第11話 瞬間移動訓練
そういえば、ゴブリンの腰袋の中にあった瞬間移動の指輪、既に魔法式は複製してあって、スキルとして得ている。
俊足だの、瞬歩だのと同じように考えていたけど、これは根本的に違うものだということが分かった。本に書いてあった。
転移の下位版のようなものらしい。つまり魔法としては、時間空間魔法。魔法鞄と根本は同じ。ただし転移には、重力魔法、空間座標、などなどの高度なものも構成要素となってくる。
うん・・理屈は、まだまだ難しい。しかし、僕はその瞬間移動の指輪を持っているし、それをスキルとして実行できるのだ。
公爵家の広い裏庭で少しやってみよう。
これは目的地まで走るのでも、走ってすばやく移動するのでもない、体力は使わない。
結果は簡単なのだ。目的の地点に空間移動している、しかも一瞬で。時間の経過はほぼゼロ。
やってみた。遠くに見える大木を目指して大木のすぐ近くまで移動した、という思いで・・瞬間移動!
一瞬、クラッ!ってしたけど、結果は正しい。僕は自分の体を瞬間的に移動できた。
数回、同じようにやっていたが、すべて成功。狙い通りの地点に移動出来てる。
狙い通りというように、実際に目で見える狙った地点であれば移動できるのだ。
素晴らしい。
ただ・・眩暈がしてきた、ふらついて立っていられない。地面に両手を付いて支えながら無理やり意識して呼吸をしている。うん、吐きそう・・・
これはつまり魔力切れ? 魔力枯渇状態・・・駄目だ、意識が・・・・
しばらく眠っていたようだ。もう陽が傾いている。
つまり、瞬間移動には体力は使わないけど、魔力をたくさん使うということが分かった。
「エリス様!~」
エルザだ、なんだろう?
「エリス様、なぜここで寝転がっているのでしょう? 服がかなり汚れてしまってますよ」
「少し、魔法の実験をしてたんだ・・・御免、また仕事が増えたね」
「別にそういうのはかまいませんんが、大丈夫ですか? まだ死にませんよね?」
「ははは、あいかわらず冗談がきついよね~」
「すみません・・・心配したんです」
「うん、大丈夫、かなり具合が良くなった、まだ死なないよ」
鞄から回復の丸薬を取り出して飲み込んでおいた。
よし、もう動ける。
「それで? 何かあったの?」
「ええ、そうです、もうすぐ夕食です、お婆様が一緒にっておっしゃっていました」
「分かった、部屋へ戻って、シャワーを浴びるよ」
*
「エリス、どうだい、住み心地は? エメルダの部屋は良いだろう?」
「はい、とても快適です」
「そうだろ? 掃除だけはさせて<クリーン>をかけていたからね」
「あの~ 僕の母上は、僕が言うのも変なんですが・・・お茶目な人だったんですか?」
「ぷはっ!・・・なんでそう思うんだい?」
「ええ、なんとなくあの部屋にいるとそんな気がしてきたので」
「そうかいそうかい、そうだなぁ・・・結構お転婆でいたずら好きだったかな?」
「やっぱり! 母上の一番好きなものは何だったんでしょうか?」
「あの子かい、なら・・すばり魔法だね!」
「そうなんですね、そうだと思っていました」
「でも、ダンブル家ではそんな素振りは見せていないはずだけどな・・・」
「ええ、そうでしょうね、僕にもそんな記憶はありませんので・・・」
「ははは・・おもしろいねぇ~ やはりエリスはエメルダの子供だね、私は嬉しいよ・・」
「・・・」
「図書館に入り浸っているようだね」
「はい、お婆様の許可を得られましたので、積極的に使わせてもらっています」
「面白いだろ? ここの地下書庫は、王家の書庫よりも揃っているからねぇ」
「はい、王家のことは知りませんが、地下の蔵書は凄いです。僕は楽しくて仕方がありません」
「そうかいそういかい・・・ それはそうと、あまり裏庭で寝転がってるんじゃないよ、汚れるだろう?」
「あれ? 見られてました? ごめんなさい。ちょっと試したいことがありまして・・・」
「まあ、怪我をしないようにするんだよ?」
「はい!」
「ごちそうさまでした」
どういうわけか、ここではその言葉が通じる。「いただきます」・・・「ご馳走様」だ。
なんか転生者とか日本人とか・・・縁があるんだろうか?
いつか・・聞いてみよ。
そういえば・・・瞬間移動を数回やっただけで魔力切れを起こしてしまった。まだまだ訓練が足りてないようだ。
頑張らねば、前に進めない。
(ステータス) レベル350ー>400
・追加スキル:気配察知、悪意感知、結界、身体強化、瞬間移動
・追加魔法 :瞬歩、治癒、付与、催眠
そうだ・・・結界を試そう。
うん、これは外でやらねば。
さて寝る前に・・・部屋中にクリーンをかけまくる。自分にヒールをかけまくる。でもこんなんじゃ魔力を使い切ることも難しくなってきた。レベル400だと魔力量も相応に多くなってるんだろう。
とりあえず、結界で自分を覆ってみた。効果は分からないが、魔力はクリーンなどと比べれば使っているようだ。
部屋の中で瞬間移動をやるか。
長い距離で10mくらいだな・・・
瞬間移動を20回くらい繰り返した。往復10回だ。
まだまだ出来る。やはり距離が足りなかったな。
気配察知を範囲を広げてやってみる。
部屋から屋敷全体へ、隣の領主館まで含める、ブルーム公爵の敷地全部まで広げる。
特に悪意の強いものはないようだ。
地図が分からないからこれ以上範囲を広げるのは無理だ。
明日は、表に出て周辺の地理でも覚えるか・・
また裏庭を駆け回るか・・
結界を纏って、エルザに石でもぶつけてもらうか・・・
う~ん、外出はできないのかな?
*
裏庭でぶらぶら散歩してたときに何気なく拾って鞄につめていた枯れ枝や伐採されて小さい丸太にして放置されていたものを取り出して眺めている。
枯れ枝を3本組み合わせて三角トーチ。
そうだ、と思って5cmのダイヤモンド玉を出して天辺においてみた。
なんか良さそう。
まずは・・・ダイヤ玉を手にして、<創造>で加工してみた。
思い描いたのは、ブリリアントカットって思ったけど、球形をそのまま生かしてミラーボールみたいな感じの多面カットのダイヤ玉。
すんなり出来てしまった。これに光が当たったり、光が通り抜けて良い感じ。
枯れ枝を数本手に持って・・・このダイヤ玉を乗せておくトーチ状のものを・・・。
出来上がった飾り台にダイヤ玉を乗せて窓際に飾ってみた。
丸太を2、3個集めて、手を向けながら・・・長椅子というか公園のベンチが欲しいって思いながら念を込めた。
出来上がったものは、この時代にも合いそうなシックなつくりのベンチ。
僕の<創造>は、金属関連の錬金とは違って対象の素材を選ばないらしい。
今作って余った?ダイヤの欠片や粉、木の欠片や木くずなどは僕の収納の中に勝手に収まっていた。ゴミが出なくて助かる。
眠気が襲って来る前に、もう一つやってみる。
切り株を2個取り出して、作りたいものは、ロッキングチェアー。自分で使う。お婆様にはまだ秘密かな。
出来上がった椅子は・・・揺れる椅子。色などは指定しなかったけど、この部屋の床や調度品とも違和感がないものだった。
でも、安楽椅子というのは、ちょっと違うな、揺り椅子と呼ぼう。
早速、ベッドから大きな枕を持ってきてクッションかわりにして揺り椅子を体験してみる。
・・・うん、良い感じ。駄目だ、このまま寝てしまいそうだ。
ベッドへいかなきゃ・・・
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