初恋は隣の席から

水無月菜乃花

プロローグ

プロローグ

そこは、どこにでもある中学校の昼休みの教室。プレートには、2年2組とだけ書かれている。


ざわめきの中、ひとりの男子が机に突っ伏している。 肩をかばうような姿勢で、動きは鈍い。


その隣の席は、空いていた。


教室の後ろから、ゆっくりと歩いてくる女子がひとり。 足取りは迷いながらも、止まらない。


声がかかる。 男子が顔を上げる。 目が合う。


ほんの一瞬の沈黙。 そのあと、女子は隣の空いた席に腰を下ろす。


机と机の間に、互いの緊張が漂っていた。


けれど、その声は緊張の壁をそっと押し開けて、まっすぐに届く。


その瞬間、教室の空気が少しだけ変わった。 誰にも気づかれないほど静かに、でも確かに。


初恋は、隣の席から。

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