11作目 重清狸ばなし
重清狸ばなし/野栗 さま
ひとこと感想:親戚のおじさんの話を聞いてる感じ
タイトル:重清狸ばなし
著者:野栗 さま
作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093076031341123
作品紹介:徳島市内のヒプノセラピーサロンで繰り広げられる、狸球児おミヨの過去世の旅程。
野栗のニッチな妄想が炸裂、設定・ストーリーが現世と過去世の間を激しくダッチロール! どこに着陸するのか、そもそも無事に着陸ができるのか、野栗自身もわからん状態です。
エタらせんよう頑張ります🐾
ほな、眉に唾をタップリ塗ってご覧下さい。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【感想】
感想企画の11作目は野栗さまの
『重清狸ばなし』でございます。
今回は1話から16話まで拝読いたしました。
通常は5話くらいまでしか読まないつもりでいたんですが、なんと言いますか、気が付いたら読んでました。
これはとてもすごくて、不思議なことだと思いました。
この感想企画で、当初の予定を大幅に超えて読み進めた作品は、1作目の『マギカ・トライアングル!』と7作目の『無貌ノ鬼』に続いて3作目でございます。
そして、先の2作は私が好きなジャンルで、先が気になったので読み進めたのに対し、今作は『気付いたら先の方まで読んでいた』のです。
この作品の文体が見事で実に読みやすかった、ということもありますが、狸に化かされて読み進めさせられたような感覚もあります。
ですが、私の実感として一番近いのは、酒の席か何かで、話し上手な親戚のおじさんの話を聞き言っていると、気付いたら朝になっていたような感じでしょうか。
心地よい酔いと疲労感が、今作の読後感に似ていました。
この作品のストーリーをざっくり申し上げますと、
高校を卒業した狸の少女ミヨちゃん(みっちゃん)が、ヒプノセラピーサロン(ファンタジックな催眠療法といった感じです)に就職して、それからややあって自身の過去世(前世)の記憶を辿っていく……という話です。
そして、この「話し上手な親戚のおじさんの話」という感覚の正体は、本作が持つ、日常と非日常、現実と非現実の絶妙なブレンドにあるのだと、私は感じました。
物語の舞台は、徳島という、私たちが知る現実の地名です。ですが人間に化けた狸が普通に社会に溶け込んでいます。この塩梅がなんとも言えません。
主人公のミヨちゃんは高校を卒業し、就職するという、ごく普通の人生のステップを踏みます。
しかし、そのごく普通の中に、「主人公は狸である」「就職先はヒプノセラピーサロンである」「過去世は狸の球児だった」といった、奇想天外でファンタジックな要素が、ごく当たり前のことのように、すっと差し込まれる。
この現実と幻想の境界線が、非常に曖昧で、滑らかなのです。
読者である私は、その奇妙さを特に意識することもなく、おじさんのほら話に「へぇ、それでそれで?」と、自然に相槌を打つように、物語の世界に引き込まれていきました。
また、物語の語り口そのものも、起承転結をきっちりと組んだ「小説」というよりは、話があちこちに飛びながらも、不思議と飽きさせない「語り」のそれに近いと感じます。
大きな事件が立て続けに起こる訳ではありませんが、不思議と目が離せない。
そんな不思議な魅力を持った作品です。
狸党の方には特にお勧めしたい一品であります🐾✨✨✨
【作者・野栗さまへのご質問】
それでは感想&質問企画のもう一つの目玉。
作者さまへのご質問を行いたいとおもいます。
1.「ヒプノセラピー」で「過去世」を辿る、という発想が非常にユニークだと感じました。この設定は、どこから着想を得られたのでしょうか。
2.ヒプノセラピーで辿るのが「前世」ではなく「過去世」とされてるのには何か理由があるのでしょうか?
3.物語は、時にほろ苦い過去を扱いながらも、全体として、どこかユーモラスで、温かい空気が流れているように感じます。
この物語全体を包む雰囲気作りで、特に意識されていることはありますか。
質問は以上3問とさせていただきます。
いつでも結構ですので、お時間あるときにご回答をお願いいたします。
答えにくい質問はスルーして結構ですよ!
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