第34話 私と貴女㉞

もう頭の中は真っ白でした。

それからというもの、私たちはどんどん親密になっていきました。

今では毎日のようにキスをしていますし、お互いを求め合っています。

そうこうしているうちに、いつの間にか年が明けていました。

新年を迎えたばかりだというのに、世間は浮足立っているようです。

ニュースでは芸能人のゴシップ報道ばかりが目立ち、ワイドショーでも取り上げられています。

まあ、他人の噂話なんて興味ありませんけどね。

私にとって重要なのは、恋人との関係を深めることですから。

今年こそは結婚したいです。

そのためにはまずプロポーズを考えなければなりません。

しかし、なかなか良いアイデアが浮かびません。

悩んでいるうちに時は過ぎていき、気がつけばもう春が来る寸前となっていました。

このままではまずいと思い、ある決断をしました。

それは、旅行です。

といっても国内ではなく海外です。

場所はまだ決めていませんが、候補地はあります。

例えばハワイとかフランスなんかはどうでしょう。

どちらも素敵な場所です。

特にパリのエッフェル塔とか憧れます。

でも、値段が高いんです。

貯金を切り崩せばなんとかなるかもしれませんが、ちょっと厳しいかも……。

それに、仕事もあるので長期休暇を取りにくいという事情もあります。

でも、行くなら早く行きたいなという気持ちもあります。

どうしたものでしょうか? 

そんなことを考えていると、不意に電話がかかってきました。

ディスプレイには彼女の名前が表示されています。

慌てて通話ボタンを押しました。

「もしもし?」

と聞くと、

「ねぇ、今週末空いてる?」

そう聞いてきました。

一体なんのことだろうと思いながらも、とりあえず答えることにしました。

そうすると、彼女は嬉しそうな声で言いました。

なんと、私と同じことを考えていたみたいなのです。

詳しく話を聞くと、どうやら彼女の方も海外に行きたいと考えていたようなのです。

ならば話は早いということで、早速プランを立て始めました。

まずは行き先です。

どこがいいか相談した結果、やはりヨーロッパ圏に絞ることにしました。

そして、一番の問題となるのが費用です。

お互い給料日前ということもあって、あまり持ち合わせがないというのが現状でした。

そこで考えたのが、節約です。

具体的には交通手段を飛行機から船にするというものです。

確かに時間はかかりますが、その分お金は節約できますし、何より船の旅というのはロマンチックだと思いました。

早速ネットで調べてみると、日本から出航しているクルーズツアーを発見しました。

期間は10日間、料金は二人で15万円でした。

決して安くはありませんが、許容範囲内です。

それに、船内では様々なイベントが行われるようですし、飽きることはなさそうです。

何より、彼女と二人きりの時間を楽しめるというのは魅力的でした。

最終的には、彼女も賛成してくれたので、申し込みを済ませることにしました。

旅行当日、私たちは朝早くから空港へ向かいました。

手続きを済ませ、いよいよ搭乗となります。

機内ではドリンクサービスがありましたが、アルコール類は控えることにしました。

酔っぱらってしまったら台無しだと思ったからです。

幸い、隣の席に座っていたのはカップルだったので、比較的静かな環境で過ごすことができました。

およそ十時間のフライトの後、目的地であるイタリアに到着しました。

まずはホテルへ向かい、荷物を置きます。

その後、市内観光をすることになりました。

ガイドブックによると、観光スポットはかなり多いらしいです。

とりあえず、有名どころを巡ってみることにしましょう。

最初はコロッセオを見学しました。

古代ローマ時代の遺跡で、世界最大級の円形闘技場です。

かなり広大な敷地面積を誇っており、見渡す限り全て石造りの建物ばかりです。

かつてここで剣闘士たちが命懸けで戦っていたと思うと、感慨深いものがあります。

その後、スペイン広場へ移動しました。

階段状になっている広場で、ドラマのロケ地としても使われているようです。

実際に訪れると、想像以上の大きさでした。

ここで写真撮影をする人々も多く、賑わっていました。

また、広場には噴水もあり、多くの人が訪れていました。

私たちは噴水の前で記念写真を撮ることにしました。

彼女にカメラを向けられると、つい緊張してしまいますが、なんとか笑顔を作りました。

他にもたくさんの写真を撮り、楽しいひと時を過ごすことができました。

そのあとは、美術館を訪れました。

有名な絵画などが展示されているのですが、専門知識がないのでよくわかりません。

しかし、見ているだけでも癒されます。

特に印象的だったのは、天井画でした。

壮大な空間に描かれている絵柄は圧巻です。

思わず息を飲んでしまいました。

その後、お土産屋さんでショッピングをしたり、レストランで食事をしたりして過ごしました。

夕方になると、私たちは宿泊先へ戻ることになりました。

部屋に入ると、早速抱きついてきました。

そして、そのまま押し倒されてしまいました。

抵抗しようとしたのですが、力の差がありすぎて無駄でした。

服を脱がされていき、下着姿になりました。

羞恥心を覚えましたが、同時に興奮していました。

「キスしようね」

と言われ、舌を絡める濃厚なキスが始まりました。

頭がボーっとしてきて、何も考えられない状態になりました。

しばらくすると、口が離れて行きました。

唾液が糸を引いています。

「可愛いね、まだキスする? どうする?」

そう聞かれたので、素直に従うことにしました。

再び唇を重ね、今度は互いの舌を吸い合いました。

「もういいから、キスやめよう」

そう言って、一旦離れました。

呼吸を落ち着けてから、ベッドに倒れ込みます。

そうすると、私の横に横になってきて囁きかけてきました。

「愛してる」

と囁かれただけで頭がクラクラしてしまいます。

それからしばらくの間、抱き合っていましたがやがて眠くなってしまいました。

翌朝起きると、隣に彼女が寝ていました。

寝顔もとても綺麗で見惚れてしまいます。

しばらく眺めているうちに目が覚めてきたので起き上がることにしました。

朝食を済ませた後は、ホテルをチェックアウトして観光の続きをすることになりましたが、その前にシャワーを浴びることにします。

昨日汗を流していなかったためか、少しべたべたしている感じがありましたから……。

バスルームに入ると、鏡に映った自分の姿を見てしまいます。

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