華間 -カカン-

8ツーらO太!

 深き縦穴の底 昼の光も届かぬかそけき地に 誇華こかそのと呼ばるる秘めたる場所ありけり


 その園 年に一度 白き光を放つ


 光は ひとつのむしが 命をにえそなへしときに 蟲の鼓動一〇八たびの間のみ 輝き続くものなり


 かくして園は その蟲と深く魂を交はした華の 胸に秘めし願ひを ただひとつばかり叶ふる




 いにしへのことなり


 ××王 自らが従へし××蟲間ちゅうかんを供物とし 華界唯一の王となりぬ


 されど安寧は続かず ××王 傷を負ひて死に瀕し 天よりのしめしを賜はりぬ


 今よりのち 華界かかいせきとうおうりょくせいらんの七国に分かたれ 果てなき戦の世とならむ


 幾千年と続かむその乱れを制し 勝ちを得し王はただひとり――幻の夜華間やかかんを手に入れし者なり、と



 夜華間は やみ色の髪、象牙色の肌、落栗おちぐり色の瞳を持つ者なり


 輪廻転生を与ふる力を宿し 賢王に付きて その国を久しき繁栄へと導かん

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