9作目 RE:SELECT
RE:SELECT/忍忍さま
ひとこと感想:“You won't understand the appeal unless you read it”
作品名:RE:SELECT
著者:忍忍 さま
作品URL:https://kakuyomu.jp/works/16818622173101963478
作品紹介:竜によって支配された世界で、二人の少女は冒険を始める。
一人は「竜と逢うため」に、そしてもう一人は「自分の運命の変えるため」に。
世界は四つの大陸に分かれ、物語はその中でも最も多くの人類が暮らす《ゼノーテ大陸》から始まる。
竜によって傾いた世界で、二人の少女の願いは叶うのか。
剣と魔法で道を切り開くことはできるのか、この物語の結末はまだ誰にも読むことはできない。
彼女たちの選択が、世界にもたらす「何か」を見届ける覚悟があるのなら、きっとこの物語は“あなたのための物語”として確かな傷を残してくれるだろう。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【感想】
感想企画の9作目は忍忍さまの『RE:SELECT』でございます。
今回は第1話から第5話まで拝読しました。
この作品はとても面白かったのですが、なかなかに感想を書くのが難しい作品でもありました。
何て言うんでしょうか、存在論的なくすぐりというか……そういう感触を言語化するのがとても難しかったのです。
この物語は小さな村(集落)に住む主人公レヴィとタニアの訓練と旅立ちから幕を開けるのですが、そのエピソードを挟むように上位存在が姿を現します。
このメイドと少年のような何者かが物語の鍵を握っているであろうことは分かるのですが、情報開示の仕方が実にミステリアスでやきもきさせられるんですよね~!
思わずヨルデンハイツ氏のように身をよじりたくなってしまいます。
本作は、読者に対して二つの異なる物語を同時に提示しているように思えます。
一つは、レヴィとタニアが紡ぐ、冒険の物語。
もう一つは、そんな彼女たちの運命を掌の上で転がすかのような、超越者たちが語る物語です。
回を追うごとに前者の描写が主になって、後者の物語は控えめになっていくのですが、それに従って、本作の二面性はまた異なる様相を呈していっているように思えました。
一つはレヴィとタニアの成長と希望の物語。
もう一つは人間たちの悪意による争いと絶望の物語。
この「希望」と「絶望」の二重奏が、この物語を読み解く鍵なのではないかと、私は思い至りましたが、どうでしょうか。
主人公たちの絆の強さ、困難に直面しても失われないユーモア、そして「強くなりたい」という真っ直ぐな願いが放つ光はとても眩いのですが、人間社会が内包する根深い悪意や、個人の力ではどうにもならない圧倒的な暴力の闇もまた濃いのです。
コルトの悲劇や、滅んだ街の光景は、この世界では善意や努力だけでは報われないのではないかと思わせますが、彼女たちを導くようなナイスガイのお姉さんの存在は闇を照らす灯台のように、レヴィ達の道しるべになります。
この希望と絶望、光と闇の織り成すマーブル模様が、本作の大きな魅力の一つかもしれません。
読者は、主人公たちの小さな希望に一喜一憂しながらも、常に背後にある巨大な絶望の影に怯えることになる。
この緊張感が、読み手を惹きつけます。
残酷で、壮大で、そして、心を離さない。
予定調和の物語に飽き飽きして、自分だけの物語を求めているあなたにこそお勧めしたい、底知れぬ深淵に覗き込まれるような一品です🐲✨✨✨
【作者・忍忍さまへのご質問】
それでは感想&質問企画のもう一つの目玉。
作者さまへのご質問を行いたいとおもいます。
1.主人公であるレヴィとタニアの設定について。彼女たちの性格や外見などの特徴はどのように考え出されましたか?
2.ヨルデンハイツ氏は帝国の軍医中将という大変高い地位にあったようですが、この地位は現実の軍医中将と同等と考えていいのでしょうか? それとも帝国独自の階級の設定などがあるのでしょうか?
3.本作は大変ミステリアスな作りになってると存じますが、この作品を通じて読者に伝えたいメッセージはありますか?
質問は以上3問とさせていただきます。
いつでも結構ですので、お時間あるときにご回答をお願いいたします。
答えにくい質問はスルーして結構ですよ!
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