ブレスポータル : あらゆる風が運命を隠し、あらゆる息が英雄を生み出す場所

神田啓太

ライテンの目覚め

空が裂けるように割れた。紫色の稲妻が夜空を引き裂き、大地全体が戦いの衝撃に震えた。二つの影が、廃墟の真ん中で向かい合っていた。カエリス・ナラゴン、世界最後の守護者。そしてゼラカン、異界から来た天の存在。


彼らの一撃は、まさに天変地異だった。武器がぶつかるたびに大地はひび割れ、意志の叫びが嵐のように空気を震わせた。


――「何も救えはしない、カエリス」――ゼラカンは唸った。怒りに燃えるその瞳は、災厄のように光った。「この世界は腐り、我が姿の下で再生するのだ!」


カエリスは荒い息をついた。全身に千の傷を負いながらも、目は揺るがなかった。彼は手を空へ向け、禁断の力を呼び起こす。


――「ならば、私はお前の再生を阻む…たとえ命を削ろうとも。」


黄金の封印が空中に浮かび、光と古代のルーンが絡み合った。ゼラカンは咆哮し、最後の攻撃――二国を灰に変える黒き嵐、「破滅の嵐」を放った。しかし、カエリスは傷だらけの体を奮い立たせ、儀式を完成させた。


封印の光がゼラカンを飲み込み、その叫びは永遠に響き渡った。


闇が全てを覆う前、カエリスは囁いた。


――「いつか…私のリテンは甦る。そしてお前も…ゼラカン。」


そして彼の体は石像となり、永遠に誓いを守る番人となった。



クザリ、キリナ国の首都 – 現代


市場の喧騒が、今日もカエンを目覚めさせた。叫ぶ商人、石畳を叩く蹄の音、香辛料と汗が混じり合った匂い…全てが大都市クザリの常の日常だった。


噴水の階段に腰掛け、少年は群衆をぼんやりと見つめていた。黒い髪が額にかかり、金色の瞳が光を受けて異様に輝いた。


カエンは、いつも周囲と違っていた。母は彼の誕生時に亡くなり、噂が流れた――「この子は不安定な力を宿す」。以来、彼は端に立ち、小遣い稼ぎや街の喧嘩に明け暮れる日々を送り、自分の居場所を見つけられずにいた。


その朝も、夢の影に押しつぶされるような感覚があった。黄金の炎、見知らぬ戦士、そして繰り返し響く声:


――「封印を守れ。時は来る。」


カエンは頭を振り、その思いを振り払った。


――「またこの夢か…」――彼は小声で呟いた。



事件


突然、地鳴りのような音が広場を揺らした。人々は叫びながら逃げ惑った。黒いマントをまとった五人の男が現れたのだ。その目にはほとんど動物的な残虐さが宿っていた。


――「ハセイダンの命令だ。この区域は我らのものだ!」――一人が叫んだ。


その手に、異様な武器が現れた。赤い光の輪に包まれた半透明の槍――金属ではない。それは醒めた霊武「シキのニンクウ」だった。


群衆は恐怖に逃げ惑った。カエンは立ち尽くし、心臓が高鳴った。今まで見たことのない光景だった。


犯罪者は槍を地面に叩きつけ、衝撃波が走る。露店は粉々になり、子供が瓦礫に押し潰されそうになった瞬間、カエンは反射的に引き寄せ助けた。


その瞬間、全身に未知の熱が走った。



覚醒


胸から黄金の光が迸り、右手の周りに武器の影が現れた――未完成の剣のように、振動しながら本体を求めていた。


――「な…何だ…?!」――カエンはよろめき、理解できずにいた。


犯罪者の槍が襲いかかるが、黄金の光が衝撃を跳ね返す。光と影の衝突が轟音を響かせ、攻撃者は後方に弾き飛ばされた。


他の男たちも驚き、後ずさった。


――「ありえない…このガキ…ニンクウを覚醒させやがった!」――


カエンは震えた。手はまだ熱く、光は異物の心臓のように脈打った。力は現れた瞬間に静まり、彼の体は消耗した。犯罪者たちは目を合わせ、影の路地へと撤退した。



見守る影


息を切らし、カエンは拳を握った。何が起きたのか分からなかった。しかし心の奥底で、彼の人生が変わったことを確信していた。


鐘楼の上に、フードを被った影がその光景を見守っていた。低く重い声が、予兆のように囁く:


――「リテンはその宿主を選んだ…」


影は踵を返し、消え去った。


――「再び、天の時代が迫っている…」

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