リフレインーカタリナ坂群像ー

Spica|言葉を編む

序章(2025年夏)

花火が夜空を裂き、ドラムが大地を震わせた。

トランペットが夜気を切り裂き、サックスの旋律が歓声の波を越えて駆け抜けていく。


十余年の音が折り重なり、街そのものが歌っていた。

第10回カタリナ・ジャズフェスティバル。

港の風も、建物の灯も、人々の体温も、すべてが音楽の渦へと溶け込んでゆく。


舞台に立つ者も、観客にいる者も、誰もが知っている。

この瞬間は繰り返し訪れる――だが、決して同じ響きにはならない。


――ここに至るまでの歳月を、大いに語ろう。

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