ハイデンレースライン〜軍隊なんてこんなもん〜

ゆりかもめ

第1話 エーデルワイスの日記から1

泣く子も黙る、ハイデンレースラインと呼ばれる軍人たちがいる。クローズド帝国の中で、王の近衛兵として結成された精鋭部隊。


僕はその中で、将官クラスの上のひとたちと、下士官クラスの下のひとたちの中でリーダー格の小規模軍グループに大事なことを伝える士官、エーデルワイス。


本名は別にあるのだけれど、直接の、僕の上司でもありマインカイゼル、でもある方からいただいたお名前。


体は女子でも、魂はクローズド帝国を守る男児です、を認めてもらってハイデンレースラインに入隊したのだから。


名前ならライオンのレーヴェや、虎のティーガーで呼ばれたいです、ってマインカイゼルにお願いしたものの。


女の子なのだからレーヴィン、けれど雌ライオンの獰猛な部下を毎回呼ぶのは、乗り気にはならないね?


そしてエーデルワイス、高山に咲く小さな白いお花の名前になった。19才の入隊で、ありがたいことに27才の今では少佐。


お花として、そろそろ枯れかけかもしれませんよ? とマインカイゼルに進言すると、君は私の永遠の花だから、なんて仕事中に口説く。


季節にエーデルワイスが咲くと、階級を示すシンボルは消えて、ハイデンレースラインの僕の軍服には……。


マインカイゼルが添えた、そのお花が左胸に灯る。


マインカイゼルには敵わないなあ、って……毎年思ってますよ、上官殿。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る