アルカリフリーガラス

■ 定義


アルカリフリーガラスとは、一般的なソーダ石灰ガラスに含まれる Na₂OやK₂Oなどのアルカリ酸化物をほとんど含まないガラスを指す。主成分は二酸化ケイ素(SiO₂, 約60〜70%)とアルミナ(Al₂O₃, 約10〜20%)、加えてCaO、MgO、BaOなど。アルカリ成分を排除することで、電気的特性や耐久性が大幅に改善されている。



■ 1. 電気的特性


・アルカリイオンが存在しないため、電気絶縁性が高い。


・半導体素子や液晶駆動回路との相互作用が少なく、信頼性が高い。



■ 2. 熱的・機械的安定性


・熱膨張率が小さく、温度変化による歪みが少ない。


・機械的強度も比較的高く、大型・薄型化が可能。



■ 3. 化学的安定性


・水分や薬品による劣化が起こりにくい。


・長期の使用環境でも性能を維持。



■ 4. 光学的性質


・高い透明性を持ち、可視光域で優れた透過性。


・表面平滑度が高く、微細加工に適する。



■ 5. 主な応用


・液晶ディスプレイ(LCD)基板ガラス:薄型テレビ、スマートフォン、モニター。


・半導体製造基板:フォトマスク、微細回路形成用基材。


・有機ELディスプレイ:次世代ディスプレイの基盤素材。



■ 締め


アルカリフリーガラスは、情報社会を支える「透明な土台」として、現代文明に不可欠である。ソーダ石灰ガラスの安価な普及性や、ホウケイ酸ガラスの耐熱性を引き継ぎながら、電気的・化学的安定性を極限まで高めることで、ポスト透明性期における「人間と情報世界の界面」を保証している。

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