう呟いた。


 背中に骨を背負ってるだけで拳の火力が上がっていいんだね……



「しかも武器2本装備できるし……ここからは攻撃力を装備で補って、ステータスは魔力に振る感じで行こうかな……?」



 現在の私の攻撃力は大半が黒骨二本が担っている。これならまぁ、魔力に振った方が効率良さそう……?


 私のスキルは大体が攻撃と魔力の両参照だからね。攻魔両刀ビルドしようぜ〜!






◇12時間後



 20レベに到達してからというもの、まったくレベルが上がらなくなった。急にMMOらしさ出さなくてもいいよ。


 現在の私のレベルは23だ。1時間で5レベも上がっていた夢の時代は終わり……苦難の時代がやってきた。


 吸血鬼の種族レベル上昇に伴い、羽が生えたので行動範囲は広がったし……探索のペースも早まった。


 上から一方的にMobを攻撃できるようにもなった、が……必要経験値量が多すぎて本当にレベルが上がらない。



「金スケかも〜ん」


 そんな風にレアモブ経験値美味しいを願いながらスケルトンを狩っていると、突如脳内にログが流れ込んできた。




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『ブラックスケルトン撃破数:300/300』

『シークレットクエスト【スケイホアラ森林の浄化】クリア』


《報酬》

・10000 EXP

・10000 ゴル

・アクセサリー:【ひかる骨のおまもり】

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 なんかよく分からないクエストをいつの間にかクリアしていたらしい。貰えた経験値でレベルも1上がり、やたらときゅるんきゅるんしてる骸骨のアクセサリーも手に入れた。



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アクセサリー:【ひかる骨のおまもり】


《能力》

・不壊

・スケルトン種のゴールドモンスター出現率が3倍

・スケルトン種のアイテムドロップ率が2倍


《説明》

かがやくドクロの形をしたおまもり。身につけているとスケルトンに羨ましがられる。

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「良さげだけど……そろそろエリア進めようと思ってたからなぁ。もうちょっとだけここに残った方がいいか……?」



 本当に経験値が稼げないから、ちょっと無茶して次のエリアに進もうと思ってたけど……金スケルトンが出やすいのなら、もうちょっとだけ粘ってみてもいい。





◇3時間後


『レベルアップ!Lv.29→30』

『SP獲得:9』

『ボーナスSP獲得:30』

『ジョーカースロット解放。これからはモンスターが倒された時、ランダムで【ジョーカーカード】をドロップするようになり、それをジョーカースロットにセットすると自身の能力が強化されます』

『スキル獲得:【魔滅拳・戒】』

『種族レベルアップ!吸血鬼Lv.3→4』

『ボーナスSP獲得:10』

『スキル獲得:【紅月の昂り】』

『職業レベルアップ!魔拳士Lv.3→4』

『ボーナスSP獲得:10』

『スキル獲得:【無敵の拳】』




 おまもりを装備してからというもの、やたらと金スケルトンが湧くようになった。


 3倍っつっても元が低いしあんまり関係なくね?とか思っていたことをここに謝罪する。


 ちなみに、ここまでレベルが上がった理由はそれだけが理由じゃない。



 Bloodを消費して武器を作成するスキル、【ブラッド・フォージ】は、他の不要なスキルを糧に【カーネイジ・フォージ】へと進化した。


 このスキルは【ブラッド・フォージ】の能力に加えて、追加で血を消費することでクールタイムを100%短縮するという効果を持っている。


 与えたダメージに応じてBloodを回復するスキルなどと合わせると、それはもう……剣をぶん投げてるだけで敵が死ぬようになった。


 魔拳士のジョブ、今からでも変えていいっすか?ダメ?



 あ、そうだ。そういえば他にも面白いことがあった。スケルトンに剣をぶつけていると、1回だけ突然装備をドロップしたのだ。


 500体くらい倒してるけど、これが落ちたのは初めてだった。こういうドロップ率とか、本当に昔のゲームすぎる……



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胴装備:【骨プリントTシャツ・黒】

防御力:50


《能力》

・高耐久

・火属性耐性

・スケルトン種からのヘイト上昇


《説明》

黒い骨がプリントされた服。一部のスケルトンからは非常に人気で、装備しているだけでスケルトンの怒りを買う。

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 初期装備が防御力+1だっていうのに、このクソダサいドクロTシャツはなんと破格の防御力+50である(迫真)


 というか、本当にそろそろちゃんとした装備が欲しくなってきた。どこかに店ないかな……あ、まって空腹度がヤバい。



 ここまで私が死んだシーンをお届けしていなかったが、別に私は何回も死んでいる。


 死亡理由は主に自殺だ。たまにモンスターに襲われて普通に死ぬのもあるけどね。


 ここで、このゲームのデスペナルティについて説明しよう。


 このゲームのデスペナルティは『死亡時、ランダムな個数の所持アイテムをその場にドロップする』というものであり、これはすぐ近くにリスポーン地点を設定していればほとんど無いようなものだ。


 リスポーン地点についても説明しておくと、各エリアに存在する『モノリス』というもので設定することができる。


 この近くで死んだ場合、すぐにドロップアイテムを回収できるので、本当にこのゲームのデスペナルティは軽い。PKerに関しては……知らない。知ってても言わない。



 そして、デスペナルティが軽いゲームで空腹度が存在するとなれば……空腹度の解消方法はアレしかない。


 そう、自殺である!



 効率的に死ぬには「Blood」を0にするのが手っ取り早い。このステータス、吸血鬼が扱う第二のMPみたいに思っていたんだけど……実は体内の血液量を表すステータスらしい。


 なので、全身の血液がなくなると簡単に死ぬことができる。スキルを連打して即座にBloodを消費、最速貧血RTAだ。

 タイムは段々と遅くなってきているらしい。



「フォージ、フォージ、フォージ、フォージ、フォージ……ぁ」





 私は貧血で死んだ。



『死亡しました』

『【骨プリントTシャツ・黒】がドロップしました』



 あーっ!私のドクロTシャツがーっ!!!




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面白かったらフォローや☆☆☆レビューをくださるとありがたいです。

今までそんなのやったことなくて怖いなぁ……と思っている人も大歓迎です。ぜひ……!

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序盤は1話あたりの文字数が多めですが、基本的には3000文字程度が目安です。

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