第4話

河香葉と瑞川は学校の屋上から降り、少し距離のあるバス停まで歩いた。昼下がりの太陽がコンクリートに反射して、街路樹の影をゆっくり揺らしている。二人は息を整えながら、ゆっくりと東京渋谷駅行きのバスに乗り込み。座席に腰を下ろすと、窓の外には校舎や住宅街の景色がゆっくりと流れていく。


「今日はどんな服、見ようか」瑞川が小さな声でつぶやく。その声に河香葉は少し緊張しながらも、胸の奥で期待が膨らむのを感じた。バスは次第に都会の雑踏へと吸い込まれていき、車窓の景色は徐々に人や店が増えてきた。


やがて渋谷駅前のバス停に到着すると、ハチ公前の広場には同じ格好の?たちが占拠していた。瑞川は眉をひそめて言う。「なんだろう……」


河香葉も目を細めて眺める。「わからない、けど、なにかの集会?(笑)」


広場を抜けると、街の喧騒に包まれながら二人は歩き出す。高層ビルやデパート、洋服屋のウィンドウが並ぶ通りは、人々の行き交う足音や音楽、宣伝のアナウンスでにぎやかだ。河香葉は思わず目を輝かせ、ショーウィンドウの服を指さす。「あの色、かわいい……!」


「ほら、見て。こっちのビルにも新作あるって書いてある」と瑞川が笑みを浮かべる。二人は歩きながら、洋服や小物の話に花を咲かせ、渋谷の雑踏の中でも自分たちだけの小さな世界に没入していった。

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