第37話 私と貴女㊲
朝起きると隣では彼女の寝顔がありました。
私は彼女の前髪をかき分け、額に口づけをします。
そして耳元で囁きかけました。
おはようと告げてから彼女の顔をまじまじと見ます。
普段は隠している素顔が見られることに少し優越感を覚えつつ、まじまじと見つめるのです。
顔にかかった髪をどけながら、ゆっくりと顔を近づけていきます。
距離が縮まるにつれて心臓の鼓動が早くなっていくのを感じます。
あともう少しというところで目が覚めてしまいました。
残念ではありますが、夢で良かったとも思いました。
でも、いつか現実になって欲しいと思いますしそう願いたいものです。
「ん……おはよ……」
彼女が目を覚ましましたので、挨拶を交わしてから朝食の準備を始めました。
今日はフレンチトーストを作る予定です。
パンを四等分に切り分け、卵と牛乳、砂糖を混ぜ合わせた液体に浸します。
ある程度染み込んだらバターを溶かしたフライパンで焼いていきます。
こんがりきつね色になるまでじっくりと焼き上げましょう。
焦げ目が付いたらひっくり返し、蓋をして蒸し焼きにします。
しばらく経ってから完成したものを皿に盛り付け、蜂蜜をかけて完成です。
それを食べながら、今日の予定について話し合いました。
特にこれといって決まっていないので、近場のショッピングモールへ行こうかということになりました。
支度を整えて、マンションを出ました。
エレベーターに乗り込んで、地下駐車場へ向かいます。
車に乗り込み、エンジンをかけます。
アクセルを踏み込み、発進させます。
道はあまり混んでいないので、スムーズに進むことができます。
目的地に到着して、駐車場に停めました。
入り口から中に入ると、様々なテナントが並んでいます。
洋服屋や雑貨屋、本屋などがあります。
とりあえず、一通り見て回ることにしました。
洋服屋では、お互いの服を選び合いました。
彼女はどんなものが似合うだろうかと考えながら探していましたが、なかなか決まりません。
悩んでいると、店員さんが声をかけてきました。
店員さんにオススメされたものは、白いブラウスと黒いスカートの組み合わせでした。
確かに清楚なイメージがあって良いかもしれません。
しかし、もっと攻めたコーディネートもありかなと思ったので、別の商品を見て回りました。
赤いワンピースを発見しました。
派手な色合いですが、意外といけるのではないでしょうか?
試しに着せてみて、鏡の前に立たせました。
結構似合っていると思います。
「どうかな?」
彼女は尋ねてきます。
「うん、いい感じじゃない?」
私は答えます。
「じゃあ買っちゃおうかな〜」
彼女は笑顔で言いました。
その後もいくつか試着をして、気に入ったものを購入しました。
次に行ったのは、雑貨屋でした。
文房具やインテリア用品、食器などが置いてありました。
中でも興味を惹かれたのは、ハンドメイド作品です。
アクセサリーなどの装飾品だけでなく、ぬいぐるみや絵画、小物入れなど多岐にわたっています。
手作り特有の温かみを感じられて素敵だと思います。
一つ一つ丁寧に作られているのが伝わってきます。
その中で気になるものを見つけました。
それは、猫のキーホルダーです。
小さな鈴が付いていて、振ると音が鳴ります。
猫好きの彼女にはぴったりでしょう。
早速購入することにしました。
それから、カフェに行って一休みすることにしました。
注文したのは、アイスコーヒーとケーキのセットです。
飲み物を飲みながら、他愛もない会話を楽しみます。
そして、会計を済ませてお店を後にしました。
帰り道は、ショッピングバッグを持ちながら歩いていました。
買ったものは、紙袋に入れています。
右手には、ケーキの箱が入っています。
左手には、ファッションブランドのロゴが入った黒いビニール袋を持っています。
中身は、赤いワンピースと白いブラウス、黒いスカートが入っています。
それらを、大事そうに抱えています。
隣を歩いている彼女の顔をちらっと見ると、笑顔で返してくれました。
私達は、マンションに着くと、玄関の鍵を開けて入りました。
靴を脱ぎ、リビングに荷物を置きます。
次に、ソファーに腰掛けて一息つきます。
彼女も、隣に座ります。
部屋の中は、静寂に包まれています。
遠くの方から、鳥のさえずりが聞こえてきます。
しばらくの間、お互いの体温を感じていたのですが、やがて耐え切れなくなって口を開きました。
「ねぇ、あのワンピースすごく可愛かったよね」
私は言った。
彼女は、首を縦に振りました。
彼女は、嬉しそうに微笑みました。
私は、彼女の膝の上に頭を載せました。
柔らかい感触が、心地よく感じられます。
私は、天井を見上げながら言いました。
目の前には、照明器具がぶら下がっています。
蛍光灯が、まばゆい光を放っています。
彼女は、私の髪を優しく撫でてくれます。
その手つきは、とても気持ち良く、リラックスすることができます。
しばらく、そのままでいると、睡魔に襲われました。
まぶたが重くなってくるのを感じます。
彼女が、私の名前を呼ぶ声が聞こえます。
その声を聞きながら、私は眠りに落ちていきました。
夢の中で、誰かが私に語りかけています。
しかし、その声は、私には聞き取れません。
暗闇の中で、彷徨い続けていました。
光も何も無い空間で、私は立ち尽くしていました。
やがて、何かが私を引き寄せていきます。
抗おうとするのですが、力が湧いてきません。
そのまま、暗闇の中に飲み込まれていきました。
気がつくと、そこは病院のベッドの上でした。
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