奴隷オメガ、大公公子様の番(ツガイ)になる
喬恢 奏多
第1話 ラグジュアリーな寝室
「…………」
アヴィスは、豪華な部屋の一室で目を覚ました。天井を眺めても、どこまでも高く見える。
豪華なベッドで、寝心地が良い。アヴィスは、ゆっくり身体を起こす。
しばらく何もない壁を眺めていたが、アヴィスは立ち上がった。立ち上がる時、身体がフラフラする。倒れないようにサイドテーブルを右手で支え、冷えたスリッパを履く。
「(…………はぁ)
アヴィスの頭に過ぎったのは、昨夜のせいだ。苛立(いらだ)ちが隠せない。でも、この館では隠さなければっと思う。そうでなければ、次に酷い目に遭うのは自分自身だからだ。
アヴィスは、クローゼットに目がいく。クローゼットを開けると、一枚の白いワンピースがあった。
「(ワンピースがふくそう…?)」
アヴィスは、白いワンピースを手に取る。服の作りは簡易的なものだ。頭から被って、整えるだけで終わるワンピースだ。アヴィスが今着ているのと同じだ。
「(はやく……きがえないと……)」
もうじき、パギウスがやってくる時間だ。パギウスがやってくるまで支度しないと、勝手に罰を始めやがる。
「(それだけはさけたい)」
アヴィスは着用していたワンピースを脱ぎ、豪華な洋服のタンスに置かれているワンピースに着替える。着替え終わったら、無意識にチョーカーに触れる。
その時、ドンドンドンっと、扉を叩く音がした。
「おい! アヴィス! 早く起きろ!」
アヴィスは急いで、部屋の扉を開けに行った。扉の向こうに立っていたのは、パギウスという中年男性だ。アヴィスとは対照的で、ふくよかな体型だ。
「おはようございます。パギウスさま」
アヴィスは、失礼のないように頭を下げる。パギウスは、アヴィスの姿を見て卑(いや)しい笑みで微笑む。
「おはよう、今日も男娼のお仕事ですか? いやはやピッタリな仕事ですな」
パギウスは、アヴィスの頭のてっぺんからスリッパの先まで見下ろしている。
「…………」
アヴィスは、パギウスの視線に耐えきれずに顔を逸らす。
パギウスは、拒んでいるかのような反応が気に食わないのか、顎をくいっと掴む。
「はっ。気に食わなそうな感じだな。いつもこんな感じだろ?」
パギウスの視線の意味が変わる。ねっとりとした熱い視線から、汚いモノを見るような視線に。
「……っ!」
その視線に耐えきれずアヴィスは、パギウスを睨みつける。パギウスは吐き続ける。
「羨ましいですな。階級最下層のΩが、ラグジュアリーな寝室で一日を迎えるのは……」
パギウスは、アヴィスの顎から手を離す。アヴィスは、されるがままでいた。
「おっと、いけません。ドミヌス公爵様がお待ちだ。これ以上、遅れたら俺まで怒られてしまう」
パギウスは、そのまま廊下を歩いていく。
パギウスの背中が見えなくなった頃、アヴィスは無言のまま着いて行った。
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