【おまけtrēs】 立ちんぼの噂?

 古瀬ふるせ刑事は、長谷川元教頭が性犯罪をしていたことを教えてくれた。どうやら、英玲奈と関係をもっていたらしい。いわゆる、パパ活ってヤツだな。


 まさか、二人がそんな関係だったとは。


 でもそうか、だからこそ二人は協力して俺たちを尾行していたんだ。でなければ、あの時にほぼ同じタイミングで現れるなんてありえないだろう。


「というわけでね、相良くん。長谷川の被害者が他にいないか聞き回っていたんだ」

「そういうことでしたか」

「もし情報があれば教えて欲しい」

「う~ん。俺は聞いたことがないですね」

「そうか。では、彼女はどうかな?」

「小雨さん、ですか」

「ああ、被害とか」

「彼女自体はありません。友達は分かりませんが」


 そもそも、俺は小雨さんの友達関係など知らなかった。どんな交友関係があるのかまったく把握していないというか、見たことがない。


「あ、あの……あたし見られてる気が」


 ひょこっと現れる小雨さん。さすがに俺と古瀬刑事の視線が気になったらしい。……ですよね。


 仕方ないので、俺は事情を話した。

 すると、小雨さんはドン引き。

 あの教頭がそんな売春行為をしていたと知り、恐怖で震えあがっていた。


 そして、有力な情報も持っていた。



「もしかしたら……」

「知っているのかい、小雨さん」

「たぶん、だけど」



 小雨さんによると、数人ほど不登校になったり、立ちんぼをしている女子を知っているという。その中に、長谷川と関係を持った女子もいるかもしれないらしい。

 それは十分にありえるな。


 古瀬刑事は、その女子たちの名前をメモしていた。



「ありがとう。これで長谷川を追い詰められそうだ。協力に感謝するよ」


 礼を言うと古瀬刑事は去っていく。



「ふぅ、びっくりした」

「うん、あたしも。まさか刑事さんだったなんてね」

「でも、これで教頭はおしまいかもな」

「ちゃんと有罪になるといいね」



 これから証拠が固まれば、もうヤツが復帰することは二度とないだろう。あとは英玲奈の方だが……こっちは分からないな。溝口を釈放した有能弁護士の力が発揮されたら、また外へ出てくるかもしれない。

 そうなれば、また俺たちの目の前に現れるかもしれない。

 そうなって欲しくないけど。


 祈るにして先を歩く。


 そして今日も寄り道していく。

 今日は小雨さんの希望である場所へ向かうという。


 ある場所……?



「どこへ行くんだ?」

「到着してからの秘密」



 カラオケか? ゲーセンか? それともオシャレなカフェかな。どこへ行くのか楽しみだな。


 雑談をしながら歩くこと数十分。


 その場所に到着した。



 ――って、ここは……!



 この建物。あまり見慣れないというか、こんな場所があったのかと俺は驚いた。どうして、ここに……!


 いやだけど、これは意外すぎだ。

 小雨さんの趣味か、これは。



【続く】

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