異世界から来た僕が目指す女子校の王子様!(※一日で予定崩壊)
十一月二十九日
0.人に紛れるわたしの話
人間は嫌いだ。
男も女も関係無く嫌い。
頭の中に何が詰まっているか分からないのが特に。
わたしだって人間だけど――そのわたしを含めて。
人間という生き物が嫌いだ。
何処か遠くの星まで飛んでいきたくなるくらい。
今日のわたしのクラスは特にやかましくて、わたしはスマートフォンもいじらずただ机に伏せて寝たフリをしていた。
地球の人間どもの鳴き声はいつだってわたしの耳へ毒で、じわじわ脳をむしばんでいく。
どうやら転校生というものがこのクラスへと追加されたらしい。そして運の悪い事にそいつの席はわたしの真隣。
午前の始めはひどく視線の流れ弾が飛んできたけれど、それは徐々に止んでいって、逆に先生の目すらこちらに向きづらくなる時すらあった。ちゃんと仕事しろ。
「……ちょっと顔が良すぎるよぉ……!」
「……アレって本当に地球の人……!?」
「……無理、直視できない目が焼けるぅ……!」
ひそひそ、ひそひそ。無駄に良い耳が勝手に拾い上げてしまう周りの噂話。
どうやら『余りにも顔が良すぎる』なんて馬鹿みたいな理由で転校生は避けられている。確かに授業中にちらりと盗み見た顔はまるでプロの作ったCGみたいで――なんというか、現実味が無い。
本当にこの宇宙の生き物か? まぶしっ。
まあ。そんな事どうでもいいし、わたしはどんな顔の人間とも深く関わりたくないけれど。
……そう、きっとわたしはどこかの星からこぼれ落ちた宇宙人なのです。皆の目は節穴で、わたしこそが地球の人ではないのです。
だからこの星は居心地が悪くて、SNSで何とか繋がれた同族と傷を舐め合うしかないのです。
人に紛れるわたしは、そうして生きる他ないのです。
「……はぁ」
のんきに昼休みのチャイムが響く。また群れが作られる。陽キャの作り出す空気が無遠慮にこちらの世界を侵略してくる。侵略するのはこちら側ではないのですか?
わたしはいつも通り菓子パンと本とスマホだけ持って、中庭へと退避した。
いつか来てくれる、母星のUFOが見つけやすいように昼はなるべく外で過ごすのです。
――そんな事、ほんとうは夢、バカな空想でしかないなんて分かっているけれど。そうでもしないとやってられなかった。
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