第7話 事の経緯
〜 しばらくして 〜
「ほんっと助かったわ。危うく死にかけたもの。助けてくれてありがとうね、ルイちゃん♡」
「大丈夫です、そちらも頭とか大丈夫そうで何よりですよ」
あの後に話しかけた属性過多の人は俺でも見た事の無かった異世界の青色の薬であるポーションを取り出して飲んだ。するとすぐに効果が現れて体の傷は癒え、ついでに筋肉が少し膨張して圧を更に感じる様になった。
んで、今は2人で洞窟の中まで男女の死体を運んだのちにお互い自己紹介をした所だ。なんとこの猫耳と尻尾を生やした顔が濃い褐色スキンヘッドのオカマは俺が10年後に向かおうとしていた公益都市コミッケのギルドに所属する職員さんで、名前を『アサミ』さんと言うそうだ。
「ルイちゃんのおかげで無事に『麻薬』を栽培される前に種を全て回収できたし下手人2人を死体とはいえ確保できた。ほんと大助かりよ♪」
「はい、村に持ち込まる前に事態を解決できたのはコンカッツ村の一員として良かったですよ」
そうアサミさんは俺に米袋サイズの中身が入った麻袋を担ぎながらそう話してくれる。
話を聞くに、アサミさんがこの地まで来たのはこの2人が冒険者としてギルドに所属しているにも関わらず、外国から今アサミさんが持っている寒冷地のみ栽培できる麻薬の種を秘密裏に密輸してコンカッツ村を中心に栽培させて一儲けしようとしたらしいのでその対処と種を回収するために今死体となっている2人を尾行してこの地に来たらしい。
その麻薬っていうのが『堕天菜』というテン菜と大根を足した様な野菜であり、これをぶつ切りにして煮詰めると『ヘブンシュガー』という麻薬に分類する砂糖が手に入る。砂糖としてなら甘さは控えめであるがその砂糖をひと舐めでも摂取すれば砂糖に含まれた幻覚成分によるハイになる成分とかなり強い依存性と中毒性のせいでやめられなくなり、更に摂取を続けると歯が溶けたりし始めて…最終的には精神負荷に耐えられずに廃人になる。
しかもこれは麻薬と言っても普通に砂糖と変わらない、だから料理や飲み物にも混ぜる事が可能。子供にも摂取させ易いという利点もあり各国の機関が第1種危険麻薬植物という扱いで規制を強化している。
んで、こいつを育てるにはまず第一に必ず冬に雪が降るくらいに寒い土地の冬の期間しか栽培ができない。それ故にコミッケのギルドで商船の航海中での警備の依頼を何回も受けていた犯人2人はその警備での航海で栽培方法と種を入手して秘密裏に王国に密輸、コミッケから定期便が出ていて尚且つ山岳地域であり雪が必ず降るコンカッツ村に目をつけたのだ。
「私達の調べだと、コンカッツ村からの出稼ぎに来た男性2人が去年の冬に近くの街の『ヨクアール』に来た際にこの2人と接触したらしいのよ。その際に種を少し渡されて、そして今年の夏に明らかに砂糖と思しき粉が入った小瓶をヨクアールの裏路地で犯人達に渡していた。だから私達ギルドは本格的に栽培が始まる前にこの2人を抑えようとしたんだけれどね…まさか種の隠し場所のこの洞窟にノアールベアが住み着いていたのは私や彼らも予想外だったのよ。おかげで犯人の2人は死亡、私は穴の近くて穴から飛び出てきた男性の方に突き飛ばされたのちに穴から這い出てきたノアールベアの追い打ちで意識を保つので精一杯の状態だったの♪」
「それは…御愁傷様です」
「ノンノン♪おかげでコンカッツ村の人とこんなに早く出会えたから、事情を話せた上で村長との交渉で架け橋になってくれるようにお願いできるからお釣りがくるわ♡」
「なるほど、さっきからこんな重要な事を包み隠さず話してくれたのは村長との繋ぎが欲しかったからなんですね」
「そゆこと♡」と言ってウインクをして腰をクネクネと動かしているアサミさんを見て俺は納得した。
俺の住むコンカッツ村は別に閉鎖的な村では無い、必要とあれば出稼ぎにいくし村に住みたいと外から来た人が村長に言えば住むことも簡単に許される。だが、流石に国際機関であるギルドの職員が村人の中に犯罪者がいるから協力しろって感じでいきなり尋ねたらいくら村長でも考える時間はいるし、その様子を他の村人に見られたりしようもんなら村人のネットワークですぐさま拡散されて混乱を招く可能性は高い。なんなら犯人達も噂を聞いて村長の判断を下す前に逃げる可能性すらある。
なら最初から村人の1人に事情を話して協力者になってもらう方が色々と村人に勘付かれなく村長とも円滑に話が通りやすくなるのは理解できる。この猫耳褐色スキンヘッドのギルド員は見た目と言動はヤバいがキチンとした考えと配慮ができる人なんだろう。マジで言動はヤバいがな。
「分かりました。なら俺が村長に繋ぎますよ、これでも村長と飯を食う仲ですからね。二言で連れて来れると思います」
「本当!?…あ、そう言えばルイちゃんって今何歳なの?見た目だと7から8歳位に見えるんだけれど??」
「昨日で5歳です。何せ貧乏農家の5男ですからね、飯もマトモに手に入らないからこうしてなりふり構わず狩りをしてたら一年で見事に村の狩人の仲間入りをしましたよ」
俺がそう話すとアサミさんは「あらやだ、将来有望ね♪」と言って笑顔になった…あ、そう言えば聞いてなかった事があったわ。
「いや、今は年齢はいいんで。取り敢えず話を聞くに出稼ぎに街に行った犯人の村人は目星がついているんですよね、名前とか分かりますか?」
話を聞くに、おそらく出稼ぎに出た村人には目星はついている感じだった。だから村長にいう前に名前の確認をしないと呼び出す際に手間がかからない。これを聞かないとダメだ…
「えっと…確か出稼ぎの際の必要書類に書かれていた情報だと、25歳の『グレア』って人と21歳の『ダン』って人よ」
「おっふ」
いや、これは普通に聞きたく無い名前が出てきてしまった。いやマジで何やってんだよあの2人。
「…アサミさん!」
俺はアサミさんに向かって勢いよく頭を下げる。それを見たアサミさんは何かを言おうとしたが俺は更にこう言った。
「今回は俺の兄弟の長男と次男がご迷惑をかけて、本当にすみませんでした!!」
いや、だってグレアとダンって名前は村では俺の兄弟しかいないんだよ。しかもあの2人は偶に出稼ぎ以外にも遊びに街に行くらしいって双方の嫁さんと子供達から愚痴られていたから多分間違っていないんだよな…クソが!
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