第17話 私が私を見ている

「どうだった?」

「どうだった……?」

「ほら」

 そういうとさっき撮った写真を見せて来る。あの後も何枚か撮った。

 顔は移ってなかったので、そこはまあマシだ。

 やせ型なので腰のラインは細い。パットを入れたから胸元に膨らみもある。

 彼女の剃ってくれた腕や足は白い。

 そして──ドレスの股には本来ないはずの膨らみがある。パツパツに圧迫されたそれが線を形作っている。

「セクシーでしょ?」

 ニコリとほほ笑むトリオさん。彼女の趣味は分からないけど

「そうだね」

 自分のソレに興奮するなんて──折角彼女が取ってくれたんだから、彼女の手腕によるものだと思おう。

 でも何となく、彼女の見る景色が分かった気がする。

 僕は彼女みたいに自分のことをセクシーだとは思えないし、自信を持ってカメラに映ることもできなかった。

「顔写してないってことは……まさかこれも載せる気じゃないよね?」

「え、載せようよ。上手い事撮れてるし」

「需要無くない?」

「私が皆にも見て欲しいから載せる」

「トリオさんの心中にだけ納といて欲しいかも」

「それはそれでいいけど、これはこれでいいでしょ?」

「……まあ、トリオさんが良いなら、それで良いよ」

「他人任せ」

「こんなに身を任せたから」

「緊張して硬くなってた」

「それは……」

「そっちは興奮」

 サラッというけど……彼女の手がさっきまで触れていたんだと思うと、もぞもぞしてくる。

「今度は僕に身を任せて」

「今度があればね」

「……すぐありそうだね」

「アヤタカ君は帰らなくて大丈夫なの?」

「帰らせたがってる?」

「一度頭を冷やしてから考えようかなって。このままだと、始まっちゃいそう」

「寝恵さんは飲み会で遅いから、帰っても僕一人だ」

「じゃあ、一人でファックしてて。私も一人でファックしてるから」

「別々にやるぐらいなら、一緒にやった方が効率的じゃない?」

「じっくり、いきたいの」

「早漏なの?」

「言い方を考えて欲しいし、あなた以外の人とだったら、そんなに早くはイカない」

「想像だけさせてないで、やろうぜ?」

「そんなにやりたいの?……今のアヤタカ君、凄いダサい」

「ダサくないときなんてあったかい?」

「多分、思い出せないけど」

「思い出せないくらいなら、帰るわ」

「うん、そうしな」

「じゃあね、マイ・レディー」

「……今度ね」

「僕が積極的みたいになってるけど、きっと次会う時にはトリオさんから来てると思う」

「予言が当たると良いね」

「僕の予言が外れたことなんてあったかい?」

「他の予言も前もって教えといてね」

「今夜僕らは──ちょっと仲が深まる」

「明日は?」

「トリオさんに明日は来ない」

「ドレス脱いでから帰ってね」

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