糞13話 ジョナサン・ジョボスター誕生
写生丸との修行の最中。
「神谷さーん!
…いや!
ジョボスターさーん!!」
「中日帽子?どうしたんだい」
走ってくる。
「ガチ恋ストリートで、新しい戸籍を得ましたぜッ!
来日して戦時中に死んじまった貴族の家督をすげー安値で買ったんだ!」
「そこまでする必要があるのかい?
…それに死んでしまった人たちのものを使うのは…」
「何言ってんですかいッ!
ディオのクソカス野郎がまだ生きてるって聞きましたぜ!
神谷家の人間を狙ってくると思ってね…」
「…父母とおじいさまは?」
「チッチッチ。ちゃあんと手を回しておきましたぜ。
ガチ恋ストリートに拠を移して、暮らしてもらってます。
あの街は荒くれの集まりだがよぉ、逆に言えば
最強の防壁ですぜ!」
「ありがとう…中日帽子」
「例には及ばんすよ。
それよか…
ディオ似の男を呉で見かけたっていう噂を入手しましたぜ!」
「なにッ!ディオが!?」
「すぐいきますかい?
車の手配もできてますぜ」
「ああ!戦いの覚悟はできている!」
正夫は各職場に休職届を出した。
──────────────────────
呉市。
帝国海軍・海上自衛隊の拠点であった。
伝説の戦艦、大和が建造された地でもある。
数十年後に某ゲームによって軍艦ブームが再燃することになるが
それはまた別のお話。
───────────────────────
三人は車で呉へと向かっていた。
「ひょー!かっとばせー!
呉についたら肉じゃが食うんだ!肉じゃが!」
「わたしたちは観光に行くのではないのですよ…
この男本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫です、師匠。彼はおちゃらけた面が強いですが
やる時はやる男です。
ディオを指をまとめて切り落とした事だってあるんですよ」
「ほう」
トンネルに入った。
「暗がり…ディオの資格に気をつけなさい」
「はい師匠!」
「一気に進んじまえば問題ねーだろ!
っておい運転手!なにを止まってやがるんだ!!
エンジンが止まったのかァー!?」
後部座席の中日帽子がゆさゆさと肩をゆらしてみる。
「!
離れなさいッ!
この男…脳と肝を取られて死んでいるッ!」
「え…?」
「離れろと行ったのですッ!
車が爆発するッ!!
写生丸が扇を振りかざす。
正夫もといジョナサンが車のドアごと吹き飛ぶ。
「くくく…よく気付いたな。
この肝取りの平岩と脳喰いの和田の気配を察するとは…」
「なにッ!愛知肝取り殺人事件の平岩文男かッ!?
死刑になったのではなかったのか!!」
「天狗様に脱獄させてもらったのよぉォぉ。
これから肝食い放題だぜ!!!!!!
URYYYYYYYYYY!!!」
「こ、こいつはァー!
残虐性!残酷性ともに
ディオ以上だァーッ!
いくらあいつでも人間の内臓を食うなんて」
「ゾンビですね…闇天狗に忠誠を誓い不死を与えられ…
しかし人を食わねば肉体は腐り果てる一方…
おおこわいこわい」
「そこな女ッ!なぜに浮いているのか!?」
「
私も天狗なのですから敬意を払ってほしいですねえ」
写生丸は、足元に風玉を起こし浮いていた。
「キシャーッ!!!
知るかそんなもん!!
女のおめーの肝をすすりてーぜ!!!」
「ふー…
二人とも下がっていなさい。私が戦います」
「ジョボジョボ。
Lesson1『妙な期待はするな』
どんなに優位でも、すべて自分の思い通りになると思わないことです。
まず敵の立場になって考えましょう。
わたしがあれらなら…」
ガッ。
脳喰いの和田が車に腕を突っ込む。
「な…なんて怪力だッ!?」
「くたばりゃー!!!!!」
そのまま車を投げ捨てる。
「わたしがあれなら…
まず逃げ場を塞ぐッ!!」
正夫と中日帽子はとっさに避けた。
彼らが入ってきた入り口は車で爆発炎上していく。
「平岩。あとは任せたぞ…。
おれはディオ様にこいつらの始末の報告をしにいくとするか…」
「ひゃははははー!!!ねえちゃん!!
これで逃げ場はなくなったわけだが…
ゆーっくりと解体して肝をピーンと引っ張って…
喰ってやるぅぅぅ!!!」
肝喰いの平岩が突撃してくる。
「Lesson2『己の自信に悟られるな』
モグラっていますよねェー…
人間の畑を荒らす害虫…
果たしてモグラが人間に立ち向かってくるとして…
それが勇気と言えるでしょうか?
ただの無謀ですよ、それは。
こいつはゾンビは付け焼刃の力しかない。自信に裏打ちされた実力がない…」
「なぁにをごちゃごちゃ…」
写生丸に1メートルまで迫った!
「天狗ナメシ」
「ん?」
抱き砕いたはずの生意気な女の姿がない。
その刹那。
ズババババッ
「うぎやあああああああ!!!!」
肝喰いの平岩の背中が裂けた。
まるで妖怪・カマイタチに襲われたかのように。
「あ…あの姉ちゃんは何したんです?ジョボスターさん?」
「風だよ。天狗の法力と風を合わせて、ゾンビを切り裂いたんだ。
ごらん。肉体がすぐに再生していってない」
「ち、ちくしょう!!!甘くみてやればつけあがりやがって!!
てめえら喰ってやる!!
肝だけじゃなく全身をだッ!!」
「地下に逃げましたか」
「ここは確か戦時中に、防空壕として使われていたと聞いています。師匠」
「ふむ。ではジョボジョボ。あなたが行ってトドメを刺すのです。
あのゾンビの再生力が落ちている間に頭と全身を破壊するのです。
やつを倒すにはそれしかなーーいッ!!」
「な、なに言ってんだねーちゃんッ!
遊びにきたんじゃねーんだぜ!」
「あーたはだあっとれい!!
ジョボジョボ…Lesson3『自分を信じろ』
これまでの修行の成果、見せてください。
一番大きいの」
「はい!ワカヒコですね!」
正夫は地下に潜っていった。
「さて…中日帽子くんでしたかね。
日本神話の天若日子(アメノワカヒコ)の逸話を知っていますか?」
「いきなり神話の話かよ?」
「まーよく聞いてください。ワカヒコは神々から遣わされた使者だったのですが
派遣先の神とねんごろになってしまい、あわよくば
その地の征服を考えるようになってしまいました。
怪しんだ神々が使いの鳥をよこしたところ、ワカヒコは
あえて知って射殺してしまいました。
そして神々の仕込んだ罠によって、彼は
鳥を射殺した矢が跳ね返り死んでしまいましたとさ」
「何が言いてえ?レッスンとやらとなんの関係がある?」
「Lesson4『敬意を払え』
神々や上位の者に敬意を払い、自分を信じて戦うのがカギなのです。
さっき襲ってきたゾンビはまさにワカヒコそのもの。
ジョボジョボは果たして己惚れずに戦えますかね…
でなければ所詮、ディオには勝てません!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます