第45話
縛りプレイでいくことを決めて10秒もせずに失敗したことに対して唖然としていると、身長が2mは超えているであろう人型の……なんだ? 剣で出来た翼? を生やした生物がいつの間にか目の前に現れていた。
剣で出来ている翼にさえ目を瞑れば、生物としては人間に1番近いのかね。
随分と体格が良いが。
「……そいつを殺せ」
翼として生えている剣の内の1本を抜き、両手で持ち構えてくる謎の生物。
「質問なのですが……これは一体なんなんでしょう」
「冥土の土産……って程でも無いが、教えてやる。それは使い魔だよ」
ふむ。
これも使い魔なのか。
ただ……召喚される際、いつもの魔法陣が見当たらなかった気がしたんだが……それはどういうことなんだろうな。
なんか、親とか妻とか子供とか言ってたよな?
犠牲を払って使い魔を召喚……通常とは違う方法で召喚したのか? それ故に魔法陣が無かったのか?
そもそも、自分自身も死んでいるとはいえ、言葉的になんでここには居ない人物の死亡でここに使い魔が召喚される?
んー、それも含めて色々と聞いてみたいところだが……もう答えてくれそうな雰囲気じゃないな。
使い魔の方もそろそろ本当に剣を振りそ──って、もう俺の首目掛けて振り下ろしてきてるな。
んー、まだ花女が人を呼んでくるには時間があるだろうし、他の誰かに見られている気配もない。受けてみるか。
視界が宙を舞う。
綺麗に首が刎ねられたな。
ただ、残念なことにそれだけだ。
剣に当たることでなんらかの使い魔特性が発動するものだと思ってたんだが……予想が外れたな。
それとも、単に使わなかっただけか? もしくは通常とは違う方法で召喚された使い魔は使い魔特性をそもそも持っていないか。
そんなことを考えているうちに、地面に頭が転がる。
取り敢えず、視線が低いから、頭を拾うか。
「ッ」
恐らくアリアナを殺しに来たであろう男が息を飲む音が聞こえてくる。
今は別に人間の姿な訳じゃないというのに、首を飛ばされた位で死ぬとでも思ってたのか?
それとも、俺が気がついていないだけで実は使い魔特性をもう既に使われていたり──
男とは違い、特に驚く様子もなくそのまま頭を拾い上げ、元の場所にくっつけた俺に斬り掛かってくる使い魔。
それを避けながら思う。
たしかに動きは速いと思うが、それだけじゃケルベロス程度でも負けるとは──
「?」
そこまで考えたところで、胸が切り裂かれた。
綺麗に心臓部分に達してる。
確実に避けたはずなんだが……これが使い魔特性かね。
だとしたら……なんだ? 見えない斬撃か何かか?
考察を捗らせていると、バサッと……では無いな。ガチャガチャっと目の前の存在の剣の翼が開いた。
それと同時に、使い魔が宙に浮き、俺の周りにどこからともなく数千はありそうな程の剣が浮かびながら現れる。
切っ先は全て俺に向いているようだ。
斬撃……だけで片付けられる現象じゃないな。
サイコキネシス的な何かか? ……だが、それじゃあ結局避けたはずなのに心臓を切られた説明がつかないな。
……犠牲を払って召喚された使い魔には使い魔特性が2つ以上存在する? ……ありえなくはない。
あぁ、使い魔ってのは謎が多くて、面白くて、本当に良いね。
……もっと遊んでやりたいところだが……これ以上時間を掛ければ、花女が帰ってきてしまう。
何か技を使うのなら、早くしてくれ。
終わらせなくちゃならなくなるだろ。
俺の思いを汲んでくれたのか、浮いている剣が光り出す……と同時に、半分以上の剣の切っ先が俺から寮へと変わった。
あの方向は……たしかアリアナの部屋が──チッ。あの男……さっきの殺せって言葉は俺を対象にしていた訳じゃなく、アリアナを対象に言ってたのかよ。
……はぁ。技を呑気に見る訳にはいかなくなったな。
いや、別にあの技がどんなものかは知らないが、発動したところで俺の魔法が掛かっている以上、アリアナが死ぬとは思わないが……寮に被害が出すぎる。
主(笑)の技でも使って終わらせてやろう。
「獄炎」
その瞬間、俺を中心とした半径5m程の幅が一気にビリビリと金色に燃える炎に包まれる。
ついさっき思いつきで雷属性を混ぜ合わせて改良した魔法だったんだが……案外悪くないな。
計算通り、ちゃんと地面や寮には被害は無い。我ながら完璧だ。音も最小限だったしな。
……まぁ、最早獄炎という名前で本当にいいのか? という効果になってるし、アリアナの獄炎が凄くちゃちなものに見えてくるが……まぁいいだろう。
そんなことを思いつつ、周りに浮いていた剣が灰になっていく様子を確認してから、使い魔がいた方向に目を向けると……使い魔も灰となってこの世から消えていた。
すぐ側でドサリという音が聞こえる。
「あぁ、良かった。生きてたんですね。それより、それは先程の女子生徒の真似事でしょうか? だとしたら、凄くよく似ていますよ! 無様な姿が本当に瓜二つです」
こう言っているが、アリアナを殺しに来た男が生きているのも当然計算の範囲内だ。
パーフェクトゲームは残念ながら達成できなかったが……まぁ、あんなの予測できるわけないし、仮に予測できたとして、止める方法を知らんから、詰んでたようなものだ。
ということで、及第点ってことにしておこう。
「お前は……なんなんだ……? 何故、あれに勝てる……?」
「ただの悪魔ですよ。そしてあれに勝てた理由は単純です。あれが私より弱かった。ただそれだけです」
「あれはっ! あれはっ! ……こいつが全てを使って……来世の運命まで使って召喚した使い魔なんだぞ!? それをっ! それをっ!」
えぇ……あれ、そんなに代償重かったのかよ。
別にどうでもいいけどさ。
むしろ来世だけで済んで良かったじゃないか。
お前は今世も来世もそのまた来世の人生も終わるんだから。
【時間が無い。それを振れ】
魔法で作った1から6のサイコロを男に投げ渡す。
「何を──……ッ!?」
「1か。まぁ、悪くないんじゃないか?」
手を男に向ける。
「ロック」
手から鎖が出てきて、男の胸の中に入っていき、その中で何かを……男の魂を縛る。
「1はシンプル。ただ運が悪くなるだけ。良かったな。多分、1番マシだぞ」
「何を言っ──ガッ!?」
そこで男の口に小さな虫が入っていった。
「ふふっ。運が悪いですね」
まだ小さなものだが……まぁ、生きてれば分かるだろ。
この男の今世の生は処刑されて終わりそうだけど……来世があるからな。
虫が気管にでも入ったのか、男が苦しんでいる様子を眺めていると、花女が教師? を連れて帰ってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます