或るソーシャルゲームのエンディング
実は。
Fate / Grand Oderというソーシャル―ゲームを十年間ほどやり続けていた。
この程めでたくエンディングを迎えた。
私、この三か月は実に体調がまずく、まさか十年連載の最終回を見ずに終わるのかと絶望したのだが、何とか布団の上でスマートホンを操作できるくらいには落ち着いてくれた。
エンディングまでやり切った。
最後の項まで読み終えた。
良い作品という物は、終わりまで辿り着いたとき、苦痛を伴う。
文字通り、「心に刺さった」ものを引き抜くのだから、肉体と同様に傷口からあふれ出る物があるのだ。
だがこれはきつい。
気が付いていなかったが、「刺さる」どころではなく、完全に心の一部にべったりと癒着していたのだ。
それを引っぺがした衝撃は、痛みよりも喪失感が強く、血液よりも複雑で鮮烈なものが今もどくどくと噴き出し続け、嬉しいのか苦しいのかすら分からない。
心の着き場がどこにもなく、空白を埋めるために何かを求めているのに、何をすればいいか分からず、青空を見上げて呆然としている。
そして、一つだけ思いついたことがあった。
空白のページに、何かを書くことだ。
「かさぶた」だよ。
血が固まって傷を埋めるように、心からあふれ出たものを形にして欠けた部分をわずかに取り戻すのだ。
他人から受け取るもので虚無感を取り除こうとしたって駄目なのだ。
虚空の形は自分だけの物。
必然、それを満たすピースは、自分の手で鋳造しなければいけなかった。
どれだけちっぽけで不格好でも、たぶんそれしか寂しさを払うすべはない。
そうして、私は空白に文字を書いている。
取り戻せるものなんて何一つないが、無意味ではないと信じて。
まっしろの上に、泥のような跡を刻んでいる。
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