冷たかった幼馴染が俺のことをエロい目で見てくる件
棺 藍子
1 俺の幼馴染
俺の名前は
そんな俺に、今誰にも言えないすごい悩みがある。
多分、これはほとんどの男子高校生が経験したことあるよくある話だと思う。どうすればいいのか、未熟な俺には解決できない難題だった。そして今日もその難題に向き合わないといけない。
「おはよー、やっぱり坂道を登ると暑くなるよね? 青柳くん」
「あ、あっ。おはよう、望月さん。うん、そうだと思う」
さりげなく前髪を後ろに流す彼女は
ここで本題に戻るけど、その難題は望月という存在。
「今年も同じクラスだなんて、やっぱり私たちは運命かもしれないね。青柳くん」
そう言いながらいつものを笑顔を見せてくれる望月。
そういうところだよ。
「……偶然……だ。それにそれは前にも言った気がするけど」
「ふふっ」
幼馴染なのにどうしてこんなにうじうじしているのか。
他人が見るとすぐそう思ってしまうほど、俺は望月が前にいると体が固まってしまう。なんか苦手だった。
そして昔みたいに「はなびちゃん」って呼ぶのもできない。
多分、中学三年生の頃からそうだったと思う。
てか、中学二年生の頃までくっついてゲームとかしてたのに……。
いつの間にか、こうなってしまった。
そして日増しに可愛くなる望月にさりげなく寄ってくる男たちもたくさん増えて、知らないうちに「望月さん」って呼ぶことになった。簡単に言うと距離感ができてしまったってこと。
なのに、そんな望月と同じ高校、同じクラス……。しかも、隣席だなんて。
「今日も相変わらずカッコいいね、青柳くん!」
「も、もしかして……俺望月さんに変なことでもしたのか? 高校生になってから、なんか雰囲気が変わったっていうか……」
「分かる!?」
いきなり寄ってくる望月にビクッとした。
「あっ、えっ……」
振る舞いが中学生の頃と全然違うっていうか。
そんなことよりすぐ前に望月の顔がいる。
茶色の長い髪の毛にぱっちりとした二重の瞳、綺麗な肌など、可愛いポイントはたくさんあるけど、一番可愛いところはやっぱり耳をくすぐるその澄んだ声かもしれない。よく分からないけど、その声は男の保護本能をぐすぐっているような気がする。
身長の低い女の子があんな可愛い声で話すと、男たちはすぐ惹かれてしまうよな。
ふと中学生の頃の望月を思い出す。
ワンピースを着たあの時の姿をいまだに忘れられない。めっちゃ可愛かったからさ。
「ええ……」
じっと俺を見ている望月、その瞳に俺の姿が映っていた。
「ええ……じゃなくて、可愛くなったとかそういうの言ってよ。中学生の時とあまり変わってないの? 私」
「そんなこと恥ずかしくて言えるわけ———。いい、早く席に座って」
どう接すればいいのか分からない。
中学三年生になってからだんだん話をかける回数も減ったし、望月の方から声をかけてくれないと俺はいつもの通り友達と時間を過ごしたかもしれない。それほど望月との関係が難しくなってしまった。
「それよりさっきからどこ見てるんだよぉ……」
「青柳くんの鎖骨」
「えっ?」
さっきから何を見ていたのか気になってたけど、鎖骨かよぉ。
そして俺もどうかしている。
こんなことを言われるたびに顔が熱くなってしまうからさ。とはいえ、望月はこういう話好きだったのか? 中学生の頃には確かに興味なかったと思うけど。「そんなこと無理に決まってんじゃん」と、めっちゃ冷たい顔でそう言ってたのを覚えている。
でも、高校生になった望月は少し変わった。
めっちゃ積極的になっている。どうしてだ?
「ああ、はなびまた青柳くんと一緒にいる」
「二人は仲がいいね」
向こうから聞こえてくる女子たちの声にまたビクッとする。
それをそばにいる望月にバレた。
「あはははっ、青柳くんそんなに驚かなくても。可愛いね」
「チッ……。か、からかわないでよ! 望月さん」
「どういうこと? 青柳くん、顔めっちゃ赤いんだけど? 大丈夫?」
「どうやらはなびにまたからかわれたみたいだね。青柳くん可哀想〜」
くすくすと笑う望月がちらっと俺の方を見た。その時、目が合う。
あのドヤ顔はなんだろうな。
こうなったらプランビー、『トイレに逃げる』を実行する。
「ちょっと、トイレ……」
「えっ? 青柳くん、逃げるの?」
「そんなわけないだろ、ちょっとトイレに行きたいだけ……」
どうしてだ。分からない。
俺が覚えている望月は、俺のことをずっと避けているような感じだったからさ。そのせいで俺も少しずつ距離を置くことになったけど、どうして高校生になった今はさりげなくあんなことをするんだろう。女の子って一体頭の中に何が入っているんだ。全然分からない。
それは高校生になった今もよく分からないことだった。
「ああ、行っちゃったね。つーか、はなびと青柳くんは幼馴染だよね?」
「そうだよ、幼稚園の頃からずっと一緒だったの」
「なのに、望月さんかぁ」
「私も中学生の頃からそう思ってたけど、いつも望月さんって言ってたよね? 青柳くん」
「だよね」
……
トイレから出てきた俺は鎖骨が見れないようにちゃんとボタンをはめた。
最近ちょっと暑くなったような気がして気にしていなかったけど、すぐあんな風にやられるとは思わなかった。やっぱり望月のあの声と表情はやばい。そしてこの感情もやばい。これはちゃんと隠さないといけない感情だ。
「ふぅ、しっかりしないと! しっかりするんだ。俺!」
そう言いながら両手で強く自分の顔を叩いた。
「そんなことしちゃダメ! カッコいい顔に傷ができたらどうすんの?」
「うわっ! も、望月さん。どうしてこんなところに? 友達は?」
「
「そうか。でも、わざわざ俺のところまで来なくても」
「ボタン、はめたんだ……」
「えっ? ああ……」
「外した方がもっとカッコよかったのに」
「…………」
こんな話は予想外だけど、そこ気にしていたんだ。望月は……。
「それに筋トレしてるの? なんか、硬くなったような気がする!」
そう言いながらさりげなく腕を触る望月。
いくらなんでもいきなりこの距離感はおかしすぎじゃないのか? 本人は全然気にしていないように見えるけど……。
「どうしたの?」
「なんか望月さん積極的になったなと思って、中学生の頃にはこんな感じじゃなかったからさ」
「ふーん、つまり青柳くんも私の腕を触りたいってこと?」
「いや、どうしてそうなるんだ……?」
「いいよ!」
両腕を広げる望月がじっとこっちを見ていた。
「しない」
「しないの? こんなチャンス滅多にないと思うけど」
「それよりなんでハグをする流れになるんだよ……。恥ずかしいだろ! そんなことをしたら」
「私は気にしないから!」
「俺は気になる!」
なぜだ!? なぜそんなに無防備なんだ?
いくら幼馴染だとしても俺たちは男と女だぞ? 他のクラスメイトたちより一緒に過ごした時間が長いとはいえ、何気なくハグができる関係じゃないからそんなことは無理だ。
それに望月……、大きいからさ。
大きい……。
いつの間にかすげぇ変態になったな、俺……。
でも、興味がないとは言えない。望月は可愛いし、幼い頃からずっと一緒だったから。
「今、私の胸を見たよね? 青柳くん」
「…………」
「あはははっ、冗談だよ。そんなにびっくりしなくても……、あはははっ。あれ? もしかして本当に見えたの?」
「そんなわけないだろ、高校生になってからずっとバカみたいなことを言うから疲れただけだ」
「…………」
しまった。こんなことを言うつもりはなかったけど、なんか言い方が冷たかったような気がする。そのままちらっと望月の顔を見る。
なんか落ち込んでいるような……。
「そうなんだ……、ごめんね」
やばい。
「いや! その……。冷たいこと言ってごめん。そんなつもりは———」
「じゃあ、ぎゅっとして!」
「それはダメだ」
「チッ」
舌打ち……!? 今舌打ちをしたのか! 望月。
まさか、演技!? さっきのは演技だったのか。
「青柳くんのエッチ、ふん! 私はみんなのところに戻るからね!」
そう言いながらベーって舌を出す望月だった。
てか、そんなエロい体をしている望月の方がもっと悪いんじゃないのか!? と言いたかったけど、言えない俺だった。
そのままため息をつく。女の子、難しい。幼馴染なのに難しい。
「全然分からない……」
そして教室に入る寸前、ちらっと湊の方を見て笑みを浮かべるはなびだった。
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