ハンマー使いは転生しても懲りない

貸氏444

四剣編 最終話 旅の終わり/旅の始まり

この物語はフィクションです


実在の団体、人物、事件、思想とは一切関係ありません


『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものでは無い』


虚構であり創作の中の世界の物語です


誤字脱字、矛盾が生じているシーンを後から書き換えるために更新する事があります


それを御留意いただいた上で拝読して下さい


……………………………………………………………


この異世界の名はブレイブズ、剣と魔法の世界


最果ての大陸に住む、大魔王ザイラスは魔物を放ち人々の苦しみや恐怖を喰らって生きている


予言に記された4人の勇者は魔王を倒すべく剣を手に取って魔王城へと向かう


ザイラスの真結界呪文【不死のデズライブ】が発動し世界に紫色の亀裂が入る


赤き龍の鎧を纏った爽やかな青年は自分を奮い立たせて眼に正義の怒りを宿す


熱き炎の勇者トードは勇敢にも敵陣に飛び込み必殺の一撃でザイラスを貫こうとする


文字通り、最終決戦の火蓋が斬られたのだ

「喰らえッ!!ザイラス!!超新星爆発斬ネオ・カラミティスパインッ!!」


紫色の巨大なカエルに山羊の角が生えたような姿の化け物、ザイラスは無数の魔法陣を空中に展開する


幾多の人間の資源を食いつくし丸々と太った腹には闇の契約により蛇が渦を巻いたような魔王の刻印が刻まれている


「勇者トードよ...貴様の攻撃は我に届かない...」


「なんだって!?」


「深淵なる闇に沈めェッ!!」

魔王ザイラスは勢いよく手を振ると黒い霧のような物がトードを包んで吹き飛ばす


「ぐぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

トードは転げ回って3人の仲間の前に倒れる


緑色のしなやかな美しい細剣レイピアを持つ金髪のエルフが敵の首を素早く切り刻みながら走る


「風の勇者...ノース・ガルシリウス...仲間を守る為なら命だって惜しくないわ!!」


髪を縛り刀を携えた長身の男とメガネで黄色コートを着こなす眼鏡の男と共にノースはトードに駆け寄る


風の勇者ノースは話す

「トード...まだ倒れちゃダメよ...アンタがアタシに行ってくれた言葉...忘れてないわよ...」


「ノース...そうだよな...まだ俺は負けてない!!


折れることの無い強き剣になることを誓う...」


他の2人もトードの覚悟の表情に友情の笑みを返すと剣を点に掲げる


4人の剣が交わる時、天から光が落ちてくる

「「「「我ら栄光なる伝説の勇者!!」」」」


「そうこなくっちゃあな...」

そう呟いて、岩陰から少し錆びて古びた銅色の鈍重な鎧を着た男が姿を現して歩いて来る


男は自分の身体よりも大きな戦鎚ハンマーを大魔王ザイラスに構えて叫ぶ


「喰らえ!!大魔王ザイラス!!」


ザイラスは怠惰と暴食の結果、脂ぎった腹を揺らす

「ふっふっふっ...名も知らぬ若造が...人間如きが...懲りずに...この大魔王ザイラスに牙を剥くかぁ...命知らずめ!!」


「俺の戦鎚ハンマー...俺の流儀...俺のロマン...全てを集約した最終奥義...喰らえ!!魔王ザイラス!!」


「ちょっと...同じ台詞を言ってるぞオマエ...」


鈍重な装備の鎧の男は飛び上がると巨大化した戦鎚を大魔王の頭上に振り下ろす


「喰らえ!!魔王ザイラス!!戦士泣かせの戦鎚...


ウォークライハンマーーーーーーーーーーー!!」


ザイラスの首にかけてある下品な金色の首輪が微かに揺れる


振り下ろされたハンマーは魔法陣をブチ壊し魔王の両方の角を破壊して火花を上げた


大魔王は不明なダメージに悲鳴を上げて狼狽える

「うぉぉぁぁぁっ...ぽっと出のヤツに...我の完全防御魔法オートガードが破られるとわぁぁぁ...しんどい...」


4人の勇者の合わせた剣の先から光が放たれる

「「「「ブレイブズ・アカシック・レコード!!」」」」


「しまった!?」ハンマーに気を取られていた大魔王の腹に4人の勇者の究極魔法が直撃して貫いた


「こんな...こんな雑な...こんな雑な最後が有るかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」


魔王は大爆発を起こすと跡形もなく消え去り空を覆っていた暗雲は晴れていく


鈍重な装備の男はハンマーを地面に突き立てて兜を外すと間抜けな丸顔が出てきた

「大魔王ザイラス...本当に潰し合いがあるヤツだったぜ...俺のハンマーを受けても死なないとはな...」


4人の勇者は鈍重な男に歩いて近づいてくる


トードは笑顔で拳を握る

「やったなギガス!!オマエのハンマーが大魔王ザイラスにまで通用するなんてな...流石だぜ!!」


ノースは金髪を靡かせてツンデレに呟く

「ふんっ...人間にしては頑張るじゃない...」


ザインは大袈裟に見えを切って話す

「良い戦いだったな...お前の流儀...この目でしかと見せてもらった...天晴あっぱれだ」


ナンクラックは黄色縁イエローの眼鏡を弄って話す

「流石だよ...異世界転生者の力ってヤツ?相変わらずブッ飛んでて興味深いヤツだよ...君は...」


「いや...俺だけの力じゃない...旅先での俺のワガママに付き合ってくれた...皆んなのオカゲさ...」


ギガスの身体は光の粒子になって消えていく

「どうやら...お別れの時間が近いみたいだな...」


「待てよギガス!!まだ話したい事が...」


「毒の沼からの途中参加だったけど...オマエらと一緒に旅をする事ができて...良かったよ...さよな」


ギガスの身体は風に吹かれて消えていった


「ギガスぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」


後に語り継がれる伝説の勇者トードの叫びが終結した戦場に響き渡った​───────​───────​



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ハンマー使いは転生しても懲りない

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闇の中でハンマー使いのギガスは呟く

「コレで異世界の俺の命も尽きる...元の現実世界の日本に帰るのか...それとも消えて無くなるのか...


問題は結果じゃない...楽しい旅の過程だな...」


青く輝く水晶によって目の前にボサボサで青く白い水玉模様のある髪を垂らしたダウナー系の女神が照らされる


「ギガスくん...異世界は何回目だったっけ?」


ギガスは女神の姿を見ると露骨に悪態をつく

「オイ嘘だろぉ!?また異世界転生すんの!?ふざけんなよ今のは死ぬ流れだったろぉぉぉん!?」


「ハイハイ死なない死なない異世界転生モノの主人公って死んでも物語からは死なないから」


「もう良いですやん...47回ほど世界を救ってますよ


飽きますってRPGの中世ヨーロッパめいた世界」


「あのねぇギガスくん...人に散々と迷惑をかけた罰は異世界を救うことで精算されるのよ...」


ギガスはダルそうに装備を外して寝っ転がる

「次は何処なんすか...ネタも切れますでしょ?


あれですか?次は流行りの追放モノってヤツ?この神殿から追放されたいんですけどねぇ俺は...」


「次の世界は今までとは志向を変えて、復活した魔王を先程の世界で倒してもらいます...」


「はぁ〜!?さっき別れの挨拶したんだけど...え?


どの面下げて戻って来れば良いんだよ俺は...」


神々しく光る女神は白いレースの服をヒラヒラさせて闇に紛れる黒子から紙を受け取る


「えーっと舞台は100年後のブレイブズで...次世代の勇者達とSEASON2って感じて世界を救う...」


「SEASON2ってぇ...もうノイローゼになるよぉ...


世界を救う以外の何かをさせてくれよぉ...同じ世界を歩くのもダリィし...ふざけんなよぉぉぉ...」


「じゃ、よらしくー」

女神をテキトーに手を振るとボサボサの髪を揺らしてガニ股で去っていくと


暗闇の奥からゲーム機の起動音が聞こえてくる


(アイツ...やっぱ奥の部屋でゲームしてるじゃねぇか...バレないとでも思ってんのかよ...嫌な女だ)


足元の大きな魔法陣が光を放ちギガスの身体が床に沈んでいく


新たなる冒険の世界の息吹を足元から感じる


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