第4話 破滅回避の方針を伝える

 俺は1週か考えて新世界征服の計画をゲドー様に伝える事にした。

 活動を完全に潜伏させエターナルレンジャーのターゲットから外させるのが目的だ。


 ゲドー様には、俺やキラーのような完全人型の怪人の生産を頼んだ。そしてジャッカーをと共に世界の紛争地域に派遣して傭兵をして貰う事にしたのだ。

 なにせ資金集めが出来るし戦場で死んだ奴の戸籍が奪える。軍事独裁政権の高官に接触する事で、社会的な地位を築く事も可能だ。


「そんな事で世界征服は可能なのか?」


「どんなに一般人を無力化しても世界征服など無理です。国家の中枢を奪い社会の仕組みを替えなければいけません」


「じゃが、我が生み出せるのは怪人が7日に1体。ジャマーが生み出せるのは7日に7体のジャッカーだけじゃ。人を間引かねば増えすぎてしまうのじゃ」


 技術力だけでいえば人類よりゲドー様の方が優れている。

 しかし人類は広大な地球からとれる資源と、我々より圧倒的に多い数の力で抗っている。

 ゲドー様が1人で怪人を生み出しているのに対して、人類は80億人を超えており、その力を7人のエターナルソルジャーに結集している感じなのだ。


 ちなみにそんなに技術力があるなら、さっさと衛星兵器をぶつけて人類を滅ぼしたあとにゆっくりと征服すれば良いんじゃないかと思うよね。


 残念ながらそれは出来なかったりする。何故ならゲドー様の正体は悪魔で、活動エネルギーは、生き物の嫉妬とか憤怒とか恐怖とかの負の感情とかいうよく分からないものなのだ。

 ただ、地球で最もその負の感情を生み出すのは人類なので、滅ぼしてしまうと弱体化してしまうのだ。

 甘いお菓子が好きで、キラーに買いに行かせたり、作らせて食べているけれど、あの程度のエネルギーでは怪人1つ生み出せないらしい。


 ゲドー様の怪人を生み出す技術は死霊術で、生き物の新鮮な死体がなければ生み出すことが出来ない。

 実は俺はゲドー様に拾われて死霊術で活動再開させられた、前世の俺と同類の存在の死体だったのだ。

 それに並行世界の魂が乗り移ったとか知識が流れ込んで来た結果、俺がこの世界を「無限戦隊エターナルレンジャー」の世界だと認識出来たという訳だ。


 ちなみにエターナルレンジャーは、日本の陰陽道による式神術、西洋魔術によるゴーレム術、アフリカ呪術による精霊術などと、クローンや電子頭脳や超合金の現代科学技術を複合したものだ。

 そんな怪しげな産物のくせにエネルギー源はヒーローらしく生き物の感謝や尊敬や慈愛などの正の感情らしい。

 エターナルレンジャーが怪人討伐後に、メディアのインタビューを受けて「みなの正義を愛する心が我々の力になる」というのがお決まりになっているけれど、これは本当のことだったりする。


「現在我々という人類の敵がいるからこそ、人同士が協力しあいエターナルレンジャーに力を結集させる事が出来ているのです。ただ人同士に争いが無いわけでは無く、我々の手の及ばない場所では、民族、宗教、資源、領土などを理由に人はいがみ合っています。我々が間引かなくとも人は勝手に殺し合うようになるでしょう」


「そうなのか?」


「はい、エターナルレンジャーの維持には莫大な予算が投入されています。それも我々という脅威が人類に存在するからこそ行われています。我々が活動を自粛すれば、勝手にエターナルレンジャーは瓦解するでしょう」


「それは間違いないのか?」


「エターナルレンジャーは国際組織の地球連合に所属していますが、それぞれは政治思想が異なる国から派遣され、紐が付けられています。我々が活動を自粛すればそれぞれの国に帰り、自国の利益のために活動を始めるでしょう。エターナルレンジャー同士で殺し合う事もあり得るかと……」


「ふむ……、人類らしいとも言えるの……。実際にリーダーのレッドが何で日本人なんだという嫉妬を、ブルーやイエローから良く感じるのじゃ」


「そうだったのですか……」


 戦闘力が1番高いのが日本人のレッドだという理由でリーダーやってるらしい。国家間の力関係だとアメリカ人のブルーや中国人のイエローやユーロ代表のグリーンやロシア人のピンクの方が強いんだよね。

 ちなみに後から加わったホワイトはインド人で、ブラックはブラジル人。どこの国の人をエターナルソルジャーにするかでかなり揉めたそうだ。

 ちなにエターナルソルジャーが7人なのは、陰陽道を使用した影響で、木、火、土、金、水、陰、陽の7属性に縛られてるからだそうだ。精霊術の火、水、土、風、光、闇の6属性にも縛られているそうだけど、基礎が陰陽道の式神なので、そこまででは無いらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る