異世界に左遷された件について

ぽよひろ

第1夜:異動通知は突然に

謎の上司「山ちゃん、高やん、異動やで。異世界な。左遷やけど。」

唐突すぎる一言に、ペンを落とす山ちゃん。

山ちゃん「え?異世界?左遷?え、どこ?」

足元がぼんやり光る。

山ちゃん「なんや今の!足元光ったけど!てか、異世界ってどういうことやねん!」

謎の上司は無言で奇妙な円盤を差し出す。

山ちゃん「なんこれ?」

謎の上司「みてのとおり。ルーレット」

山ちゃん「いや、なんでルーレットやねん!」

隣の高やんは、なぜか嬉しそうに笑っていた。

高やん「とりあえず荷物はかばん一つでええやろ。〇コカは使えへんけどな。」

山ちゃん「いや、高やん、おま……ちょっと。気軽すぎやろ!」


頭の中で、どこかで聞いたような旅番組のオープニング曲が流れ始める。


山ちゃん「つぅか、どこに異動やねん!って左遷って……なんでやねん!」

高やん「山ちゃん、おもろそうやん。いこや」

山ちゃん「いこやって……高やんはええんかいなぁ」

高やん「山ちゃん、おもろいことないかっていうとったやんけ」

山ちゃん「そら言うとったけどやなぁ。それとこれはちゃうやろ!」

高やん「ちゃうことあらへん。面白そうやんけ。異世界って」

山ちゃん「そら、高やんがそういうの好きなんは知ってるけどやなぁ」

高やん「ほな、決まりや~」

山ちゃん「ほな、決まりや~って……いつからどこに行くのも知らんぞ!」

謎の上司「いつからって今から。異世界の東の宮営業所へ」

山ちゃん「だからどこやねん!って異世界ってどうやって行くねん!」

謎の上司「だから今から。ほら足元。あと、これ」

床が光り始める。ルーレットが回る。

山ちゃん「ここから行くんかい!」

足元がふわりと浮いた……気がした。

謎の上司「いいや演出だけ。。。」

山ちゃん「演出かい!びっくりしたぶん、金払え!」

高やん「ルーレットで行き方は決めるらしいで」

山ちゃん「ちょ、おま、なんで知ってんねん!」

高やん「内緒~てへ」

山ちゃん「てへ、いうな!40過ぎの親父がかわい子ぶるな!」

謎の上司「説明しよう!山ちゃんと高やんは40過ぎの親父であった。」

山ちゃん「いや、誰に説明してんねん!」

高やん「内緒~てへ」

山ちゃん「お前はもうええって」

謎の上司「ほな、ルーレット回して」

山ちゃん「なんでやねん!」

高やん「まわそ。まわそ。面白そうやん」

山ちゃん「お前なぁ~どうなっても知らんぞ」

高やん「ええやん。ええやん。」

謎の上司「〇が出るかな~〇が出るかな~それはルーレット任せよっと」

山ちゃん「それあかんのちゃうん。。。」

謎の上司「5!魔道深夜バス『かつての都号』。異京都行き~」

山ちゃん「どこやねん!」

謎の上司「東の宮にちょっと近づいたね~」

山ちゃん「だから、どこやねん!」

高やん「まぁまぁ、山ちゃん」

山ちゃん「バスって……異世界でバスって……しかも深夜って」

謎の上司「魔導深夜バスは、異世界転移者専用の長距離輸送手段や。目的地までは14時間かかる。」

山ちゃん「7時間!?長っ!いや、微妙?」

高やん「ええやん、旅や旅。途中でなんか出るかもしれんし」

山ちゃん「“なんか”ってなんやねん……」

ナレーションが響く。

魔道深夜バスで目的地へ――その先にあるのは、まだ誰も知らない……はず。


次回

よくわからないまま、連行されるやまちゃん。楽しそうな高やん。二人は無事に異世界に行けるのか。そして謎の上司は・・・ 次回こうご期待!!(続くのか?)


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