記憶の向こう側で

@black_wolf_1

第1話プロローグ

第1章:プロローグ

スマホの画面を指差し、葵は言った。

「これ、誰の写真?」

そこには浴衣姿の彼女が笑う写真が映っていた。

僕は静かに答えた。

「葵、君だよ」

彼女は一瞬だけ戸惑いの表情を見せたが、すぐに微笑み、

「ごめん、覚えてなくて」

そう呟いた。

医者から告げられた現実が重くのしかかる。

記憶は少しずつ、確実に消えていく。

残された時間は1ヶ月。

「全部の思い出を、もう一度君に届けたい」

僕はそう決めた。

彼女と過ごした3年間の全てを。

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